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食品ロスの現状や解決策は?成功の鍵を握る需要予測の方法もチェック

食品ロスの現状や解決策は?成功の鍵を握る需要予測の方法もチェック

企業が抱える食品ロスの問題を何とかしたいと思っていても、具体的に何から始めればよいのか分からないという方もいるのではないでしょうか。この記事を読むと、食品業界に携わる企業がすべきことを理解できます。食品ロスの現状や、企業向けの解決策について見ていきましょう。

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日本における食品ロスの現状


食品ロスは単にもったいないだけでなく、廃棄にかかるコストが増え環境にも悪影響を与えるなど、さまざまな観点から問題視されています。

各家庭だけの問題ではなく、食品産業に関わる全ての人にとって解決すべき問題として、国家主導のもとに改善への試みが行われています。日本における食品ロスの現状や、どのような取り組みが行われているのかをチェックしましょう。

事業系の食品ロスは275万トン

農林水産省が発表している2020年度の推計値によると、日本の食品ロスの量は年間522万トン、うち事業系食品ロスは全体の53パーセントで275万トンです。

国民1人につき1日約113グラムの食品を捨てている計算です。茶碗1杯分が約150グラムと考えれば、もったいないと感じる人は多いでしょう。事業系の食品ロスは主に4つに分けられ、275万トンの内訳は以下の通りです。

食品製造業・・121万トン
外食産業・・・81万トン
食品小売業・・60万トン
食品卸売業・・13万トン

こうした食品ロスを減らすために『食品ロスの削減の推進に関する法律』が定められ、自治体が『食品ロス削減推進計画』を策定するなど、改善に向けての整備が進められています。
(参考:『食品ロスとは:農林水産省』)

『食品リサイクル法』により食品ロスを抑制へ

食品リサイクル法(正式名称『食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律』)は、食品廃棄物の有効活用と食品ロスの抑制を目的にした法律です。食品製造業や外食産業、食品の流通に関わる事業者に対して定められています。

食品廃棄物等を多量に発生させる事業者は、食品廃棄物等の発生量や再生利用といった取り組み状況を報告しなければなりません。

この法律で食品を扱う業者に求められているのは、食品の加工時に発生する残りかすや食品の売れ残り、食べ残しなどの発生抑制に努め再利用やリサイクルの促進をすることなどです。

業種別に食品廃棄物について単位あたりの発生量の目標値が定められています。業種別目標値の一覧は、農林水産省のホームページから確認しましょう。
(参考:『食品リサイクル法:農林水産省』)
(参考:『食品廃棄物等の発生抑制の取組:農林水産省』)

官民一体で取り組みが進んでいる

食品製造業・卸売業・小売業における食品ロスの発生要因を取り除くために、商慣習の見直しが進められています。

例えば、食品小売業に見られる賞味期間の1/3を超えたものを入荷しない「1/3ルール」の商習慣は、食品ロスの発生要因のひとつです。1/3ルールの緩和と併せて、メーカーにおける賞味期限の延長と年月表示化も推進しています。

また、販売機会の損失を恐れる小売店が、大量に商品を発注することも食品ロスが発生する原因です。今後は需要に見合った仕入・販売をするための工夫が、より一層求められます。
(参考: 『事業系食品ロスの削減に向けた取組:農林水産省』)

食品ロスとSDGsの関係


SDGs(エスディージーズ)は2015年に国連の加盟国全会一致で採択された、持続可能な世界を実現するための目標です。17のゴールと169のターゲットから成り立ち、先進国が取り組むべき普遍的な目標として掲げられています。

日本では2016年に総理大臣を本部長に置いた「SDGs推進本部」が設置され、日本の取り組みの指針を定めました。食品ロスとSDGsの関係を詳しく見ていきましょう。

食品ロスの減少はSDGsの目標のひとつ

食品ロスの減少はSDGグローバル指標の「12:つくる責任つかう責任」の中で定められています。具体的な目標は、2030年までに世界全体の1人あたりの食品廃棄を半減させることです。

目標を達成するには、事業系食品ロスと家庭系食品ロスの両方を減らしていかなければなりません。『Sustainable Development Report 2022』によると目標12に対する日本の達成度はまだまだ低く、大きな課題が残る状態です。

SDGsの達成度を高めるために、今後もますます各企業における食品ロス減少への取り組みが必要とされるでしょう。
(参考:『JAPAN SDGs Action Platform | 外務省』)
(参考:『Sustainable Development Report 2022』)

