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物流業界とは?仕組みから現状の課題、将来性まで徹底解説
目次
私たちの生活や経済活動を根底から支える物流業界。
ECサイトの普及により需要が急増する一方で、トラックドライバーの人手不足や「2024年問題」といった深刻な課題に直面しています。
本記事では、物流業界の基本的な仕組みから、倉庫や配送などの業務内容、活躍する職種までを網羅的に解説します。
さらに、サプライチェーン全体が抱える課題への結論として、AIやロボットを活用した物流DXの推進が不可欠である理由とその将来性も紐解きます。
この記事を読むことで、激動する物流業界の現状と今後の展望がすべて分かります。
1. 物流業界の基礎知識と全体像

物流業界とは、原材料や製品が生産者から消費者へと届くまでの「モノの流れ」を支える産業分野の総称です。
一般的には物を運ぶだけの仕事というイメージを持たれがちですが、実際には保管・荷役・包装・流通加工・情報管理といった多様な業務を含む幅広い産業であり、私たちの生活や経済活動を根底から支えています。
1.1 物流の定義と社会における役割
物流(ロジスティクス)とは「物的流通」の略称であり、原材料や部品、完成した製品などの「モノ」が生産者から消費者まで流れる過程を最適化する活動全般を指します。
具体的には、輸送・保管・荷役・包装・流通加工・情報管理という6つの基本機能から構成されています。
物流の主な役割は、「必要なモノを、必要な時に、必要な場所へ、必要な量だけ、適切な状態で、適切なコストで届ける」ことです。
この条件を満たすことで、サプライチェーン全体の効率化と価値向上に貢献しています。
また、災害時の救援物資輸送や、日々の生活必需品の安定供給など、社会インフラとしての極めて重要な役割も担っています。
| 物流の基本機能 | 主な内容 |
|---|---|
| 輸送 | トラック・船舶・鉄道・航空機などを利用して物を運ぶ活動 |
| 保管 | 物品を倉庫などで保管・管理し、需要と供給のバランスを調整する活動 |
| 荷役 | 輸送機関と保管施設間での積み降ろしや運搬作業 |
| 包装 | 商品を保護し、取扱いやすくするための梱包作業 |
| 流通加工 | 物流過程における仕分け・値札付け・箱詰めなどの付加価値をつける作業 |
| 情報管理 | 在庫・輸送状況などの情報を収集・処理・伝達する活動 |
1.2 物流業界の市場規模と経済効果
日本の物流業界は国内総生産の約5%を占め、その市場規模は約25兆円から30兆円規模と推計されています。
また、物流業界は国内で約140万人以上もの雇用を創出しており、日本経済を支える重要な基幹産業の一つとして確固たる地位を築いています。
特に近年は電子商取引市場の急拡大により、物流の重要性はさらに高まっています。
日本国内の電子商取引市場規模は年々拡大を続けており、それに伴い宅配便の取扱個数も年間約50億個に迫る勢いで過去最高水準を記録しています。
さらに、物流は製造業や小売業、サービス業など、あらゆる産業の基盤となっています。
物流の効率化はサプライチェーン全体のコスト削減に直結し、企業の競争力強化に大きく貢献します。
日本経済全体の生産性向上や持続的な成長においても、物流業界がもたらす経済効果は計り知れません。
2. 物流業界の主な業務内容と仕組み

物流業界は「モノを運ぶだけ」というイメージを持たれがちですが、実際には多岐にわたる業務から成り立っています。
ここでは物流業界の基本的な業務内容と、商品が消費者に届くまでの具体的な仕組みについて解説します。
2.1 物流を構成する6つの基本機能
物流業界の業務は、国土交通省の定義によると、主に以下の6つの基本機能に分類されます。
これらの機能が有機的に連携することで、生産者から消費者へとモノが円滑に流れる仕組みが構築されています。
| 基本機能 | 主な業務内容 | 重要性 |
|---|---|---|
| 輸送 | トラック、船舶、鉄道、航空機などを使用した荷物の移動 | 物流の根幹となる機能で、適切な輸送手段の選択が物流コストを大きく左右する |
| 保管 | 倉庫での商品の一時的または長期的な保管と在庫管理 | 需要と供給のバランスを取るための緩衝機能を果たす |
| 荷役 | トラックや倉庫での荷物の積み下ろし、移動作業 | 労働集約的な作業で、効率化が物流全体の生産性向上に直結する |
| 包装 | 輸送中の破損を防ぐための梱包材選定と包装作業 | 商品価値の保護と同時に環境負荷低減の観点からも重要 |
