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倉庫業を始めるために必要な基礎知識!倉庫業法や現状・課題を理解する

目次
倉庫は物流を円滑にする上でなくてはならない施設です。近年、日本の物流を取り巻く状況は、ECの発展などで大きく変化し、倉庫に求められるサービスも多様化しています。
荷物輸送の需要が増大する中、新たに倉庫業を開業したいとお考えの方もいるでしょう。
この記事では、倉庫業を開業するために必要な基本情報や開業に向けた具体的な手順・ポイント、業界の現状と課題について解説します。課題解決のポイントも紹介しますので、開業に向けた基礎知識を獲得できるでしょう。
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倉庫業のための基礎知識
倉庫にはさまざまな種類が存在し、それぞれの運営に必要な基準が法律で定められています。基本情報を理解しないまま起業に向けた準備を進めると、時間を要したり不備が生じたりする恐れがあるため注意しましょう。
ここでは、倉庫業の定義と仕事内容を紹介します。
倉庫業とは
倉庫は、荷物を消費者に届けるために不可欠な施設です。倉庫を提供する事業を倉庫業と呼び、事業者は倉庫業法で国土交通大臣の登録が必要と規定されています。
また、事業を適切に管理運営するために、倉庫管理主任者の任命が義務付けられています。倉庫の種類ごとに定められた基準を満たし、適正な運営と円滑な流通を確保するためです。
近年では荷物の保管・荷役業務の他、流通加工・在庫管理などの情報管理業務も倉庫業の一環となり、物流の効率化を支えています。
自家倉庫と営業倉庫は異なる
個人で倉庫を保有し、自分の荷物だけを保管・管理する場合は「自家倉庫」です。倉庫業法で規定している登録を受ける必要はなく、全て自己責任の下で管理します。
一方、顧客など他人の荷物を預かって管理する場合は「営業倉庫」となり、倉庫業法の対象です。営業倉庫を保有するには、厳格な基準を満たさなければなりません。例えば、耐震・耐火面の基準、災害発生時の対策、火災保険などへの加入が必須です。
荷主から預かった荷物の保管責任は営業倉庫の事業者にあり、トラブルが発生したときには、約款に基づき一切の責任を負います。
主な仕事内容
一般的な営業倉庫では、主に以下の作業を行います。
・検品
・入庫
・保管
・流通加工
・ピッキング
・仕分け
・出荷
倉庫に届いた荷物は、依頼内容と相違がないか、種類・数量・製造年月日をひとつひとつ確認します。間違いがあった場合、荷主に問い合わせて対応を依頼するのが一般的です。
検品が終わった荷物は規定エリアに運び、保管場所に間違いがないか、数量が合っているか確認して保管します。冷蔵・冷凍環境が必要な荷物は、厳重な温湿度管理が重要です。
注文が入ったら、ピッキングリストを参照して荷物を集めます。その後、配送ルートなどの条件に従って荷物を仕分け、トラックへ載せて出荷すれば完了です。
倉庫業の主な種類
営業倉庫には、さまざまなタイプがあります。全ての営業倉庫は構造、設備、荷物の種類によって大きく3つに分類できます。
倉庫業を始める際には、自社の営業倉庫で扱う荷物を想定し、該当する区分の申請が必要です。ここでは、それぞれの倉庫の特徴を理解しましょう。
普通倉庫業
普通倉庫は、農業製品から金属や原油、食品、骨董品まで幅広い荷物を保管する倉庫です。
1類倉庫は、荷物の扱いに特別な制限がない雑貨などの保管に使われ、危険物の保管はできません。
2類倉庫は、保管する荷物に制限がある場合に利用する倉庫で、穀物やガラス製の荷物などを保管します。穀物をネズミや害虫から守る対策が必要です。
3類倉庫は、2類倉庫よりも低い管理制限下で荷物を保管します。例えば、陶磁器や原木などの保管が可能です。
他にも、石油・化学薬品などの危険物を保管する危険品倉庫、バラの穀物や液体を保管する貯蔵槽倉庫、製材・瓦などを野積みで保管する野積倉庫があります。
冷蔵倉庫業
冷蔵倉庫は、冷蔵・冷凍管理が必要な荷物を保管するための倉庫です。必要な温度範囲に応じてC3級からF4級の7段階に分かれています。対象は、食肉・水産物・冷凍食品など10度以下での保管が適切な貨物(8類物品)です。
保管温度は常に10度以下といった基準を満たさなくてはなりません。また、温度がすぐに分かるように、見えやすい位置に温度計を設ける必要があります。
水面倉庫業
水面倉庫は、建屋ではなく、原木など5類物品を保管するための水上倉庫です。
設置する際は、周辺の築堤やその他の方法で保管エリアを防護しなければなりません。海の場合、倉庫周囲に設置した防護施設に荷物を係留し、高潮などによる荷物の流失を防止するといった必要な対策ができていることも重要です。
倉庫業で重要な倉庫業法とは
