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物流倉庫とは?役割と業務内容を解説

物流倉庫とは?役割と業務内容を解説

物流倉庫は、物を保管するだけでなく、入出庫、仕分け、流通加工など、多岐にわたる物流業務を担う重要な拠点です。

本記事では、物流倉庫の基本的な役割から、トランスファー・センター(TC)やディストリビューション・センター(DC)など、各種倉庫の特徴や違いを徹底解説します。また、Amazonのような大手ECが活用するフルフィルメントセンター(FC)の仕組みや、アスクルやヨドバシカメラなどが採用する立地戦略についても詳しく説明します。

さらに、実際の運用におけるメリット・デメリットや、業務効率化のためのDX施策まで、物流倉庫に関する知識を網羅的に学ぶことができます。物流倉庫の導入や見直しを検討している経営者や物流担当者の方に、特に参考になる内容となっています。

1. 物流倉庫とは?

物流倉庫は、商品の保管だけでなく、入出庫管理、仕分け、流通加工、梱包、配送準備までを一貫して行う物流の重要拠点です。近年のEC市場の急成長に伴い、その重要性は増す一方となっています。

1.1 主な役割

物流倉庫の主な役割は以下の3つです。

役割 詳細
保管機能 商品を適切な環境で保管し、在庫を管理します
流通加工機能 商品の仕分け、ラベル貼付、梱包などの付加価値作業を行います
配送準備機能 注文に応じてピッキング、梱包、出荷作業を行います

1.2 物流の領域

物流倉庫が関わる物流の領域は、主に以下の4つに分類されます

領域 概要
調達物流 原材料や部品の仕入れから工場までの物流
生産物流 工場内での部品や製品の移動に関わる物流
販売物流 完成品の保管から小売店舗や消費者までの物流
静脈物流 返品や廃棄物の回収に関わる物流

1.3 レンタル倉庫との違い

物流倉庫とレンタル倉庫には、以下のような明確な違いがあります

項目 物流倉庫 レンタル倉庫
主なサービス 保管、入出庫管理、仕分け、流通加工、配送準備など総合的な物流機能を提供 スペースの貸し出しが主で、荷物の管理は利用者が行う
設備 フォークリフトや自動倉庫など専門的な物流機器を完備 基本的な保管設備のみ
人員体制 物流の専門スタッフが常駐 最小限の管理スタッフのみ
コスト サービス内容に応じて変動 面積に応じた固定費が主

これらの違いにより、国土交通省の物流施策においても、物流倉庫は物流の高度化・効率化を支える重要インフラとして位置付けられています。

2. 物流倉庫にはどのような種類があるのか

世界にはさまざまなタイプの物流倉庫が存在します。社会全体の物流量の増加に伴い、物流倉庫に求められるニーズも多様化しています。企業は、取扱製品の特性や業務内容に応じて、最適な物流倉庫を選択する必要があります。

2.1 TC:トランスファー・センター

トランスファー・センター(TC)は、在庫を持たない中継型の物流倉庫です。主な業務は、入荷した製品の開梱・検品・仕分け・積み換えで、複数のメーカーからの製品を集約し、配送エリアごとにトラックへ積み替えます。

TCは以下のような特徴があります。

項目 特徴
立地 コンビニエンスストアや家電量販店など、販売店舗の近く
配送頻度 高頻度・小ロット配送
コスト 在庫保管費用が不要で比較的低コスト

2.2 DC:ディストリビューション・センター

ディストリビューション・センター(DC)は、一定量の在庫を保管する物流倉庫です。製造元から入荷した製品を保管し、注文に応じて出荷する機能を持ちます。在庫管理や流通加工も行います。

DCは主に次のような業務を担います。

  • 入荷製品の保管管理
  • 在庫数の把握と補充
  • ラベル張り替えなどの流通加工
  • 出荷オーダーに応じた出荷準備

2.3 PDC:プロセス・ディストリビューション・センター

プロセス・ディストリビューション・センター(PDC)は、DCの機能に加工工場の機能を併せ持つ高機能な物流倉庫です。通常の保管・出荷業務に加え、食品加工や部品組立などの高度な加工作業も行います。

PDCでは以下のような特殊な設備や体制が必要です。

  • 食品加工設備
  • 衛生管理設備
  • 専門技術を持つ作業者
  • 品質管理体制

2.4 PC:プロセスセンター

プロセスセンター(PC)は、製品の加工に特化した物流倉庫です。PDCと異なり、在庫の保管機能は持ちません。生鮮食品の加工や部品の組立など、専門的な加工作業を担います。

PCの導入により以下のメリットが期待できます。

  • 店舗での作業工程の削減
  • 専門的な加工の品質均一化
  • 衛生管理の一元化
  • 人件費の最適化

2.5 FC:フルフィルメントセンター

フルフィルメントセンター(FC)は、Eコマース事業に特化した物流倉庫です。在庫管理から受注処理、ピッキング、梱包、配送まで、オンラインショッピングに関わる物流業務を一貫して担います。