廃棄物処理による環境への負担も課題

食品ロスはSDGグローバル指標の「13: 気候変動に具体的な対策を」にも関係しています。食品ロスが多いほど廃棄物を焼却する機会が増え、二酸化炭素が出て環境に悪影響を与えるためです。

国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によると、食品ロスによって生じる温室効果ガスは全体の8パーセント~10パーセントを占めるとされます。

まだ食べられる状態の食品を大量に廃棄すると、単にもったいないだけでなく温室効果ガスを増やし、気候変動への対策が難しくなってしまうでしょう。環境への配慮が求められている点も押さえて、事業の改善計画を立てることが大事です。
(参考: 『JAPAN SDGs Action Platform | 外務省』)
(参考: 『IPCC 「土地関係特別報告書」の概要|2020年度 環境省』)

食品業界向け食品ロスの解決策


食品ロスを減少させるために、できるだけの対策に取り組みたいと考える食品業界の企業は多いでしょう。もし何らかの対応を実施しているのに、効果が出ていない場合は解決策の見直しが必要です。

小売店や飲食店など食品を扱う業界では、具体的にどのような解決策があるのか見ていきましょう。

「先入れ先出し」を徹底する

小売店や飲食店などで食品ロスを減少させるには、在庫管理を徹底することが必要です。「納品された食材は使用の際、先入れ先出しにする」という基本を守りましょう。

古いものから順番に使用する「先入れ先出し」はできていて当然の部分ですが、従業員への教育が不足していたり周知が徹底されていなかったりすると、不十分になりがちです。

食材を入れるときと出すとき両方で、古いものから順に使うことを徹底しましょう。従業員の対応に不安がある場合、研修を設けたほうが安心です。

冷蔵庫や冷凍庫内を整頓する

冷蔵庫や冷凍庫内が整頓されていない状態だと食材を管理しづらいので、在庫の過不足が起きやすくなります。先入れ先出しがうまくできない原因になったり、不必要な食材の発注といったリスクが発生するでしょう。

また、整頓ができていないと長時間、冷蔵庫を開けたままにしておく事態につながります。冷蔵庫を開けておくことで生まれる電力消費量の増加も問題です。食材を見つけやすくするために、使用頻度や用途別にグループ分けして中身が見える容器への保管といった工夫をしましょう。

棚卸をする

棚卸を行い、月ごと・週ごとなどの在庫量や品質を確認しましょう。棚卸をすると仕入れデータと照らし合わせながら仕入れ状況や傾向を把握し、適切に仕入れができているかをチェックできます。

不必要な食材を無駄に仕入れないようにするには、店舗の在庫状況を正確に把握することが大事です。多くの在庫を抱えずに済めば、食品ロスや損失が減ります。

長期保存ができない生鮮食品を扱う業種では、無駄な在庫がそのまま食品ロスにつながるケースが多いので、特に注意したい部分です。

需要予測をして適正量を発注する

需要予測は、どのような商品がどれだけ売れるのかを予測することです。売上情報・気象・顧客情報・トレンドなど、あらゆるデータを考慮して需要を考え、どれだけの量を発注すれば過不足がなくなるかを検討します。

適正量を予測できれば、販売の機会損失を恐れて無駄に多くの商品を仕入れる必要がなくなり、在庫の最適化が可能です。

過去の販売データに基づいて綿密に計算している企業もあれば、ベテランの仕入れ担当者が勘や経験を基に行っている企業もあります。「これまでに蓄積したデータを使ってどれだけ正確に予測できるか」が、食品ロスを減少させるための鍵を握っています。

代表的な需要予測の方法


予測需要はさまざまな業種に取り入れられている方法で、どのような手法が使われているかは企業によって異なります。いずれの方法で行う場合も、自社とのマッチングや精度の高さなどをポイントに選ぶことが重要です。代表的な需要予測の方法を見ていきましょう。

担当者の経験による予測

担当者の経験や知識を頼りに、高い予測精度を実現している企業は少なくありません。長い間、その業務に携わっていると経験則によって顧客が何を求めているのかを判断できるようになります。

しかし、ベテランにしか精度の高い予測ができない点が課題です。予測が外れれば、食品ロスの増加や機会損失といった問題が待っているので、担当者のプレッシャーが大きく特定の従業員に負担が集中する点もデメリットといえるでしょう。

仕事を分担しようとしたときには、経験や勘による予測を他者と共有するのは難しく、なかなか人材が育たない原因になってしまいます。

移動平均法や指数平滑法などの活用

需要予測は経験や勘に頼るだけでなく、計算式を活用して導き出すことも可能です。実際にExcel(エクセル)をはじめとした表計算ソフトを使用して、計算している方も多いでしょう。

