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ロジスティクスは運送業の課題を克服できるのか?最新の事例も紹介
目次
物流の効率化を考える指標として、ロジスティクスがあります。ロジスティクスは、物流を支える運送業の課題を克服できるのでしょうか。
この記事では、ロジスティクスの概要と物流との違い、運送業の課題、運送業にロジスティクスを取り入れる目的、効果、事例などを紹介します。記事を読んでロジスティクスの理解を深め、運送業の効率を高めましょう。
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ロジスティクスと物流の違い
ロジスティクスと物流を混同している方もいるのではないでしょうか。運送業にロジスティクスを取り入れるには、物流との違いを理解する必要があります。ここでは、ロジスティクスの概要と物流との相違点について解説します。
ロジスティクスとは
元々、ロジスティクスは軍事用語として使われていた言葉です。武器・食料・薬などの軍事物資を、前線部隊に調達する活動を意味します。
現在では、物流における企業経営で使う言葉となりました。物流の運送・保管・包装・システム・流通加工・荷役といった基本機能と、調達・生産・販売・回収などを統合管理し、需要と供給の適正化を図ることを指します。
物流との相違点
物流とは、物(商品)が供給者から消費者に届くまでの一連の流れです。「運送」「保管」「包装」「システム」「流通加工」「荷役」といった6つの過程や、これらに関連する「情報」の一元管理を指します。
ロジスティクスは、物流の価値を高めつつ管理する領域を広げた考え方です。物流の上位概念ともいえるでしょう。また、物流は「活動」を指すのに対し、ロジスティクスは「経営管理」を指すという違いもあります。
運送業が抱える現状の課題
ロジスティクスは、物流に関する課題を解決するための概念です。企業がロジスティクスを推進するには、現状の課題を理解する必要があります。ここでは、運送業が抱える現状の課題として、人手不足とコスト上昇について見てみましょう。
人手不足
運送業を支えるトラックドライバーは、労働時間の長さや賃金の安さといった理由で、人材確保が難しい職種です。特に近年は、インターネット通販の普及に伴い運送業の需要が増加したこともあり、50%以上の運送企業がトラックドライバーの不足を感じています。
また、トラックドライバーは全産業に比べて平均年齢が3歳〜6歳ほど高い職種です。少子高齢化が進むと、人手不足はさらに深刻化するでしょう。2028年度には約27万7,000人のドライバーが不足すると予測されています。
コスト上昇
世界的な燃料費の高騰だけでなく、保管費・包装費・荷役費・物流管理費といった運送コスト全般が近年上昇傾向にあります。日本ロジスティクスシステム協会の物流コスト調査報告書によると、全業種の売上高物流コスト比率は2022年度が5.31%で、2021年度は過去最高の5.70%でした。
2022年度調査では、値上げ要請の有無に関しては76.20%の物流企業が「あり」と回答しています。回答企業164社のうち、106社が要請を受けた主なコストとして「輸送費」を挙げました。
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ロジスティクスを運送業に取り入れる目的
人手不足やコスト上昇といった課題が深刻化したことにより、ロジスティクスの必要性が高まりました。ロジスティクスを取り入れる目的は「効率化」です。運送だけでなく、商品が顧客に届くまでの活動をトータル管理することで、事業全体の効率化を目指します。
ロジスティクスは運送業にどのような効果がある?
運送業は、運送だけでなく商品の仕分けや保管、荷役といった幅広い業務を担当します。ロジスティクスは、運送業にさまざまなメリットをもたらします。ここでは、ロジスティクスが運送業にもたらす4つの効果を見てみましょう。
在庫を適正化できる
ロジスティクスの考え方に基づいて、生産データや入出庫データ、店舗在庫データ、販売データを一元管理することで、「いつ」「どこに」「どの商品が」「何個必要か」をリアルタイムで把握できます。
全ての部門でデータを共有すれば、販売・生産・調達計画の変更や納期の調整もスムーズに対応できるでしょう。最適な在庫数を保持することで、在庫不足による機会損失を防げます。
物流コストを削減できる
ロジスティクスにより物流プロセスを最適化すれば、無駄な運送を防ぐだけでなく、積載率が向上します。
運送費・保管費・包装費・荷役費といった多くのコストだけでなく、より少ない人員で現場作業を回せるため、人件費の削減も可能です。
余剰生産を防止できる
ロジスティクスによる在庫の適正化は、余剰生産の防止にも有効です。無駄な仕入れによる保管費用だけでなく、食品廃棄物も削減できます。
食品廃棄物の削減は、SDGsの観点で重要な問題です。社会課題に取り組む企業として、顧客からの信頼も高まるでしょう。
営業の負担を軽減できる
運送業では営業部門が在庫管理を兼任するケースがありますが、ロジスティクスを活用すると他の部門が管理するデータと統合が可能です。在庫管理の負担を軽減すれば、営業活動に集中できるでしょう。
さらに、統合したデータをリアルタイムで把握できるため、セールスやマーケティングといった営業戦略に素早く反映できます。
今後の運送業は最新のロジスティクスがポイント!
