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物流業界の問題点とは?現状と課題を理解して最適な取り組みを知ろう
目次
新型コロナウイルス感染症の流行に伴う巣ごもり需要増加などを理由に、ECサイトの利用者が増えました。その影響で、物流業界はさまざまな課題を抱えています。現在、どのような問題点があるのでしょうか。
この記事では、物流業界の問題点と解決方法を解説します。最後まで読むことで、物流業界の現状を深く理解できるでしょう。
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物流業界の市場規模が拡大している
新型コロナウイルス感染症の流行による巣ごもり需要の増加などを理由に、EC市場の規模は拡大しました。
経済産業省が公表した「電子商取引実態調査」によると、物販系BtoC-EC市場規模は2020年が12兆2,333億円、2021年は13兆2,865億円と増加傾向です。また、宅配便取り扱い実績も2021年から過去5年を振り返ると、23.1%増加しています。
物流業界の課題から分かる問題点
物流業界では、荷物の量が増えるにつれて、従業員の負担も増加しています。少子高齢化に伴う生産年齢人口減少に伴い、新たな人材を確保するのも困難な状況です。ここからは、物流業界が抱える課題を5つ紹介します。
2024年問題への対応
2024年問題とは、2024年4月からドライバーの時間外労働時間の上限が960時間となることで生じるさまざまな問題のことです。
ドライバーの労働時間が減少し、負担軽減効果が期待できる一方、1日当たりに運べる荷物量が減ることが考えられます。荷物量が減ることで企業の収益は減り、ドライバーの収入にも影響を与えかねません。
運賃増額は荷主の負担が大きく、荷待ち時間を減らして効率化を図るにも、他の企業との連携が必要です。自社のみの問題ではなく、物流業界全体の問題として取り組む必要があります。
人手不足が深刻化
道路貨物運送業のドライバーは、1995年以降減少しています。日本ロジスティクスシステム協会によると、2030年には1995年と比べて3割減少するとの予測です。
物流業界は、労働時間の長さや業務負荷の大きさを理由に、新たなドライバーを確保できていません。対策を講じなければ、65歳以上の高齢ドライバーが増える恐れがあります。最悪の場合、荷物を運べない状況に陥ることも考えられるでしょう。
労働環境の悪化
国土交通省が行った再配達率サンプル調査(2023年4月)によると、宅配便の約11.4%が再配達でした。2020年4月の調査では約8.5%で、それ以降、再配達率は増加に転じています。
再配達は長時間労働を招き、ドライバーにとって大きな負担です。過酷な労働環境にもかかわらず、大型トラックや中小型トラックのドライバーの年収は全産業平均と比べて5%〜10%低い状況です。人手不足解消のためにも、労働環境の改善は欠かせません。
小口配送の増加
少量の荷物を頻繁に運ぶ「多頻度小口配送」の増加も課題のひとつです。1990年から2015年にかけて、1件当たりの貨物量は減少しているにもかかわらず、物流件数は増加傾向にあります。
必要なタイミングで必要な量を調達できることから、小売店や消費者にはメリットが大きいものの、物流企業にとっては負担です。個人宅には休日だけでなく夜の時間指定配送もあり、物流企業の労働環境悪化や人手不足に影響を及ぼしています。
配送の非効率化
EC市場の拡大により、企業は価格競争だけでなく、配送品質の面で他社との差別化を図るようになりました。例えば、翌日配送・即日発送です。スピーディーな配送は、顧客にとって高い利便性があります。
しかし、ドライバーには大きな負担です。顧客がスピーディーな配送に慣れると、荷物が遅れたときの不満も大きくなり、クレーム対応で業務に支障が出る恐れがあります。
また、再配達のすれ違いもドライバーへの負担が大きく、解決しなければならない課題のひとつといえるでしょう。
物流業界の問題点への取り組み「改正物流総合効率化法案」とは
物流総合効率化法は、労働力の確保や環境負荷の軽減を目的とした法律です。「モーダルシフト」「輸配送の共同化」「輸送網の集約」などに取り組んだ企業は、金融支援や税制特例といったさまざまな支援措置を受けられます。
ここでは、支援措置の対象となる事例を紹介します。
