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棚卸資産回転率の計算方法や必要な理由は?在庫管理を効率化する方法も
目次
企業の経営判断をするための指標は多いため、何をどのように使えばよいのか混乱してしまう方もいるのではないでしょうか。棚卸資産回転率の意味や必要な理由を知ると、適切な在庫管理に役立ちます。そこでこの記事では、棚卸資産回転率の計算方法や、読み解き方などをご紹介します。
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【保存版】在庫管理とは?取り組むメリットや具体的な方法を分かりやすく解説
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棚卸資産回転率は在庫の回転効率を表す指標
棚卸資産回転率を理解するには、「棚卸資産」と「回転率」それぞれの意味を正しく知る必要があります。棚卸資産とは在庫のことで、回転率とは一定期間内でどれだけ効率的に物や人をさばけるかを表す指標です。
棚卸資産回転率は「在庫回転率」とも言い換えられ、数値が高いほど商品が効率的に売れていることを表します。一般的に賞味期限や消費期限が短く設定される飲食料品の卸売業は、
棚卸資産回転率が高くなりがちです。
経済産業省が公表している「中小企業の商品(製品)回転率※」によると、1998年の調査で卸売業全体における商品回転率は19.9回でした。
卸売企業における中小企業の商品回転率を見ると、飲食料品卸売業が24.2回、建築材料、鉱物・金属材料等卸売業が19.0回、各種商品卸売業の18.0回となっています。商品回転率が最も低いのは、繊維・衣服等卸売業の8.0回です。
(参考:『4.中小企業の商品(製品)回転率|商工業実態基本調査|経済産業省』)
※1998年で終了した『商工業実態基本調査』より
棚卸資産回転率を把握したい理由
卸売業や小売業において、保有している在庫量や回転率が不明な状態では、適正な経営ができません。在庫管理に気を配らないと、顧客からの信頼を失ったり大きな損失を出したりする可能性もあります。
在庫の状態を正確に知ることは、企業にさまざまなメリットをもたらします。棚卸資産回転率を把握しておきたい理由について確認しましょう。
在庫の実態を可視化できる
在庫を適切に管理するには、実態を把握することが大事です。棚卸資産回転率を把握すれば、在庫の実態が数値化できて適切な在庫管理につながります。
業務改善には、商品別に適切な管理ができている状態が必要です。在庫の実態をより詳しく知るために、在庫全体の回転率だけでなく商品ごとの回転率を算出しましょう。
商品ごとの数値が分かれば、無駄な在庫を抱えないように対策でき、売れている商品は倉庫内の取り出しやすい位置に配置するといった工夫にもつながります。
人気商品が分かり利益向上につながる
商品ごとの在庫回転率を把握すれば、人気・不人気が分かります。売れるものを多く仕入れるための体制を整え、機会損失を防いで利益につなげましょう。人気の商品が欠品では、売上が下がるだけでなく顧客からの信頼も低下します。
よく売れる商品は仕入れ数を増やして在庫を切らさないようにし、売れ行きが悪い商品は扱いを取りやめるといった判断をしましょう。
何が売れるのかは季節によっても異なるので、週ごと・月ごと・シーズンごとなどの区分で数値を算出し、よりきめ細やかな分析を行うことが大事です。
経営分析に役立つ
経営状況を分析する際には、さまざまなデータに基づく多角的な判断が欠かせません。棚卸資産回転率のデータがあると、同業他社の回転率や自社の前年の数値などと比較・分析して大まかな経営判断に生かせるようになります。
前年に比べて棚卸資産回転率が落ち込んでいるのであれば、不良在庫を抱えている可能性が見えてきます。無駄な在庫に対して早めに対処できれば、損失が小さく済むでしょう。
棚卸資産回転率をまったくチェックせずにいると、無駄な在庫を長く抱える事態になったり売れるはずの商品を補充する機会を失ったりと、経営上の問題が起きやすくなります。
棚卸資産回転率の計算方法と着目点
棚卸資産回転率の計算方法はシンプルです。計算方法さえ分かれば、正確な回転数を算出するのは難しくありません。
回転数から導き出せる在庫状況や、注意点などの読み解き方を併せてご紹介します。2種類ある計算方法と、棚卸資産回転率が高いとき・低いときの基本的な考え方を知って経営判断に生かしましょう。
主な計算法は2つ
棚卸資産回転率の計算式は「年間売上高÷棚卸資産」です。1年間でどれだけ商品が回転したかという数値を導き出せます。
