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機械学習とCNNの関係とは?仕組みや特徴・活用例を分かりやすく解説
目次
人工知能はビジネスだけではなく、私たちの生活にも深く関わっています。そして、人工知能の実現に欠かせない技術が機械学習です。機械学習には、CNN(Convolutional Neural Network:畳み込みニューラルネットワーク)と呼ばれる手法が存在します。
しかし、「機械学習とCNNの関係が分からない」「CNNの活用事例を知りたい」と思っている方も多いでしょう。そこで本記事では、CNNの基本的な構造から、画像認識における特徴、活用例、学習に必要な知識まで、分かりやすく解説します。
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機械学習とCNNの関係
機械学習とCNNには、どのような関係があるのでしょうか。機械学習とCNNの関係について理解を深めるために、まずは機械学習の概要とCNNの位置づけを確認してみましょう。CNNとRNN・DNNの違いについても解説します。
機械学習とは
機械学習は「Machine Learning」を略してMLと呼ばれており、人工知能の要素技術のひとつです。コンピュータに大量のデータを与えることで、そこから規則性やパターンを見つけ出し、新しいデータに対して適切な判断を下します。
例えば、猫の画像をたくさん学習させることで、見たことのない猫の画像でも「これは猫である」と判断できるようになるといった技術です。
CNNとは
CNNは、機械学習の一手法で、画像認識などに特化したニューラルネットワークです。人間の視覚情報処理を模倣し、画像の特徴を自動的に抽出することができます。
CNNは、畳み込み層、プーリング層、全結合層の3つの主要な層で構成されており、これらの層が協調して画像の特徴を学習します。CNNは、画像分類、物体検出、セグメンテーションなど、幅広い画像認識タスクで活躍しています。
CNN・RNN・DNNの違い
RNN(Recurrent Neural Network:再帰型ニューラルネットワーク)やDNN(Deep Neural Network:ディープニューラルネットワーク)はCNNと並ぶ機械学習の手法のひとつです。
RNNは時系列データの処理に適しており、自然言語処理などに用いられます。一方、DNNは入力データから特徴量を抽出し、分類や予測を行う汎用的な手法です。
CNNの3つの構成要素
CNNの仕組みを支えているのが、畳み込み層、プーリング層、全結合層という3つの層です。これらの層が連携することで、画像の特徴を効率的に抽出し、分類や予測を可能にしています。それでは、各層の役割と特徴を見ていきましょう。
1.畳み込み層
畳み込み層は、CNNの中核をなす層のひとつです。この層では、入力画像に対して「フィルター」と呼ばれる小さな行列を適用し、特徴量を抽出します。フィルターを画像上で移動させながら、画像の各部分との積和を計算し、新しい行列を生成するのです。
これにより、エッジや模様など、画像の特徴的なパターンを検出できます。畳み込み層を複数重ねることで、より高次元の特徴を捉えることが可能です。
2.プーリング層
プーリング層は、畳み込み層で抽出された特徴マップの解像度を下げる役割を担っている層です。プーリング層では、特徴マップを小さな領域に分割し、各領域の最大値や平均値を取ることで、特徴マップのサイズを縮小します。
これにより、特徴の位置ずれに対するロバスト性が向上し、計算コストも削減できるのです。プーリング層を経ることで、CNNは画像の大まかな特徴を捉えることができるようになります。
3.全結合層
全結合層は、CNNの最終段階で使われる層です。畳み込み層とプーリング層で特徴量を抽出した後、その情報を1次元のベクトルに変換して、最終的な分類や予測を行います。
例えるなら、畳み込み層とプーリング層で得た情報を、全結合層という最後の会議室に集めて、最終判断を下すようなものです。
画像認識での機械学習に欠かせないCNNの特徴
CNNが画像認識の機械学習に欠かせない理由は、その独特な構造にあります。CNNは「局所受容野」と「重み共有」という2つの特徴的な仕組みを持っており、これにより画像の特徴を効率的に抽出できるのです。それでは、この2つの仕組みについて詳しく見ていきましょう。
「局所受容野」での認識
CNNでは、画像を小さな領域に分割し、その領域ごとに特徴を抽出します。これを「局所受容野」と呼びます。例えば、顔認識の場合、目や鼻、口などの部分的な特徴を捉えることで、全体の顔を認識できるのです。
CNNは、この局所受容野を用いることで、画像の特徴を効率的に学習できます。つまり、CNNは画像の一部分に着目し、その部分の特徴を抽出することで、物体全体を認識できるのです。この局所受容野の仕組みが、CNNが画像認識に適している理由のひとつといえます。
「重み共有」での抽出
ある画像の一部分に現れる特徴的なパターンは、別の場所でも同じように現れる可能性が高いという性質を利用し、画像の特徴を効率的に抽出するのが重み共有です。
これにより、畳み込み層で学習したフィルターを画像全体に適用することで同じ特徴を持つパターンを画像のあちこちから抽出できます 。少ないパラメータで効率的に特徴抽出ができ、機械学習の精度向上と計算コストの削減が実現できるのです。