| 流通加工 | ラベル貼り、セット組み、箱詰め、検品など | 付加価値を生み出し、小売業などの下流工程の負担を軽減する |
| 情報管理 | 輸送状況の追跡、在庫情報の管理、需要予測など | 全体の最適化とサービス品質向上に不可欠な要素 |
これらの機能は独立しているわけではなく、相互に関連し合っています。
例えば、効率的な情報管理システムがあれば、輸送ルートの最適化や在庫水準の適正化が可能になり、全体のコスト削減につながります。
2.2 商品が届くまでの具体的な流れ
物流業務は一連の流れとして捉えることが重要です。
発注から配送まで、典型的な物流のプロセスは以下のようになります。
2.2.1 受注・発注プロセス
物流の起点となる工程です。
ECサイトや店舗からの注文情報を受け取り、適切に処理します。
この段階での情報の正確性が後続の全工程の効率を左右します。
受注情報は物流管理システムに入力され、作業指示書が作成されます。
2.2.2 ピッキング作業
倉庫内で注文に応じた商品を選び出す作業です。
効率的なピッキングは以下の方法で行われます。
- 単品ピッキング:1つの注文ごとに商品を集める方法
- バッチピッキング:複数の注文をまとめて効率的に集める方法
- ゾーンピッキング:倉庫を区域分けし、担当者が特定エリアを担当する方法
最近では、音声ピッキングシステムやデジタルピッキングシステムの導入により、作業効率と精度が向上しています。
2.2.3 梱包・出荷準備
商品を適切に包装し、配送ラベルを貼付する工程です。
商品の特性に合わせた梱包材の選定や、配送業者のルールに適合した荷姿の準備が必要となります。
多くの企業では環境に配慮した包装材の使用や過剰包装の見直しが進んでいます。
2.2.4 検品作業
出荷前に商品の品質や数量を確認する重要な工程です。
誤出荷を防止し、顧客満足度を維持するために欠かせません。
バーコードやRFIDを活用した検品システムの導入により、人的ミスの低減と作業効率の向上が図られています。
2.2.5 配送・配達
最終的に顧客や店舗に商品を届ける工程です。
配送ルートの最適化や積載効率の向上が重要となります。
最近では時間指定配送やリアルタイム追跡サービスなど、顧客ニーズに応える多様なサービスが提供されています。
2.2.6 返品処理
ECビジネスの拡大に伴い、返品対応の重要性が高まっています。
返品された商品の検品、再販可否の判断、在庫への戻し入れなど、一連の流れを効率的に管理することが求められます。
これらの工程を円滑に進めるためには、各段階での情報連携が不可欠です。
物流管理システムやトラッキングシステムの導入により、全体の可視化と最適化が進んでいます。
3. 物流業界で活躍する主な職種と仕事内容

物流業界は多岐にわたる職種によって支えられています。
単に「荷物を運ぶ仕事」というイメージを持たれがちですが、実際には様々な専門職が連携し、物流システム全体を機能させています。
それぞれの職種が果たす役割と求められるスキルを詳しく見ていきましょう。
3.1 営業職・企画職
営業職および企画職は、物流業界において重要な顧客接点と戦略立案の役割を担っています。
主な業務は、荷主企業(顧客)の物流課題をヒアリングし、最適なソリューションを提案することです。
近年のEC市場の拡大により、多くの企業が自社で在庫を抱えきれない状況に直面しています。
こうした企業に対して倉庫保管サービスや配送網の活用など、物流課題を解決する提案を行い、新規契約の獲得や既存顧客との関係強化を図ります。
また、企画職は新たな物流サービスの開発や、既存業務の改善に向けたプロジェクトを推進します。
営業職・企画職に求められるスキルとしては以下が挙げられます。
- 物流業界の専門知識(輸送手段、倉庫機能、物流コスト構造など)
- 顧客の業界・ビジネスモデルへの理解
- 問題解決力とソリューション提案能力
- コミュニケーションスキルと交渉力
- 物流関連の法規制や国際物流の知識
特に3PL(サードパーティロジスティクス)企業の営業職は、顧客の物流業務全体を請け負うため、幅広い知識と提案力が求められます。
3.2 物流管理・センター長
物流管理職やセンター長は、倉庫内や物流センターにおける日々のオペレーションを統括する重要なポジションです。
現場の作業効率と品質を両立させる必要があり、責任の大きな役割を担います。
主な業務内容は以下の通りです。
| 業務カテゴリ | 具体的な業務内容 |
|---|---|
| 入出庫管理 | 商品の受け入れ、保管場所の割り当て、出荷指示など |
| 在庫管理 | 在庫の把握、棚卸し、適正在庫量の維持 |