倉庫業法の下で管理するのは、さまざまな荷物の品質を維持するために適切な管理が必要なためです。倉庫業を始める際は、倉庫業法の内容を詳しく理解しましょう。ここでは、倉庫業法の基本と主要なポイントを解説します。
倉庫業法の目的
倉庫業法の主な目的は以下の3つです。
・倉庫業の適正な運営を確保する
・倉庫利用者の利益を保護する
・倉荷証券の円滑な流通を確保する
倉庫業法で規定する基準を満たすことで、倉庫業を営む企業は必要な設備や運用ルールを策定し、適正な運営ができます。
また、倉庫業法によって事業の品質が保たれると、利用者は安心して荷物を預けられるでしょう。トラブルが生じた際も、規定に従って利益を保護します。
倉庫業の運営に統一した基準を設けることで、企業間でのやりとりも円滑になります。
倉庫業は登録が必要
倉庫業を営むには、国土交通大臣の登録を受けなくてはなりません。企業代表者の氏名、住所、倉庫の場所、種類、設備、保管する物品の種類などを記載して申請します。その後、国土交通大臣が申請書を審査し、結果を通知します。
審査の際、倉庫の設備が倉庫業法で定めた基準に満たない、倉庫管理主任者を確実に選任すると認められないなどの理由があれば、登録はできません。また、申請内容に虚偽があった場合、罰則が科せられます。
倉庫管理主任者を選任
倉庫を新たに設置する際は、倉庫ごとに倉庫管理主任者の選任が必要です。倉庫管理主任者とは、倉庫の適切な管理に必要な知識と能力を持つ人材で、火災の防止や国土交通省令で定める倉庫の管理に関する業務を担います。
倉庫管理主任者を設置しなかった場合、50万円以下の罰金が科せられます。
申請者が登録拒否となるケース
以下のケースでは、国土交通大臣の審査で登録拒否となります。
・申請者が過去に懲役刑もしくは禁錮刑を科せられ、刑の執行終了から2年以内の場合
・過去に倉庫業法に違反したなどで営業停止を命じられ、その日から2年以内の場合
・倉庫の設備が基準に適合していない場合
・倉庫管理主任者を確実に選任すると認められない場合
施設の基準を満たし、適切な倉庫管理主任者を選任すれば、多くの場合は登録できるでしょう。
規定を満たした倉庫でなければならない
営業倉庫の登録を許可してもらうには、施設が基準を満たさなくてはなりません。倉庫の種類ごとに基準は異なります。例えば、1類倉庫として登録する際の施設設備基準は以下の通りです。
・使用権限
・関係法令適合性
・土地定着性等
・外壁、床の強度
・防水性能
・防湿性能
・遮熱性能
・耐火性能
・災害防止措置
・防火区画
・消火設備
・防犯措置
・防鼠(ぼうそ)措置
これらの基準をクリアすることで、危険物と高圧ガス、10度以下で保管する必要のある物品を除いた全ての荷物を保管できます。
倉庫業を起業するまでの流れ
倉庫を新たに設立する場合、倉庫の種類に応じてさまざまな準備が必要です。倉庫を探すところから営業開始までには、長い時間がかかります。
必要なプロセス・スケジュールを把握し、計画を立てることが重要です。ここでは、開業準備から営業開始後の手続きまでに必要な作業項目を紹介します。
準備~契約
倉庫業を始めるにあたって事前準備は重要です。営業開始までのプロセスの中でも多くの時間を要する工程です。
まずは、営業倉庫にふさわしい物件を探します。不動産業者などの関係者と十分に内容を擦り合わせ、条件に合う物件を見つけましょう。
さらに、効率的に申請するために、管轄する運輸支局へ事前に相談します。基準を満たすかどうか、設備に問題がないかを確認してもらいましょう。
他社が管理する物件を借りる際には契約が必要です。施設に問題ないことが確認できたら、契約に進みます。
申請書類の提出
準備が完了したら、倉庫業登録申請書を作成しましょう。倉庫の種類に応じて申請内容や必要な書類は変わります。例えば、1類倉庫の申請に必要な提出書類の一例は以下の通りです。
・倉庫業登録申請書
・倉庫明細書
・施設設備基準別添付書類チェックリスト
・土地・建物の登記簿謄本
・土地・建物の賃貸契約書(賃貸の場合)
・建築確認済証・完了検査済証
・壁や床の構造計算書
・警備状況に関する書類
・倉庫付近の見取り図
・倉庫の配置図
・平面図
・立体図
・断面図
・矩計図等
・建具表等
・倉庫管理主任者関係書類
・法人登記関係書類・戸籍抄本等
・宣誓書
・倉庫寄託約款
全てをそろえるには時間を要するため、計画的に準備することが重要です。申請書類は運輸支局の窓口へ提出します。
審査
申請書類の提出後、運輸支局で審査が行われます。混雑状況によって審査にかかる日数は変わりますが、2か月程度が一般的です。
審査では提出書類を見て倉庫が基準を満たしているか判断するため、必要な情報は全て記載していなければなりません。
登録免許税の納付
審査完了後、倉庫業の開業が認められたら、登録免許税を納付しましょう。新規申請の場合、料金は9万円です。