CNNで可能となることは?機械学習の活用例
医療、小売、自動車など、さまざまな業界でCNNを活用した画像認識技術が応用されています。ここでは、CNNが実社会でどのように役立っているのか、具体的な事例を見ていきましょう。
医用画像処理
2021年の東京大学・東京都健康長寿医療センター・医療研究開発機構らが発表した研究『認知機能低下患者の顔を見分けることができる AI モデルの開発』では、CNNを用いてレントゲンや顔写真から認知機能低下を示す群と正常群の弁別を行いました。
正答率は率 92.56%と高く、従来の脳脊髄液を採取する検査よりも非侵襲的で安価な認知症検査の実現可能性が高まったと報告しています。
無人レジ店舗
次に紹介するのは無人コンビニとして注目を集める「AmazonGo」に代表される無人レジ店舗です。AmazonGoでは、レジに通す必要がなく、利用者は必要なものをカバンに詰めてそのまま店の外に出られます。
店内にはカメラやセンサーが設置され、人物とその人物が購入した商品を特定し、自動でレジの処理を実施する仕組みです。特定するときに、CNNの画像認識技術が活用されています。
ドライブレコーダー
東京大学発のベンチャー企業であるUrban X Technology社は、国内の自治体道路管理者から日々収集した500万枚を超える道路損傷データを教師データとしてAI道路点検事業を展開しています。
同社開発のアプリをドライブレコーダーとして車載して得たデータはCNNを用いて演算し、行政がいち早く舗装対応ができるような仕組みとなっているのです。
CNNのメリットとデメリット
ここからは、CNNのメリットとデメリットを解説します。長所だけでなく短所も併せて理解することで、よりCNNの理解を深められるでしょう。
メリット
画像認識で高い性能を発揮するCNNは、顔認識、物体検出、画像分類など、さまざまな分野で活用されています。CNNの主なメリットを以下にまとめました。
・画像から直接特徴を抽出できる
・画像の局所的な特徴を捉えられる
・複雑なパターンを効率よく抽出して分類できる
・大きさや位置に関係なく認識できる
・さまざまな分野で応用できる
デメリット
多くのメリットがある一方で、CNNにはデメリットもあります。
・膨大な学習データが必要
・データ収集・前処理に時間がかかる
・計算コストが高い
・高性能なハードウェアが必要
・画像の回転や拡大縮小に弱い
このように、CNNは万能ではありません。特徴をよく理解した上で、適材適所で使うことが大切です。
機械学習は難しい?CNNを理解するために必要な知識
CNNを理解するには、一定の知識が必要です。ここでは、CNNを学ぶ上で身に付けておきたい3つの分野について解説します。これらを身に付けることで、CNNの仕組みをより深く理解できるでしょう。
プログラミングスキル
機械学習を扱う際には、一般的にライブラリを利用します。機械学習ライブラリとは、機械学習モデルを構築するためのプログラムをまとめたものです。
複雑な処理も、機械学習ライブラリを活用すれば簡単に実装できます。これらのツールを使いこなすには、プログラミングの基礎知識が必要といえるでしょう。
数学的知識(線形代数、確率・統計)
CNNを理解するには、数学的知識も重要といえます。特に線形代数と確率・統計の知識を身に付けておくのがおすすめです。
線形代数は、ベクトルや行列の計算を扱う分野で、CNNの畳み込み演算や重みの更新に使われます。一方、確率・統計は、データの分布や関係性を理解するのに役立ちます。これらの数学的知識があれば、CNNの仕組みをより深く理解できるでしょう。
機械学習の基礎知識と英語読解力
CNNを実装するには、プログラミングスキルや数学的知識に加えて、機械学習のアルゴリズムといった基礎知識や英語読解力が必要です。
まずは機械学習自体がどのようなアルゴリズムのものなのかを把握しておくことで、CNNを理解しやすくなるでしょう。
また、機械学習や深層学習に関する最先端の書籍や論文は、日本語ではなく英語で書かれていることが一般的です。従って、最近の情報を入手するためにも英語読解力を身に付けておくとよいでしょう。
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まとめ
CNNは機械学習で利用される手法のひとつで、特に画像認識に優れた性能を発揮します。画像認識は、多くの業界で活用され始めているため、導入したいと考えている方もいるのではないでしょうか。
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参照文献
TensorFlowで学ぶディープラーニング入門 ~畳み込みニューラルネットワーク徹底解説|中井悦司、マイナビ出版(2016)
認知機能低下患者の顔を見分けることができる AI モデルの開発|東京大学・東京都健康長寿医療センター・医療研究開発機構(2021)
https://www.h.u-tokyo.ac.jp/press/__icsFiles/afieldfile/2021/01/26/release_20210126.pdfUrban X Technology公式HP
https://www.urbanx-tech.com/
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