| 品質管理 | 検品作業、商品状態の確認、不良品の処理 |
| 作業管理 | ピッキング、梱包、仕分け作業の管理・最適化 |
| 人員管理 | スタッフの配置、シフト管理、教育・訓練 |
| 物流計画 | 配送スケジュール作成、輸送ルート最適化 |
近年はWMS(倉庫管理システム)やAIを活用した自動化技術の導入により、業務効率化を図る取り組みが進んでいます。
特に季節変動や特需対応など、繁忙期の管理体制構築は重要な課題となっています。
3.3 ドライバー・配送スタッフ
ドライバーや配送スタッフは、物流業界の最前線で活躍する職種であり、顧客に直接接する重要な役割を担っています。
主な業務は配送だけでなく、以下のような多岐にわたる責任を負っています。
主な業務内容:
- 荷物の配達・集荷業務
- 配送ルートの効率的な選択
- 車両や機材の日常点検・メンテナンス
- 配送伝票や関連書類の管理
- 顧客対応(受け取り確認、問い合わせ対応など)
- 不在時の対応(再配達の手配など)
ドライバーは全員が大型トラックを運転するわけではなく、配送する荷物の量や配送エリアによって、中型・小型トラックや軽貨物車、台車、電動アシスト自転車など様々な輸送手段を使い分けています。
特に都市部の最終配送(ラストワンマイル)では、小型車両が広く活用されています。
近年の労働環境改善の流れを受けて、配送時間の厳格化や労働時間の適正化が進められており、効率的な配送ルート設計やデジタル機器を活用した業務効率化が求められています。
また、時間外労働の上限規制への対応も業界全体の課題となっています。
3.4 システムエンジニア・IT職
物流業界におけるDXの進展に伴い、システムエンジニアやIT職の重要性は年々高まっています。
物流のデジタル化を推進するこれらの職種は、以下のような業務を担当しています。
主な業務内容:
- 物流管理システム(WMS、TMS)の開発・保守
- 配送最適化アルゴリズムの設計・実装
- IoTデバイスとの連携システム構築
- 在庫管理・発注システムの開発
- 物流データの分析基盤構築
- セキュリティ対策の実装
- システム障害発生時の対応
近年では単なるシステム開発だけでなく、AIやビッグデータを活用した需要予測や配送ルート最適化など、高度な技術を活用した開発が求められています。
特に物流業界特有の複雑な業務プロセスを理解したうえでのシステム設計能力が重要です。
また、物流業界では多くの企業や取引先との連携が必要なため、システム間連携やAPI開発の知識も重要になっています。
EC市場の成長とともにオムニチャネル対応や越境ECへの対応など、新たな物流形態に対応するシステム開発も重要な役割を担っています。
従来のシステム開発では、要件定義から設計、開発、テスト、運用保守までの専門的なスキルが必要でしたが、最近ではノーコードツールの登場により、プログラミングの知識がなくても業務アプリケーションを構築できる環境も整いつつあります。
これにより現場担当者が自らシステム改善に取り組めるようになり、物流業務の改善サイクルが加速しています。
4. 物流業界を構成する企業の種類と特徴

物流業界では、消費者が購入した商品が手元に届くまでに多くの企業が関わっています。
単に物を運ぶだけでなく、保管・管理・コンサルティングなど、さまざまな役割を担う企業が連携することで、効率的な物流システムが構築されています。
本章では、物流業界を構成する主要な企業タイプとその特徴について詳しく解説します。
4.1 総合物流企業(3PL)
総合物流企業は、陸・海・空のあらゆる輸送手段を組み合わせ、荷主企業の物流業務を包括的に請け負う企業です。
特に近年は、企業の物流業務全体を外部委託する3PL(サードパーティロジスティクス)サービスを提供する企業が主流となっています。
日本通運やロジスティード(旧:日立物流)、三井倉庫、センコーなどの大手企業が代表的です。
これらの企業は、単なる輸送や保管だけでなく、サプライチェーン全体の最適化や、顧客の物流課題を解決するためのコンサルティング機能なども強化しています。
本業への集中や物流コストの削減を目指す荷主企業にとって、欠かせないパートナーとなっています。
| 主なサービス内容 | 特徴とメリット |
|---|---|
| 輸配送管理 | 最適な輸送手段の選定や配送ルート設計を行い、効率的な輸送を実現します。 |
| 在庫管理・倉庫運営 | 入出庫管理から適正在庫の維持、ピッキング・梱包までを一括して担います。 |
| 流通加工 | ラベル貼りやセット組み、検品などの付加価値サービスを提供します。 |