納付したら、領収証書貼付書に領収書正本を貼付して、運輸支局に提出します。納付が遅れた分、営業開始も遅れるため、できる限り早めに対応しましょう。
営業スタート
この時点で営業倉庫の運用を開始できますが、他にも必要な手続きがあります。営業を開始すると、倉庫の保管料・荷役料などの料金設定とその内容に関する届け出が必要です。料金を変更した場合も同様で、料金の設定・変更から30日以内に申請します。
また、期末時には「期末倉庫使用状況報告書」「受寄物入出庫高及び保管残高報告書」の提出が必要です。
倉庫業の現状や課題
社会情勢の変化とともに、物流や倉庫業に求められるニーズが変化しており、対応に苦慮している企業もあるでしょう。中でも、ECの発展による小口配送の需要急増により、倉庫業を営む多くの企業が変革を迫られています。現場で生じている主な課題は以下の3つです。
・出荷ミス
・帳簿上在庫とのずれ
・入荷と出荷の遅れ
小口配送の需要増加により、倉庫で取り扱う荷物の種類が増えました。従業員の作業量が増加し、内容も複雑化していることからミスが発生しやすくなり、効率を落とす大きな要因となっています。
ミスが発生すると、確認作業に時間がかかり、倉庫業務の負担はさらに増すでしょう。需要の増大は今後も続く見込みで、標準ルールの策定やヒューマンエラーを低減する対策が求められています。
倉庫業の業務効率化を推進するポイント
増え続ける荷物や需要の変化に対応するには、倉庫業務の効率化が必要です。効率化を実現する手段はさまざまですが、多くの倉庫で実績を残している手法がいくつか存在します。
代表的な手法を理解すれば、自社倉庫の取り組みの参考になるでしょう。ここでは、効率化推進に向けた2つのポイントを紹介します。
在庫管理システムを導入する
多様化する需要に対応し、ミスの発生を低減するには、在庫管理システムの導入が効果的です。手作業による在庫管理は時間がかかり、エラーも発生しやすいのがデメリットです。
在庫管理システムは、入庫から出庫まで荷物を一元管理できます。ピッキングや仕分けにバーコードラベルとハンディーリーダーを用いれば、ミスなく確実に作業を遂行できるでしょう。荷物の種類や量が増えても臨機応変に対応できます。
また、保管している荷物の量をリアルタイムで把握できるため、在庫数の最適化も可能です。
業務内容を最適化する
倉庫作業の中で、従業員の慣れやスキルに依存しているのがピッキングです。倉庫の規模が大きくなるほど場所の把握が困難になり、時間を要します。
属人的な作業を最適化するには、自動化が効果的です。注文が入った荷物を指定の場所からピッキングするといった単純作業は、ITが得意とする領域です。
また、従業員が同じ方法で作業できる標準化が欠かせません。作業に従事する誰もが同じ結果を得られるように、マニュアルを作成する方法もあります。マニュアルの作成と活用には、現場の従業員が主体的に関与することが重要です。
UMWELTは倉庫業の業務効率化に最適
倉庫業務の効率化のためにまず取り組みたいのが、ITシステムの導入です。初期投資は必要ですが、ミスの低減やコスト削減が期待できます。
また、需要を正確に予測することで在庫量の適正化を図り、倉庫業務を円滑に進められます。そこでおすすめなのが、TRYETINGの『UMWELT』です。
知識がなくても導入が可能
UMWELTは、ノーコードで利用できるAIツールです。豊富なAI機能を組み合わせることでさまざまな作業を自動化できます。操作に専門的な知識は必要なく、すぐに始められます。
データを扱う多くのツールは、前処理に高度なスキルが必要です。しかし、UMWELTは既存の従業員が操作できるため、短期間で需要予測と在庫管理の最適化を実現します。
業務効率化の成功事例
菓子メーカーの春日井製菓株式会社様では、生産管理や在庫管理に役立つ需要予測を限られた従業員が担当する属人化の課題を抱えていました。担当者の経験や勘に頼っているため、業務の引き継ぎができない点も問題です。
UMWELTの導入に関しては、AIの知識がある従業員がいないことへの不安もありましたが、伴走サポートによりPDCAを回すイメージができるようになりました。脱属人化に加え、在庫や出荷の最適化も目指しています。
(参考: 『【春日井製菓様】UMWELT活用事例|ノーコードで予測業務を簡単にし、属人化を撤廃|TRYETING』)
まとめ
倉庫業を取り巻く環境は大きく変化しており、業務効率化を図る企業が増えています。新たに倉庫業を開業する場合、営業開始までにさまざまな準備が必要です。
効率的な倉庫を実現するには、ITシステムの活用が効果的です。UMWELTは、需要予測や自動化のための多様な機能を有し、多くの企業様で効率化を実現した実績があります。ITシステム導入を視野に入れている企業様は、ぜひご相談ください。
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