棚卸資産は、期首在庫棚卸高と期末在庫売上高の平均値を使用して計算する方法が一般的です。例えば期首在庫棚卸高が200万円、期末在庫売上高が300万円なら平均値は「200万円+300万円÷2=250万円」となります。
年間売上高を5,000万円と仮定すると、計算式は「5,000万円÷250万円」となり、棚卸資産回転率は20回転です。ただし売上高には企業の利益分(利潤)が含まれるので、より正確に在庫管理をしたい場合は「売上原価÷棚卸資産」で計算しましょう。
棚卸資産回転率の読み解き方
棚卸資産回転率は高いほどよいと考えがちですが、機会損失が発生しないように在庫管理を行うことも大事です。回転率が低い場合は不良在庫を抱えるリスクがある反面、高い場合は在庫不足のリスクを抱えることになります。
損失を出さないためには、過去のデータから導き出した自社の棚卸資産回転率の平均値や業界の平均値などに固執しすぎず、「自社の直近の売上数」から在庫数を決めるのがポイントです。
あるべき数値を先に決定してしまうと、実態からかけ離れた判断をしてしまう可能性があります。ほかの企業の平均値には見習うべき企業だけでなく、そうでない企業のものが含まれている点も忘れず直近のデータを活用しましょう。
棚卸資産回転期間も参考に
棚卸資産回転期間は、棚卸資産が1回転するまでにかかる期間です。在庫がなくなるまでの期間を把握すると、無駄のない仕入れをしやすくなります。回転率だけでなく何日で商品がなくなるのかというデータも活用しながら、仕入れ数を決めましょう。
棚卸資産回転率が分かれば、「365日÷棚卸資産回転率」で日数を出せます。棚卸資産回転率が20回転と仮定すると「365日÷20=18.25日」です。期間が短ければ、それだけ効率的に商品が売れているということになります。
月ごとの棚卸資産回転期間を知りたい場合は、「12か月÷棚卸資産回転率」の計算式を使いましょう。
在庫管理を効率化するには?
在庫管理が不適切だと、多量の廃棄が発生して損失につながります。賞味期限のある食品を扱う場合は余剰な在庫がそのまま食品ロスにつながるケースが多く、大きな問題に発展するリスクがあるでしょう。
在庫管理の効率化・在庫ロスの削減対策として、「商品管理や整理整頓」「顧客ニーズの分析」「在庫管理システムの活用」の3つをご紹介します。
商品管理や整理整頓を徹底する
商品管理の基本は、先に仕入れた商品を早く売ることです。仕入れたものが古くなって商品としての価値がなくなる前に売らなければ、損失が発生します。鮮度が重視される商品を扱う場合には、特に気を付けなければなりません。
商品管理をスムーズにするには、倉庫内の整理整頓を徹底することも重要です。どこに何があるのかが分かりやすい状態で管理し、必要な商品をスムーズに動かしましょう。在庫をきちんと整理すれば発注ミスを防ぐと同時に、棚卸資産回転率の向上を実現できます。
顧客のニーズを分析する
顧客が何を欲しがっているのか分からない状態では、不良在庫を抱えやすくなります。棚卸資産回転率を含むさまざまなデータを活用して、顧客のニーズを分析することが大事です。
季節ごとの商品の回転率や売上高をチェックすると、どのような場合に需要が高まるのかが分かり、適切な発注をしやすくなります。
「顧客のニーズが高まるタイミング」を客観的に判断し、商品を的確に仕入れましょう。棚卸資産回転期間も考慮すれば、商品が完全になくなる前に補充できて販売機会の損失を防げます。
在庫管理システムを活用する
在庫管理システムを導入すると、データを活用しやすくなります。在庫状況をリアルタイムで把握できるシステムがあれば、各店舗からデータを送付してもらう手間がなくなり、迅速な対応が可能です。
在庫管理システムにはさまざまな種類がある中で、効率化を目指すならAIの導入がおすすめです。AIは大量に蓄積されたデータを使った学習や分析が得意なので、効率的な在庫管理の手助けになります。
データをもとに精度の高い需要予測を行ったり、在庫管理業務を自動化したりと人力だけに頼らない業務体制が実現します。
在庫管理のDXによるメリット
近年は企業の生産性を向上させ、少子高齢化による人手不足を補うために、DX(デジタルトランスフォーメーション)が推進されています。在庫管理にデジタルツールを活用することで、企業にどのようなメリットがあるのか確認しましょう。
業務効率が向上する
在庫管理にシステムを導入すると、在庫の数量や入出庫の状況など、あらゆる情報を一元管理できるようになります。
時間や人手を割かず適切に在庫を管理でき、より重要な仕事や力を入れたい業務に集中できる点がメリットです。業務の効率や生産性が上がれば従業員が仕事をしやすくなり、やりがいの向上や離職率の低下が期待できます。