4.2 宅配・運送事業者
宅配・運送事業者は、主にトラックなどの車両を用いて、企業間(BtoB)や企業から消費者(BtoC)への荷物の輸送を担う企業です。
日本の物流の約9割を陸運が占めており、物流業界の根幹を支える存在です。
ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便などが代表的な企業として挙げられます。
近年のEC市場の急拡大に伴い、宅配便の取扱個数は増加の一途をたどっており、ラストワンマイルと呼ばれる最終配送の重要性が高まっています。
一方で、2024年問題や深刻なドライバー不足への対応として、配送料金の改定や自動配送ロッカーの設置、置き配の普及など、業務効率化に向けた様々な取り組みが進められています。
4.3 海運・航空貨物事業者
海運・航空貨物事業者は、国際物流や長距離の国内物流において重要な役割を果たしています。
取り扱う貨物の特性や緊急性に応じて、海上輸送と航空輸送が使い分けられています。
海運事業者は、日本郵船、商船三井、川崎汽船などが代表的です。
世界の貿易量の大部分を担っており、大型のコンテナ船やタンカーを使って大量の貨物を一度に輸送できるのが特徴です。
近年は環境規制の強化に伴い、低硫黄燃料やLNG燃料の採用など、環境対応船への投資が進んでいます。
航空貨物事業者は、ANAやJALなどの航空会社や航空フォワーダーが該当します。
短時間で長距離の輸送が可能であり、半導体や電子部品、医薬品など、時間的制約がある高付加価値商品の輸送に利用されています。
| 事業者タイプ | 主な輸送品目 | 特徴 |
|---|---|---|
| 海運事業者 | 自動車、工業製品、穀物、原油など | 大量輸送が可能でコスト効率が良い反面、輸送に時間がかかります。 |
| 航空貨物事業者 | 精密機器、医薬品、生鮮食品など | 最速の輸送手段であり定時性が高いですが、輸送コストは割高になります。 |
4.4 物流不動産・マテハンメーカー
物流業界を裏から支える重要な存在として、物流不動産企業とマテハン(マテリアルハンドリング)メーカーがあります。
これらの企業は、物流の自動化や効率化、労働環境の改善に大きく貢献しています。
物流不動産企業は、プロロジスやGLPなどが代表的です。
これらの企業は、単に保管スペースを提供するだけでなく、複数の企業が共同で利用できるマルチテナント型の大規模物流施設を全国で展開しています。
最新の施設では、太陽光発電システムなどの環境配慮型設計や、託児所、カフェテリアなどの付加価値サービスを備え、従業員の働きやすさ向上にも寄与しています。
マテハンメーカーは、ダイフクやトーヨーカネツなどが知られています。
物流現場で活用される機器や設備、システムを開発・提供しており、自動倉庫システムや無人搬送車(AGV)、ピッキングロボットなどの導入を通じて、人手不足の解消と作業効率の向上を実現しています。
5. 物流業界が抱える現状の課題

物流業界は私たちの日常生活や経済活動を支える重要な社会インフラですが、現在さまざまな課題に直面しています。
特に労働環境や法規制、環境対応といった側面で大きな転換期を迎えており、業界全体での対応が急務となっています。
ここでは、物流業界が抱える現状の主要な課題について詳しく解説します。
5.1 深刻化する人手不足と高齢化
物流業界、特にトラックドライバーの人手不足は年々深刻化しています。
厚生労働省の調査などでも、道路貨物運送業の有効求人倍率は全産業平均を大きく上回る状況が続いており、慢性的な人材不足に陥っています。
さらに、就業者の高齢化も進んでおり、将来的な労働力の確保が危ぶまれています。
この深刻な人手不足と高齢化の背景には、以下のような複合的な要因があります。
| 人手不足・高齢化の主な要因 | 具体的な内容と影響 |
|---|---|
| 少子高齢化による労働人口の減少 | 日本全体の生産年齢人口が減少しており、業界を問わず新規採用が難しくなっている |
| 労働環境と賃金水準の課題 | 長時間労働や不規則な勤務形態に対し、他業種と比較して賃金水準が相対的に低い傾向にある |
| 若年層の就業意欲の低下 | 業界に対する過酷なイメージが先行し、若い世代の入職者が減少している |
| 高齢ドライバーの大量退職 | 現在業界を支えている中高年層のドライバーが定年を迎え、一斉に離職するリスクがある |
物流業界の人手不足がこのまま続けば、物資の安定供給に支障をきたし、最終的には日本の産業全体の競争力低下につながる懸念があります。