移動平均法は分析対象となる数値を移動させながら予測値を出す方法で、直近のデータさえあれば算出できます。

指数平滑法は過去の実績値と予測値を使用し、新しい予測値を出す方法です。「α×前期の実績値+(1-α)×前期の予測値」の計算式を使います。αは平滑係数と呼ばれる任意の指数を入れ、この指数は1に近いほど実績を重視した数値が出る仕組みです。

ほかにも、販売数と時間の関係などの因果関係がある変数を使用する回帰分析法や、移動平均法に期間ごとの情報を合わせて計算する、加重移動平均法などの計算方法があります。

AIによる需要予測

AIによる機械学習で企業に蓄積された売上・出荷数・品番・数量などのデータを使用し、需要予測をする方法もあります。業務の効率化が実現でき、DXの観点からも注目されている方法です。

膨大なデータを使って正確な分析ができるので、予測の精度を向上させられます。在庫管理や自動発注に対応したものを選べば、より効率よく業務を進められます。

AIによる需要予測の導入方法はベンダーへの委託や提携、自社の担当者のみで導入する方法などです。後者の場合、専門知識を持つ人材を確保しないとスムーズな運用が難しくなります。自社に合う方法で導入しましょう。
(参考:『AI導入ガイドブック|経済産業省』

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人の手でする需要予測の課題


需要予測を担当者が自力で行っている場合もあれば、表計算ソフトを利用している場合もあるでしょう。扱う製品数が少なく規模が小さな企業であれば手作業でも何とかなりますが、製品数が多くなると効率がよくありません。手動で行う需要予測の課題を見ていきましょう。

業務が属人化しがち

勘や経験による需要予測は、ベテランにしかできません。決まった従業員のみに需要予測を任せていると、「その人でないと分からない状態」になります。

担当者が退職や異動などでいなくなると、正確な予測ができなくなるリスクがあるので、特別な経験や知識がない人でも活用できる形としてデータを蓄積していくことが必要です。

また、Excelなどを使用して予測値を計算している場合、ソフトの扱いに長けている従業員でないと、正しく操作できない状態に陥る可能性もあります。誰でも簡単に需要予測ができる仕組みの導入が、こうした問題に対する有力な選択肢です。

製品数が多く管理しきれない

取り扱っている製品数が少ない場合、人の手だけで計算をするのはそれほど大変ではありません。しかし、取り扱っている製品数が多いと、全ての製品の需要を予測する時間が足りず、主要な製品のみに注力せざるを得ない状況に陥りがちです。

その結果、販売機会を逃したり不良在庫を抱えたりする場合があります。製品数が多いほど作業量が多くなり、ミスが起きやすい状態になってしまう点も問題です。

精度の信頼性に欠ける

個人が自力で行う需要予測は、経験や勘をほかの人に伝えるのが大変です。製品によって精度にバラツキが出やすい上、信頼性に欠ける場合もあります。

また、個人の経験や勘だけに頼った需要予測は、注意しないと大きな判断ミスにつながるでしょう。どれほどベテランでも、肉体的・精神的なプレッシャーが大きい状態では誤った決断をすることもあります。

そこでAIによる機械学習を導入することで、予測をする度にデータが蓄積され精度を向上させることができます。より正確な予測をするには、需要予測の目的を明確にし信憑性が高いデータを使用することが重要となります。

食品ロスの解決策にTRYETINGの『UMWELT』を


TRYETINGの『UMWELT』はプログラミングの知識がない方でも、ドラッグ&ドロップのような簡単な操作で需要予測ができるノーコード予測AIです。機械学習や安全在庫計算などのアルゴリズムを使用し、精度が高い予測を実現できます。

Excelデータや基幹システムと連携し、さまざまな数量の予測に役立つのが特徴です。全ての製品に対して正確な計算ができるUMWELTを活用し、食品ロスを減少するための体制を強化しましょう。使用方法についての講習会や、専門家がサポートするプランなども準備しています。

まとめ


食品ロスの減少は環境問題と密接な関わりがあり、SDGsの達成に欠かせない要素のひとつです。国を挙げての取り組みが実施され、食品リサイクル法の整備や食品ロスにつながる商習慣の見直しも行われています。

事業系食品ロスの発生を抑えるには、AIによる高精度な需要予測を取り入れる方法がおすすめです。社内にAIやITに詳しい人材がいなくても導入可能な『UMWELT』を使用すれば、これまで人力で行っていたデータ分析に時間を割かなくてもよくなり、効率よく食品ロスの抑制を実現できます。

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