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物流品質の必要性とは?基本要素や取り組みのポイントを解説
目次
物流に携わる上で大切なのが物流品質です。物流品質は顧客満足度に直結するため、物流における全ての工程を管理しなくてはなりません。しかし、どのように取り組めばよいか分からない方もいるのではないでしょうか。
本記事では、物流品質とは何か、基本要素や取り組み内容について解説します。記事を読んで、物流品質を改善しましょう。
物流品質とは?管理が必要な理由
物流品質は、企業の成長と顧客満足度の向上に直結する重要な要素です。企業の物流サービスが持つ「品質」であり、顧客の満足度に比例します。ここでは、物流品質の概要や重要性について解説します。
物流品質はサービス全体の質
「物流における品質」とは、物流サービスや荷役作業、輸送などの質のことです。品質の向上は、効率的な物流プロセスや信頼性の向上につながります。物流の品質は以下の項目から成り立ち、維持するには管理が重要です。
項目 | 内容 |
納期 | 指定した日時通りに正確に配送する |
品質 | 商品の賞味期限を管理しながら適切な環境で保管し、品質の劣化を防ぐ |
正確性 | 正確な品目、数量、配送先情報を取り扱う |
事故防止 | 安全管理を徹底し、事故やけがのリスクを最小限に抑える |
環境貢献 | 二酸化炭素排出の削減に取り組み、廃棄物を最小限に抑える |
印象 | ドライバーやカスタマーセンターの対応において、礼儀正しく丁寧な態度を保つ |
その他 | 問い合わせへの迅速な回答や状況報告など、必要なコミュニケーションを行う |
物流の品質管理が必要な理由
物流の品質管理はQC(Quality Control)とも呼ばれます。品質管理の定義は日本産業規格(JIS)によって定められており、全体の品質を把握する上で重要です。
物流の品質が低下すると、商品の取り違えや数量の誤りなど配送事故の発生リスクが高まります。このような問題を予防できるのが「QC7つ道具」です。QC7つ道具は、問題点を視覚的に把握するために使われます。
物流品質で必要な6つの基本要素
物流品質を向上するには、業務全体を把握・管理しなければなりません。高品質を保つことで顧客満足度が向上し、リピート顧客が増えれば売り上げアップも可能です。ここでは、品質管理をする上で大切な基礎要素を6つ紹介します。
輸送の品質
輸送の品質が悪いと、指定した時間に商品が届けられないことや商品が破損することでクレームにつながります。輸送の品質を管理するポイントは以下の通りです。
・輸送に適した機材や方法を選び、適切に利用しているか
・到着時間は予定通りか
・積載効率を最大限活用し、効率的な輸送が行われているか
・輸送コストを適正に管理しているか
・輸送事故や損傷が発生していないか
・環境に配慮した輸送が行われているか
保管の品質
商品の保管管理は、生産者と消費者の時間的なギャップを埋めるために大切です。保管管理ができていないと、賞味期限切れの商品が紛れ込む、在庫不足により発送ができないといった問題が起こります。以下は、保管の品質を管理するポイントです。
・商品や資材の保管場所は適切か
・適切な保管方法を選んでいるか
・適切な温度で管理しているか
・賞味期限が管理できているか、期限切れ商品の混入がないか
・ロケーション管理を最適化しているか
・在庫管理を最適化しているか
・商品に適したマテリアルハンドリング機器を使用しているか
・棚卸しの精度が高く、在庫を正確に把握しているか
・保管コストに無駄はないか
梱包の品質
梱包は、商品の破損を防ぐ大切な役割です。壊れやすい商品には緩衝材や強度のある段ボールを使うといった工夫が必要です。商品の破損は消費者からの評価を下げ、企業の信用を損なう恐れがあります。包装の品質を管理するポイントは以下の通りです。
・梱包に使用する資材は適切か
・適切な緩衝材を使い、商品を保護しているか
・梱包の強度が十分に高く、安全に輸送できるか
・梱包にかかるコストを抑えているか
荷役の品質