将来的に数十万人規模のドライバー不足が発生するという試算もあり、労働環境の改善や多様な人材の活用など、早急な対策が求められています。
5.2 2024年問題による影響
「2024年問題」とは、働き方改革関連法の改正により、2024年4月1日から自動車運転業務の時間外労働時間が年間960時間に制限されたことから生じる一連の課題を指します。
この規制はドライバーの長時間労働を改善し、健康を守るための重要な一歩ですが、物流業界にとってはこれまでのビジネスモデルを根本から見直す必要に迫られる大きな変革となっています。
時間外労働の上限規制が適用されることで、物流業界には以下のような多岐にわたる影響が生じています。
| 2024年問題による主な影響 | 具体的な課題 | 求められる対応策 |
|---|---|---|
| 輸送能力の低下 | 労働時間短縮により1人のドライバーが1日に運べる荷物量や走行距離が減少する | 輸送ルートの最適化、共同配送の推進、荷物の集約化 |
| 物流コスト・運賃の上昇 | 同じ量の荷物を運ぶために必要な人員や車両が増加し、事業者の負担が増す | 適正運賃の収受、荷主企業との取引条件の見直し |
| ドライバーの収入減少リスク | 残業時間の削減により、歩合給や残業代が減少し、離職につながる恐れがある | 基本給の引き上げなど賃金体系の見直し、処遇の改善 |
多くの物流企業はすでに対策に取り組んでおり、デジタル技術を活用した配車の効率化や、荷待ち時間の削減などを進めています。
また、政府も荷主企業に対して物流事業者の負担軽減への協力を呼びかけており、サプライチェーン全体でこの問題に対処する姿勢が不可欠となっています。
5.3 環境問題とカーボンニュートラル
地球温暖化対策の観点から、物流業界でも環境問題への対応とカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)の実現が強く求められています。
トラックを中心とする自動車からのCO2排出量は日本全体の排出量の一定割合を占めており、サプライチェーン全体での環境負荷低減が急務となっています。
環境対策の重要な柱として推進されているのが「モーダルシフト」です。
これは、長距離のトラック輸送から、環境負荷の少ない鉄道や船舶による輸送へと転換する取り組みです。
以下の表は、輸送手段別のCO2排出量を比較したものです。
| 輸送手段 | CO2排出量(g-CO2/トンキロ) | 営業用トラックとの比較 |
|---|---|---|
| 営業用トラック | 約211 | 100%(基準) |
| 内航海運(船舶) | 約38 | 約18% |
| 鉄道 | 約21 | 約10% |
モーダルシフトの推進により、CO2排出量を大幅に削減できるだけでなく、一度に大量の貨物を運べるため、ドライバー不足問題の緩和にもつながるというメリットがあります。
現在、関東から九州や北海道への長距離輸送において、フェリーやJR貨物のコンテナを活用した複合一貫輸送への切り替えが進んでいます。
また、モーダルシフト以外にも、電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)などの環境対応車両の導入、AIを活用した配送ルートの最適化による走行距離の短縮、梱包材の削減やリサイクル推進など、多様なアプローチでグリーン物流が推進されています。
政府もエコレールマークやエコシップマークといった認定制度を通じて、環境に配慮した物流に取り組む企業を支援・評価する仕組みを整えています。
6. 物流業界の最新動向と将来性

物流業界では、深刻な人手不足や2024年問題などの課題を解決するため、そして持続可能な社会を実現するために、さまざまな最新技術の導入や新しい取り組みが急速に進められています。
ここでは、物流業界の将来を形作る重要な動向について詳しく解説します。
6.1 物流DXによる業務効率化
物流業界において、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進は喫緊の課題となっています。
物流DXとは、デジタル技術を活用して物流業務のプロセス全体を最適化し、新たなビジネスモデルを創出する取り組みです。
例えば、日々の配送データや倉庫内のオペレーションデータを収集・分析することで、業務プロセスの改善や意思決定の精度向上につなげる動きが広がっています。
配送データの分析により、時間帯別・エリア別の配送密度を把握し、最適な人員配置や車両配置を実現することで、配送効率の向上とドライバーの労働時間削減を同時に達成しています。