モーダルシフト
モーダルシフトとは、トラックのような車両から環境負荷の小さい鉄道・船舶へ輸送手段を変えることです。1トンの貨物を1キロメートル運ぶ際、トラックは216グラムの二酸化炭素を排出します。一方、鉄道は20グラム、船舶は43グラムです。
また、輸送距離が長くなるほど、コスト削減効果も期待できます。鉄道・船舶を使った輸送は、距離が長くなるほど割安になる傾向があるためです。
モーダルシフトの対象は500キロメートル以上の輸送が一般的でしたが、近年は300キロメートル〜400キロメートルといった近距離輸送も増えています。
共同配送
共同配送とは、複数の企業の荷物をまとめて顧客に届けることです。これまでは、同じ届け先でも各企業がそれぞれ配送していました。しかし、荷物が少なくても配送しなければならず、非効率です。
共同配送では、各企業が共同倉庫に一度荷物を納品し、集まった荷物をトラックにまとめて顧客に届けます。積載率の向上だけでなく、二酸化炭素排出量削減につながる点もメリットです。
輸送の集約
輸送の集約とは、これまでの輸送網や物流拠点をまとめて、効率的な輸送体制を構築することです。具体例として、輸送網の中心に輸送連携型倉庫を設置することが挙げられます。
輸送連携型倉庫に一度荷物を集めて在庫管理することで、コスト削減の他、横持ち削減による配送効率アップが見込めるでしょう。
複数の拠点があると、各担当者が在庫管理することから正確な在庫状況の把握が困難です。無駄な在庫を抱えないためにも、輸送の集約は有効な方法といえるでしょう。
物流業界の問題点を解決する方法
物流業界はさまざまな課題に直面していますが、物流システムの導入や自動化といった解決策があります。ここでは、7つの解決策を紹介します。コストや取り組みやすさがそれぞれ異なるため、自社が抱える課題に合った方法を見つけましょう。
物流システムの導入
物流システムの導入によって、業務の効率化や人手不足の解消が期待できるでしょう。物流システムの例として、倉庫管理システム(WMS)が挙げられます。
倉庫管理システムは、倉庫内の入出庫状況や在庫情報を一元的に管理することができるシステムです。一元管理することで業務効率化が図れるだけでなく、蓄積したデータを基に分析もできます。多様化する顧客ニーズを分析すれば、在庫の最適化につながるでしょう。
ロボットによる自動化
重量物を運ぶロボットの導入は、人手不足解消や従業員の負担軽減につながります。伝票作成・配車業務など、日々の事務作業もロボットによる自動化が可能です。
ロボットは人の手による作業とは違い、24時間365日稼働できます。限られた人的リソースを有効活用できるのがメリットです。
シェアリングサービスの導入
シェアリングサービスとは、近年のEC市場規模拡大に伴って誕生したサービスです。さまざまなEC事業者が同一の物流施設を共有することで、1回当たりの配送量が向上します。積載効率の向上は、ドライバーの負担軽減にもつながるでしょう。
荷物を一時保管したい場合など、倉庫スペースの確保に関して柔軟な対応が可能です。
マッチングサービスの導入
マッチングサービスとは、荷主・倉庫・車両・ドライバーなどを結び付けるサービスです。必要なタイミングで必要な分の荷物を送れるため、コスト削減やドライバーの労働環境改善が見込めます。
荷主は、依頼したいときにインターネットで空いている車両の検索が可能です。急な配送依頼にも対応できるというメリットがあります。
アウトソーシングの利用
アウトソーシングとは、自社業務の一部を外部企業へ委託することです。アウトソーシングを活用すると、自社では対応不可能な業務や高水準の物流サービスを提供できます。
アウトソーシングした業務のリソースを、マーケティングのようなコアな業務に充てられるのもメリットです。企業の競争力アップも期待できるでしょう。
配送の効率化
再配達の回数を減らすことも配送効率化につながります。再配達を減らすには、宅配ボックスの使用が有効です。対面で渡す必要がないため、顧客にもメリットがあります。
宅配ボックスの設置率は、賃貸物件を中心に増加傾向です。しかし、荷物を受け取るほうがコストを負担しなければならないという理由から、設置できないケースもあります。
ドローン配送や自動運転の実用化