FCは次のような特徴を持ちます。

機能 内容
在庫管理 リアルタイムでの在庫状況把握と管理
受注処理 24時間365日の注文受付と処理
返品対応 返品商品の検品と在庫戻し
顧客対応 配送状況の追跡や問い合わせ対応

3. 物流倉庫の立地による違い

物流倉庫はその立地によって特徴が大きく異なります。立地の選択は、物流コストや配送効率に直接影響を与える重要な要素となります。企業は自社の事業内容や取引先の位置関係を考慮して、最適な立地を選択する必要があります。

3.1 生産立地型

生産立地型は、工場や生産拠点の近くに設置される物流倉庫です。生産拠点からの輸送コストを抑え、製品をスムーズに保管・管理することができるのが特徴です。

メリット デメリット
・生産拠点からの輸送コストが低い
・生産計画と在庫管理の連携が容易
・品質管理がしやすい
・消費地までの輸送コストが高くなる可能性
・配送時間が長くなる可能性
・土地代が比較的安価

生産立地型の倉庫は、国土交通省の調査によると、特に製造業が集中する工業地帯で多く見られます。例えば自動車部品メーカーや電機メーカーなど、大量生産を行う企業に適しています。

3.2 消費立地型

消費立地型は、商品の消費地である都市部や人口密集地域の近くに設置される物流倉庫です。最終配送先への短時間での配送が可能で、配送頻度を高めることができるのが特徴です。

メリット デメリット
・配送時間の短縮が可能
・配送頻度を上げやすい
・在庫の即時補充が可能
・土地代や賃料が高額
・生産拠点からの輸送コストが高い
・大規模な施設の確保が困難

消費立地型の倉庫は、野村総合研究所によると、特にEC(電子商取引)の急成長に伴い需要が増加しています。例えば、食品スーパーやドラッグストア、ECサイトの運営企業などが採用しています。

近年では、両方の利点を組み合わせたハイブリッド型の立地戦略も注目されています。これは、生産拠点近くの大規模倉庫と消費地近くの小規模倉庫を組み合わせて運用する方式です。

4. 物流倉庫が担う業務内容

物流倉庫では、商品の入庫から出荷まで、さまざまな業務が行われています。これらの業務は商品の品質管理や効率的な物流を実現する上で重要な役割を果たしています

4.1 入庫・検品

入庫作業では、まず配送されてきた商品の受け入れを行います。この際、以下の項目を確認します。

確認項目 確認内容
数量確認 納品書と実際の商品数の照合
品質チェック 破損や汚れの有無の確認
ロット番号確認 製造日や消費期限の確認

検品作業は商品の品質を保証する重要な工程であり、不良品の混入を防ぐ最初の防衛線となります

4.2 ピッキング・仕分け

ピッキングは、注文に応じて保管場所から必要な商品を取り出す作業です。主に以下の手法が用いられます。

  • シングルピッキング:1つの注文ごとに商品を集める方式
  • バッチピッキング:複数の注文をまとめて商品を集める方式
  • ゾーンピッキング:保管エリアを分けて担当者を配置する方式

昨今では、バーコードやRFIDを活用した在庫管理システムの導入により、ピッキング精度の向上と作業時間の短縮を実現している倉庫が増えています

4.3 流通加工

流通加工では、商品の付加価値を高めるための作業を行います。代表的な作業として以下があります。

  • 値札付け
  • ラベル貼付
  • セット組み
  • 包装変更
  • 品質検査

流通加工により、店舗での作業負担を軽減し、商品の即時販売を可能にすることで、サプライチェーン全体の効率化に貢献しています

4.4 梱包・出荷

出荷の際は、商品の特性に応じた適切な梱包が必要です。主な配慮点として以下が挙げられます。

配慮項目 具体的な対応
商品保護 緩衝材の使用、防水処理
温度管理 保冷材の同梱、断熱材の使用
配送効率 サイズ・重量の最適化

梱包・出荷作業は物流の最終工程として、商品の安全な配送と顧客満足度の向上に直結する重要な役割を担っています

5. 物流倉庫を利用する場合はデメリットにも注意

物流倉庫では、企業の要望に合わせて様々な業務を効率的に実施できますが、適切に活用するには十分な検討が必要です。外部業者による運営には、自社運営とは異なる課題があることを理解しておきましょう。

5.1 利用するメリット

物流倉庫を利用することで得られる主なメリットは以下の3点です。

メリット 詳細
コストの最適化 施設の維持費や人件費を固定費から変動費に転換でき、繁閑に応じた柔軟なコスト管理が可能になります
専門性の活用 物流の専門家による効率的な運営と最新の物流技術やシステムを活用できます
本業への集中 物流業務を外部委託することで、自社の中核事業に経営資源を集中投下できます