また、倉庫内のピッキングデータを分析し、出荷頻度の高い商品を取り出しやすい場所に配置するなど、レイアウトの最適化にデータ分析を活用する事例も増加しています。
さらに、IoT技術を用いてセンサーやデバイスを物流のさまざまな場面に設置し、リアルタイムでデータを収集・分析することで、在庫管理の精度向上や輸送中の品質管理の徹底が図られています。
| データ分析の対象 | 分析手法 | 実現できる効率化 |
|---|---|---|
| 配送データ | 時系列分析、地理空間分析 | 配送ルート最適化、車両・人員の適正配置 |
| 倉庫オペレーションデータ | プロセスマイニング、作業分析 | 倉庫レイアウト最適化、作業手順改善 |
| 商品データ | ABC分析、相関分析 | 最適な商品配置、セット商品の提案 |
6.2 AI・ロボットの導入事例
物流業界では、AI(人工知能)やロボットの活用が急速に広がっており、これらは将来の物流を支える中核技術として期待されています。
特に注目されているのが、配送ルートの最適化や需要予測、そして倉庫内作業の自動化です。
配送ルートの最適化では、交通状況や天候、配送先の営業時間などの膨大なデータをAIが分析し、最も効率的な配送ルートを導き出します。
これにより、燃料コストの削減や配送時間の短縮が実現されています。
需要予測においても、過去の販売データや季節変動などをAIが学習し、高精度な予測を行うことで、適正在庫の維持や倉庫スペースの効率的な活用が可能になっています。
物流施設内では、多様なロボットが導入され、人手不足の解消と作業効率の向上に貢献しています。
代表的な例として、床に埋め込まれたガイドやセンサーに沿って自動で走行し荷物を運搬するAGV(無人搬送車)や、画像認識技術とAIを組み合わせて様々な形状の商品を正確に取り出すピッキングロボットなどが挙げられます。
| 導入技術・ロボット | 主な用途 | 導入効果 |
|---|---|---|
| AI(人工知能) | 配送ルート最適化、需要予測 | 配送効率向上、燃料コスト削減、適正在庫の維持 |
| AGV(無人搬送車) | 倉庫内での荷物輸送 | 24時間稼働、人的ミス削減、人件費削減 |
| ピッキングロボット | 商品の取り出し・仕分け | 作業効率向上、精度向上、労働負荷軽減 |
| パレタイジングロボット | 荷物の積み付け・積み下ろし | 重労働からの解放、作業速度向上、安全性向上 |
6.3 モーダルシフトの推進
モーダルシフトとは、トラックによる貨物輸送から、環境負荷の少ない鉄道や船舶による輸送へと転換する取り組みのことです。
地球温暖化対策やSDGsの観点から注目されているだけでなく、深刻化するトラックドライバー不足への有効な対策としても推進されています。
長距離輸送においてトラックから鉄道や内航海運へシフトすることで、CO2排出量を大幅に削減することができます。
日本では特に、長距離フェリーや内航船舶、JR貨物のコンテナによる輸送の活用が進んでいます。
例えば、関東から九州への輸送において、全区間をトラックで運ぶのではなく、港までをトラックで運び、フェリーで九州まで渡った後、再びトラックで最終目的地まで配送するという複合一貫輸送に切り替える企業が増加しています。
政府も補助金制度を設けて企業のモーダルシフトを支援しており、環境に配慮した物流を推進する企業を評価する認定制度も整備されています。
今後は、環境負荷低減と労働力不足解消の両立を目指し、異業種間での共同配送やモーダルシフトのさらなる拡大が将来の物流業界のスタンダードになっていくと予想されます。
| 輸送手段 | CO2排出量(g-CO2/トンキロ) | トラックとの比較 |
|---|---|---|
| 営業用トラック | 211 | 100% |
| 内航海運 | 38 | 約18% |
| 鉄道 | 21 | 約10% |
7. まとめ
物流業界は、私たちの生活や経済活動を支える不可欠な社会インフラです。
一方で、深刻な人手不足や労働時間規制に伴う「2024年問題」、環境対応といった課題に直面しているのが現状です。
しかし、これらの課題を解決するため、ヤマト運輸や佐川急便をはじめとする多くの企業が物流DXやAI・ロボットの導入を積極的に進めています。
業務効率化と労働環境の改善が図られることで、業界全体は新たな成長期を迎えています。
社会の変化に柔軟に対応し続ける物流業界は、今後も高い将来性とやりがいを持つ魅力的な業界と言えるでしょう。
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