ドローンを使った配送や自動運転は、労働力不足の解消や配送コストの削減、配送時間の短縮につながります。ドローンなら、被災地や過疎地といった人による配送が難しい場所への配送も可能です。
しかし、ドローン配送と自動運転のどちらも法が整備されておらず、実用化には至っていません。実証実験を重ねるとともに、安全に運用できるように法を整備する必要があります。
物流業界の問題点を解消した成功事例
これまで物流業界は、人の経験や勘に頼って業務を行ってきました。しかし、従来のやり方では、課題に直面した際に解決が難しくなるかもしれません。
ここでは、すでに物流業界の課題解決に取り組んでいる3つの企業を紹介します。
株式会社日立製作所
株式会社日立製作所は、AIを活用した倉庫業務効率化サービスを展開しています。
倉庫内作業の中でも、ピッキング作業は受注状況による影響が大きく、作業効率が変動する業務です。倉庫業務効率化サービスは、データや作業実績の分析を基に作業効率がアップする商品配置プランを作成します。
商品配置プランを物流現場へフィードバックし、再び作業データを収集することで継続的な業務効率化を図れるでしょう。
株式会社ファミリーマート
株式会社ファミリーマートは、自社開発AIを使った配送ルートの最適化に取り組んでいます。
これまでもAIを使っていましたが、精度の低さから人の経験や勘に頼っている状態でした。コンビニエンスストアに配送するタイミングが早ければ待機時間が長くなり、ドライバーの負担が大きいだけでなく、配送効率が低下します。
配送ルートの最適化を実現するために、自社でAIシステムを開発しました。配送効率アップにより、トラック台数と輸送コスト削減を見込んでいます。
ヤマト運輸株式会社
ヤマト運輸株式会社は、全国約6,500カ所ある配送センターの荷物量予測にAIを用いて、人員の配置やトラック手配に役立てています。
配送センターの業務量予測モデル構築には、MLOpsを導入しました。MLOpsとは、過去の実績に最新データを取り込んで学習・運用するAIモデルの継続的な改良です。MLOps導入後、AIモデルの運用にかけていた時間が減り、AIモデルの精度改善に成功しました。
物流業界の効率化にはUMWELTが役に立つ!
業務効率化を図りたい企業様には、TRYETINGの『UMWELT』をおすすめします。UMWELTは、専門知識不要で業務を効率化できるAIツールです。アルゴリズムを組み合わせることで、日々扱うデータから需要予測や在庫管理ができます。
ここからは、UMWELTの特徴と物流業界の導入事例を紹介します。
自社に合った自動化やAI導入が可能
UMWELTはAIを使った需要予測や在庫管理、自動発注など、物流業務効率化につながる機能を備えています。AIといってもノーコードのため、プログラミング言語やAIの専門知識がなくとも利用できるのが魅力です。
日常業務で扱うExcelデータを使用できます。手間がかかるデータの前処理も、アルゴリズムで自動化が可能です。
「需要予測の精度が上がらない」「データ欠損値がある場合の対処方法が知りたい」というときも、カスタマーサクセスが解決までサポートします。
物流業界の導入事例
物流業界では、3Gサポート株式会社様の導入実績があります。3Gサポート株式会社様は、自社開発のトラック物流改善システムへ荷物量・作業時間の予測機能を実装するために、UMWELTを導入しました。
UMWELT導入前は独自でデータの取得・解析を行っていましたが、予測精度の問題を抱えていました。綿密なコミュニケーションや定例ミーティングによる情報共有により、プロジェクト期間内にAI実装が完了しました。
(参考: 『【3Gサポート様】UMWELT活用事例|補助金活用でトラック物流改善システムに荷物量や作業時間を予測する機能を実装|TRYETING』)
まとめ
物流業界は、小口配送の増加や人手不足問題の他、2024年問題への対応も求められています。物流業務の問題点を解決する方法には、ロボットを使った自動化や物流システムの導入があります。自社の課題解決に最適な方法を試しましょう。
在庫管理や需要予測を効率良く行いたい企業様には、TRYETINGのUMWELTがおすすめです。UMWELTは、簡単な操作で物流業務の効率化を図れます。物流業界の導入実績もありますので、お気軽にお問い合わせください。
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