荷役は運搬や積み降ろし、倉庫への入出庫、仕分けなどの業務です。品質が悪化すると事故につながるため、安全に作業できる環境を整える必要があります。以下は、荷役の品質を管理するポイントです。
・入出庫作業のスピードは適切か
・生産性が高く、効率的な作業が行われているか
・誤出荷を抑えられているか
・安全な作業環境を確保し、荷役事故を防いでいるか
流通加工の品質
流通加工は、商品の価値を高める作業です。ラベル貼りや値段付け、袋詰め、セット組み、ラッピングなどが含まれます。
流通加工の作業はミスが誤出荷につながるため、正確性が求められます。以下は、流通加工の品質を管理するポイントです。
・適切な機器を選んでいるか
・作業スピードを最適化しているか
・十分な生産性が確保でき、生産目標を達成しているか
・正確な作業が行われ、品質が維持できているか
情報の品質
情報とは、倉庫管理システムや在庫管理システム、配送管理システムを使った物流の管理・効率化を指します。
管理システムにはさまざまなものがあるため、取り扱う商品や管理の範囲に合ったものを選ぶとよいでしょう。情報の品質を管理するポイントは以下の通りです。
・システムを正しく使えているか
・情報漏えい防止などのセキュリティー対策はできているか
・作業効率が向上しているか
・導入したシステムは適切か
物流品質を管理する手順とポイント
物流品質を管理する目的は、物流における事故やミスを防ぐことです。物流の品質が上がれば、顧客満足度や生産性向上が期待できるため、問題点を洗い出して効率的に進めましょう。ここでは、品質管理の進め方や管理のポイントを解説します。
品質管理の進め方
物流品質が下がる原因は、人的ミスや天災、トラブルなどさまざまです。問題点を見つけるには、データを収集し、分析する必要があります。
QC7つ道具を用いると、効果的に進められるでしょう。QC7つ道具とは、パレート図・特性要因図・グラフ・ヒストグラム・散布図・管理図・チェックシートのことで、根拠の提示が可能です。品質管理の進め方は以下の通りです。
1.基礎データをヒストグラムや散布図を使いグラフ化し、全体の状況を把握する
2.チェックシートを使用して各課題の評価や優先順位を決め、課題を選定する
3.特性要因図などを活用して問題の原因を特定する
4.適切な対策を検討してからスケジュールを決める
5.実施状況を管理図などで確認し、評価する
物流品質の管理ポイント
物流品質の管理には、ミスやクレームを水準以下に抑える目的もあります。物流品質は企業の評価につながるため、高水準であることが理想です。物流品質を保つために重要な管理のポイントを以下に挙げました。
・納期:指定日時を守り、緊急品の納期遅れを防止する
・商品:鮮度や形状、汚れ、破損などを管理し、品質を維持する
・正確性:商品や数量、配送先の間違いを避ける
・事故防止:安全管理による事故を予防する
・環境貢献:二酸化炭素や廃棄物削減など、環境に配慮する
・顧客満足:ドライバーのマナーや問い合わせへの迅速な対応など、顧客満足度を向上する
・その他:必要な報告書の提供や正確な在庫管理を行う
物流品質の向上に必要な9つの取り組み
物流品質は、企業の評価基準ともいえます。高い水準まで向上するには、目標設定や見直し、改善が必要です。場合によってはツールの導入を検討したほうがよいでしょう。
物流品質を見直すことで余分な在庫が減り、効率の良い人材配置やコスト削減につながります。ここからは、物流品質を向上する9つの取り組みを紹介します。
目標の設定
物流品質を向上するには、全体的な意識改革が必要です。そのためには、従業員と共通目標を設定し、共有するのが効果的です。
目標は抽象的に決めるのではなく、具体的な内容を設定します。例えば、「誤出荷率を0.001%以下に抑える」のように、明確に決めた数値を共通認識として業務を進めましょう。
作業手順のマニュアル化
個々の従業員がやりたいように作業すると、引き継ぎでミスをしたり、自分勝手なルールを決めたりします。ヒューマンエラーを減らし、効率化を図るにはマニュアル作成が重要です。
マニュアルは新人教育にも使えます。すでにマニュアルを作っている企業も定期的に見直して、必要な情報を追加しながら物流品質の向上を目指しましょう。
現場との情報共有