在庫管理にAIを活用すると、人力では難しい複雑化したデータの管理もスムーズです。在庫管理に関する業務を自動化してデータ分析も任せられるので、人間にしかできないコア業務に注力できるようになるでしょう。
人手不足が解消する
膨大な商品のデータを手動で蓄積・計算・分析するには、多くの労力を必要とします。実行したくても人手不足が原因で難しかったり、人員の確保に予算を割けなかったりする場合もあるでしょう。
人力で計算するとなれば、ミスが起こる可能性もあります。チェック体制を整えるためにさらに人手が必要になり、いつまでたっても人手不足が解消しません。
時間がかかるデータの集計や分析をAIが代行してくれる在庫管理システムがあれば、人手不足の悩みから解放され、長い目で見ればコストの削減にもつながります。
より精度の高い需要予測が可能になる
AIを導入した在庫管理システムを活用すると、精度の高い需要予測を行える点がメリットです。より正確な需要予測ができれば、過剰在庫やロスを減らして利益の向上を目指せます。
ベテランの勘や経験だけを頼りにした需要予測を行っていると、将来的なリスクにつながる可能性がある点が問題です。個人の勘や経験をほかの従業員に伝えるのは難しいので、次の人材がなかなか育たず、ベテランの退職後は予測精度にムラが出る事態が起こり得ます。
AIを導入すれば業務の属人化の解消につながり、誰でも必要なデータを活用できる体制の構築が可能です。
『UMWELT』で予測精度を向上させ、適正在庫の管理を
『UMWELT』は、TRYETINGが提供しているノーコードAIツールです。DXやAIに関する専門知識を持つ人材がいなくても、ドラッグ&ドロップなどの基本操作で、AIを活用した在庫管理や需要予測ができます。
POSデータ・受発注データ・基礎システムのデータといった、既に社内にある情報を活用して分析が可能です。導入にあたって一からシステムを構築したりサーバーを設置したりする必要がないため、費用も抑えられます。
うまく使えば無駄な在庫の削減や回転率の向上が可能です。専門家によるサポート体制やAIの基礎を学べる講座なども用意しているので、導入・運用にあたっての不安もすぐに解消できます。
『UMWELT』を使った在庫管理の成功事例
AIツールと聞くと導入へのハードルが高いと感じたり、具体的にどのように活用できるのか分からないと不安に思ったりする方も多いでしょう。
導入で成功した事例をチェックすれば、在庫管理への活用法を具体的にイメージできます。『UMWELT』を用いて在庫管理の効率化に成功した企業の事例を確認しましょう。
在庫回転率1.5倍「繊維系卸売業者」様
『UMWELT』を大規模な過去データの分析に活用した、繊維系卸売業者様の事例をご紹介します。複雑かつ属人的な生産管理業務を解決することが、同社の課題となっていました。
数十万に及ぶ多様な商品に対し、顧客需要だけでなく気候や為替などの外的要因・イベント要因を把握しながら、人力で正確な需要予測を実現するのは困難です。
UMWELTの活用で、高精度な需要予測や発注数・タイミングの最適化の自動化を実現しています。また、AI技術を活用した在庫生産管理エンジンにより、在庫回転率を平均1.5倍に向上させられることが分かりました。
適正在庫の管理に成功「株式会社ASNOVA」様
株式会社ASNOVA様は、足場機材のレンタル事業を営む会社です。全国にある機材センターで必要な足場を管理する業務の負担が大きく、適正在庫の管理や属人化の解消が課題となっていました。
『UMWELT』を使用した需要予測で必要在庫を算出し、特定の担当者に偏っていた業務負担を改善しています。入出庫データから需要予測が可能になり、約300種類もの商品の需要予測をわずか数分で済ませられるようになりました。
機材購入の判断材料にも活用され、テスト運用を始めて約9か月という短い期間で、失注を必要最低限に抑えることに成功しています。
まとめ
棚卸資産回転率は、一定期間内で在庫がどれだけ回転しているかを知るために用いられる指標です。棚卸資産回転率を把握すれば、在庫の実態を可視化できて適切な在庫管理に役立ちます。
在庫管理業務の効率化には、商品管理や倉庫内の整頓、在庫管理システムの活用が欠かせません。在庫管理にAIを利用すると、業務の自動化や人手不足の解消など幅広い課題の解決に役立ちます。需要予測の精度を上げて、利益を向上させることも可能です。
在庫管理システムの導入は今後の企業の成長に必要なDXの観点からも、効果的な方法といえます。『UMWELT』を活用すれば、少ない予算でもAIを使った在庫管理ができるようになるでしょう。
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