物流の発展に伴い、ロジスティクスは変化します。ここでは、今後の運送業でポイントとなる最新のロジスティクスについて解説します。
ロジスティクスの先の概念であるSCM(サプライチェーンマネジメント)も重要です。ロジスティクスとSCMの関係性も併せて理解しましょう。
ロジスティクスとSCMの関係性
SCMとは、メーカー・運送業者・小売業者などを含めたサプライチェーン(原材料の調達から最終消費者に商品が届くまでの流れ)全体を一元管理し、最適化することです。
ロジスティクスは企業単体が対象ですが、SCMはサプライチェーンを構成する複数の企業を対象とします。ロジスティクスの範囲を拡大した概念をSCMと考えるとよいでしょう。
AI、ビッグデータ、クラウドの発展や市場のグローバル化により、今後のロジスティクスにはSCMが欠かせない存在となりました。SCMを実現するには、企業の垣根を変えたデータシステム連携の他、企業間のルールと責任範囲の明確化が不可欠です。
IoTの導入
今後のロジスティクスで重要なのは、IoT(Internet of Things)を導入してDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進することです。
IoTとは、さまざまな物をインターネットに接続し、遠隔制御やデータ取得を行う技術を指します。DXとは、デジタル技術を活用して企業経営や業務プロセスを改善する手法です。
サプライチェーンのあらゆる箇所にIoT機器を設置することで、自動化・可視化が可能となり、人力では発見しづらい「無駄」を削除して業務効率化・生産性向上に貢献します。
ロジスティクス4.0の推進
物流における最新の概念を「ロジスティクス4.0」といいます。物流は、過去に以下のようなイノベーションがありました。
ロジスティクス1.0 | トラック・鉄道・汽船・機船による輸送の機械化 |
ロジスティクス2.0 | コンテナ・フォークリフトによる輸送・荷役の機械化 |
ロジスティクス3.0 | 物流管理システムの普及 |
ロジスティクス4.0のイノベーションが指し示すのは、IoTやAI、物流ロボット、自動運転による省人化と標準化です。例えば、ドローン配送やトラックの完全自動運転が実現すれば、ドライバー不足を解消できるでしょう。
IoTとAIを活用することで、リアルタイムの情報共有だけでなく、機械学習と分析の繰り返しによる最適な運送手段・ルートの算出が可能です。熟練者の経験や勘に頼ることなく、一定の質で判断と指示を実行できます。
運送業の最新ロジスティクス導入事例
自社のロジスティクスについてイメージできない方は、実際の事例を参考にするのがおすすめです。ここでは、運送業に最新ロジスティクスを取り入れた企業として「千代田化工建設株式会社」と「Amazon.com, Inc.」の事例を紹介します。
千代田化工建設株式会社
千代田化工建設株式会社は、プラント建設現場の資材管理でIoTとドローンを組み合わせた技術を活用しています。
数十万点の資材に0.8ミリメートルのICタグを取り付け、巡回飛行するドローンが位置情報を読み取ることで、広大な敷地内で資材を簡単に探せるようになりました。資材管理に配置する人員を3分の1に圧縮し、人件費も削減しています。
Amazon.com, Inc.
Amazon.com, Inc.は、海外で導入が進む最新の商品管理システム「Amazon Robotics(AR)」を日本で初めて川崎フルフィルメントセンターで採用しました。
自動掃除ロボットをサイズアップしたような外観の自動運搬ロボット「ドライブ」が、ARエリアの床に埋め込まれたバーコードを読み取り、移動します。
ARにより、棚入れとピッキングの2工程を自動化・省人化しました。棚入れのときは従業員の前に保管棚を運び、商品を詰み終えると元の保管場所に戻します。
ピッキングのときは注文を受けた商品を棚ごと運んでくるため、従業員の負担と発送までの時間を大きく削減し、省スペース化も実現しました。
運送業の効率化には「UMWELT」が最適!
運送業を効率化するのであれば、TRYETINGのノーコードAIクラウド『UMWELT』がおすすめです。
運送業務を簡単にシステム化し、効率的な管理体制を構築できます。ここでは、UMWELTの魅力と導入事例を紹介します。
業務を自動化してコストも削減できる
UMWELTは、需要予測・在庫管理・自動発注・自動シフト作成など、さまざまな機能で運送業務を効率化・自動化します。
ノーコードのため、プログラミングやAIに関する専門知識がなくても導入・運用が可能です。ドラッグ&ドロップでアルゴリズムを組み合わせるだけで、目的に合ったシステムが構築できます。
運用時に課題が生じたときは、データ分析の専門家であるカスタマーサクセスが解決までサポートするので安心です。
導入事例
工場の自動化技術促進システムを開発する3Gサポート株式会社様は、トラック物流改善システム「AirDia(エアダイア)」にAIを実装することを目的にUMWELTを導入しました。
荷物量などの情報から作業時間を予測する機能を実装することで、荷主のトラックダイヤ最適化や作成工数削減を実現し、ドライバーの待機負担を軽減します。
TRYETINGと定例ミーティングや進捗共有を重ねながら、スムーズにプロジェクトを進めました。AI実装後の「AirDia」を実際に使用した大手の運送会社からも高い評価を得ています。今後はAirDia以外のシステムに、AIによる需要予測や在庫管理機能を実装する予定です。
(参考: 『【3Gサポート様】UMWELT活用事例|補助金活用でトラック物流改善システムに荷物量や作業時間を予測する機能を実装|TRYETING』)
まとめ
近年、運送業は人手不足やコスト上昇といった課題が深刻化しています。課題を解決するには、AIによる自動化やIoTとの連携といった最新ロジスティクスを取り入れて、事業全体を効率化しなければなりません。
TRYETINGのUMWELTは、専門知識がなくても簡単に運送業の効率化が可能です。API連携により、さまざまなサービスと連携できます。無料相談や資料請求を受け付けていますので、ぜひお問い合わせください。
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