情報共有と注意喚起は重要で、従業員全員が理解できる仕組みを確立する必要があります。トラブル発生時も原因を適切に伝え、一部の担当者だけで問題を解決せずに全体に報告しましょう。
情報共有と注意喚起の徹底により、物流品質の向上と問題の未然防止が可能です。また、共通言語で情報を伝えることで、伝達ミスを防ぐことにもつながります。
トレーサビリティの導入
トレーサビリティとは、商品の製造から消費、廃棄までの経路を追跡可能な状態にすることで、チェーントレーサビリティと内部トレーサビリティの2種類に分けられます。
チェーントレーサビリティは、一般的にいわれるトレーサビリティと同じ意味です。一方、内部トレーサビリティは、特定の範囲を対象に部品や商品を追跡することを指します。
トレーサビリティを導入することで、不用品の流出防止、問題の早期発見と解決、ブランドイメージの確保が可能です。トレーサビリティは物流品質の確保に不可欠な仕組みといえるでしょう。
倉庫内の見直し
倉庫や物流センターでは、整理整頓を徹底して作業スペースを確保することがミスのない業務や効率化につながります。
倉庫内レイアウトを見直して、荷受けやピッキングなどの作業スペースを確保し、作業効率と保管効率のバランスを調整することが大切です。繁忙期や閑散期、返品商品の保管場所などの要素を考慮しながらレイアウトを検討しましょう。
「5S」活動の実施
5Sは、職場環境の維持改善に用いるスローガンで「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」の頭文字を取った言葉です。物流業界以外にもさまざまな業界で採用しており、生産性向上やコスト削減に役立ちます。
物流センターでは多様な機器と商品を扱うため、5Sの徹底は特に重要です。倉庫内の作業環境改善によって商品の探索性や物流品質が向上し、業務効率の改善や誤出荷の減少につながります。
アウトソーシングの活用
アウトソーシングは、外部の専門業者に業務を委託することをいいます。物流アウトソーシングに委託できるのは、在庫管理や入出荷管理、システム管理など物流業務全般です。
業務量の多い物流業務をアウトソーシングすることで、業務全体の品質が上がります。近年は「持たない経営」を物流戦略構築に取り入れるのがトレンドです。在庫リスクや人手不足リスクの解消、機動性の確保といったメリットが享受できます。
物流KPI(物流管理指標)の導入
KPI(Key Performance Indicator)は、物流業務における重要業績評価指標です。物流コスト・品質・生産性などの定量的なデータや指標を示します。
物流KPIは、コストに関わるKPIと、品質に関わるKPIの2つに分けられます。コストKPIは、1梱包当たりの費用などの「原単位指標」を重視する指標です。品質KPIは、ミスやクレームの「比率管理」を重視します。適切な物流KPIの導入は、物流力強化につながります。
物流DXの推進
物流DXは、機械化やデジタル化により物流業界を変革することです。物流品質の維持には、増加する荷物を管理する能力の強化や人手不足対策の省人化が必要です。
しかし、人手不足が深刻化する物流業界では人材の確保は容易ではありません。物流DXによりロボットを使って業務を自動化すれば、少ない人員で作業をこなせます。また、作業効率も向上し、作業の遅れや誤出荷のリスクを軽減できます。
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また、計算結果はAPI連携により自社システムやGoogleDriveやDropBoxなどのファイルに連携も可能です。ノーコードAIのため、専門知識がない人でも扱えます。
まとめ
物流品質は、顧客満足度につながる大切な要素です。品質を向上する方法にはさまざまなものがありますが、そのひとつにAIの導入があります。
ノーコードAIツールのUMWELTは、物流品質の向上をサポートする需要予測や在庫計算、自動発注が専門知識不要で利用可能です。無料相談も受け付けていますので、お気軽にお問い合わせください。
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