5.2 注意したいデメリット

物流倉庫の利用には以下のようなデメリットも存在します。

デメリット 詳細
コミュニケーションの課題 情報伝達の遅延やミスコミュニケーションが発生するリスクがあります
柔軟性の制限 急な要望や特殊な対応が必要な場合、迅速な対応が難しい場合があります
品質管理の懸念 自社での直接的な品質管理が難しく、サービスレベルの維持に注意が必要です
ノウハウの蓄積不足 社内に物流に関する知識やノウハウが蓄積されにくくなります

これらのデメリットを最小限に抑えるためには、以下の対策が重要です:

  • 定期的な運営状況の確認と品質管理の実施
  • 明確なSLA(サービスレベル合意)の設定
  • 緊急時の対応手順の確立
  • 定期的な業務レビューと改善提案の実施

特に注意が必要なのは、トラブル発生時の対応体制です。物流倉庫との間で、問題が発生した際の連絡体制や対応手順を事前に明確化しておく必要があります。

物流倉庫の選定時には、これらのメリット・デメリットを十分に考慮し、自社の事業規模や特性に合った最適な選択をすることが重要です。また、定期的なモニタリングと評価を行い、必要に応じて運用方法の見直しを行うことで、より効果的な物流体制を構築することができます。

6. 物流倉庫の利用を見直す場合にすぐにできること

物流倉庫の効率的な活用のために、まずは現状の業務フローを見直すことから始めましょう。以下の項目から改善できるポイントを探ることができます。

6.1 在庫管理の効率化

適正在庫量の見直しは、倉庫スペースの有効活用と保管コストの削減に直結します。過剰在庫を抱えている場合は、以下の対策を検討しましょう。

対策 具体的な施策
在庫の見える化 バーコード管理システムの導入、定期的な棚卸の実施
発注量の最適化 需要予測に基づく発注点の設定、季節変動の考慮
保管方法の改善 棚の有効活用、動線の見直し

6.2 作業動線の最適化

倉庫内での人やモノの移動を最小限に抑えることで、作業効率を大幅に向上させることができます。以下のポイントに注目して見直しを行いましょう。

  • 出荷頻度の高い商品を出荷場所の近くに配置
  • 関連商品をまとめて保管
  • 季節商品の保管場所を柔軟に変更

6.3 デジタル化の推進

紙の伝票や手書きの記録に依存している場合、以下のようなデジタルツールの導入を検討しましょう。

  • 在庫管理システム(WMS)
  • 入出荷管理システム
  • バーコードリーダーやハンディターミナル
  • 電子伝票システム

6.4 人員配置の最適化

繁閑の差が大きい物流倉庫では、適切な人員配置が効率化の鍵となります。以下の要素を考慮して人員計画を立てましょう。

時期 考慮すべき要素
通常期 日々の入出荷量、定期的な棚卸作業
繁忙期 季節商品の入荷、セール時の出荷増加
閑散期 設備メンテナンス、研修実施

6.5 アウトソーシングの検討

すべての業務を自社で抱え込まず、以下のような業務は外部委託を検討することで効率化が図れます。

  • 配送業務
  • 検品作業
  • 在庫管理
  • ピッキング作業

専門業者へのアウトソーシングにより、自社のコア業務に経営資源を集中させることが可能になります

6.6 コスト分析の実施

定期的なコスト分析を行い、以下の項目について見直しを図りましょう。

  • 人件費の適正化
  • 保管コストの削減
  • 運送費の見直し
  • 包装資材のコスト削減

これらの改善策を実施する際は、国土交通省の資料なども参考にしながら、段階的に進めていくことをお勧めします。

7. UMWELTはペーパーレスの推進に最適

物流業務の効率化を目指す企業におすすめなのが、TRYETINGの『UMWELT』です。

紙による管理を電子化し、データを活用することで、業務効率改善を目指す例は数多くあります。しかし、目標を達成するのは容易ではありません。ツールの操作には専門性が不可欠で、導入には多額のコストや多くの時間が必要です。

UMWELTは難しいプログラミングが不要なAIツールで、専門的な知識がない従業員でも操作できます。例えば、過去の取引実績を用いてAIによる需要予測をすれば、物流の最適化に役立つでしょう。他にも、安全在庫の計算や自動シフト作成のような高度なAI機能をプログラミングなしで利用できます。

8. まとめ

物流倉庫は、単なる保管スペース以上の機能を持つ重要な物流拠点です。入出荷、検品、ピッキング、流通加工など、多岐にわたる業務を担い、サプライチェーン全体の効率化に貢献します。立地によって生産立地型と消費立地型に分類され、TCやDC、PDC、PC、FCなど、目的に応じた様々な種類があります。

自社での物流倉庫運営には人件費や設備投資などの負担がありますが、アウトソーシングすることで初期投資を抑えられ、専門業者のノウハウも活用できます。一方で、外部委託による管理の難しさやコスト増加というデメリットもあるため、自社の状況に応じた選択が重要です。また、デジタル化の推進により、ペーパーレス化や在庫管理の効率化を図ることで、より効果的な物流倉庫の活用が可能となります。

WRITING BY

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