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時間外手当の基礎知識や注意点を解説|手当の種類や計算方法の違いとは?
目次
働き方の多様化が進むなか、働き方改革関連法案では「時間外労働の上限規制」が厳格化されました。時間外手当を正しく計算して支給することが求められていますが、仕組みや計算方法は複雑です。ここでは時間外手当の概要や手当の種類、具体的な計算方法の違いについて解説します。
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時間外手当の概要
時間外手当とは、労働基準法第32条に規定されている法定労働時間を超えた際に発生する割増賃金です。法定労働時間は、休憩時間を除き1日8時間もしくは1週間40時間を超えてはいけません。この法定労働時間を超える労働は、「通常賃金の125%以上」の時間外手当を支払わなければならないと定められています。
法定時間外労働をするには時間外労働協定が必要
企業が労働者に法定時間外労働をさせるには、労働基準法第36条に基づき、時間外労働協定の届け出が必要になります。いわゆる36協定が定める労働時間の延長限度は、1か月45時間、1年360時間までと定められています。
これまでは、この上限を超えて働かせても、行政指導が入る程度で原則的に罰則はありませんでした。しかし、2019年の法改正により、定められた労働時間の上限を超えた場合、6か月以下の懲役もしくは30万円以下の罰則が課せられます。
時間外労働の2つの区分
一般的に使われている「残業」は、法律では時間外労働といい、法定内残業と法定外残業の2つの区分が存在します。ここでは、それぞれの残業にどのような違いがあるのか、また注意すべき点について詳しく解説します。
法定内残業
法定内残業とは、労働基準法で決められた1日8時間もしくは1週間40時間の法定労働時間の範囲内で行った残業を指します。例えば、会社が定める就業規則において、所定の労働時間が7時間の場合、残業が8時間を超えなければ法定内残業となり、雇用者は割増賃金を支払う義務はありません。なかには残業代を設定している企業もあります。
法定外残業
一方、法定外残業とは、労働基準法で決められた1日8時間もしくは1週間40時間の法定労働時間を超えて行った残業を指します。この場合、通常賃金の125%以上の割増賃金を支払わなくてはならないと定められています。
割増賃金が発生する労働とは
具体的に割増賃金が発生する労働には時間外労働、休日労働、深夜労働があります。ここでは、それぞれの労働の割増賃金の割増率を含めてみていきます。
時間外労働
労働時間は、休憩時間を除き1日8時間もしくは1週間40時間を超えてはいけません。この法定労働時間を超える労働は、通常賃金の125%以上の時間外手当を支払わなければならないと定められています。
休日労働
使用者は、労働者に対して少なくとも週1日、もしくは4週間に4日の休日を与えることが法律で定められています。休日とは、就業規則や雇用契約書で定められた労働義務がない日のことですが、労働基準法で定められた法定休日と、会社側が定める法定外休日の2種類があります。割増賃金の割増率は、法定休日に労働した場合は通常賃金の135%、法定外休日は1日8時間または週40時間を超えた場合には、通常賃金の125%を支払う義務があります。
深夜労働
原則として午後10時から午前5時までの間が深夜労働です。時間外労働でなおかつ深夜労働であれば、両者の割増率を掛け合わせた通常賃金の150%割増した賃金を支払う義務があります。
時間外手当の扱いが特殊なケースを紹介
割増賃金が発生する労働の支払い義務についてみてきましたが、時間外手当の扱いが特殊なケースもあります。ここからは、具体例をあげて説明します。
管理監督者の場合
労働基準法第41条2号の「監督若しくは管理の地位にある」管理監督者は、一般の従業員と異なり、労働時間、休憩、休日など労働基準法の制限を受けません。そのため、管理監督者が残業や休日出勤をした場合にも、残業代や休日出勤手当を支払う必要はありません。
固定残業制の場合
固定残業制とは、みなし残業とも呼ばれ、時間外労働や休日労働、深夜労働の有無にかかわらず、一定時間分の時間外労働について割増賃金を定額で支払う制度です。例えば、実際の時間外労働が5時間なかった場合でも、毎月支払う賃金に5時間の時間外労働があったとみなして支払います。ただし、想定していた労働時間を超えた場合には、追加の時間外手当が発生します。
裁量労働制の場合
裁量労働制とは、実際に働いた時間に関係なく、事前に決めた時間(みなし労働時間)働いたとみなす勤務体系です。そのため、みなし労働時間が1日8時間と決めた場合、たとえ労働時間が6時間であっても8時間労働したとみなされます。ただし、法定労働時間である1日8時間を超える時間に設定した場合、超過時間に対して125%の割増賃金が発生します。休日手当や深夜手当も、同様の扱いとなります。
年俸制の場合
1年ごとに給与額が決定する年俸制では、個人の成果に応じて年間の給与総額が決定する賃金制度のため、実際の労働時間とは関係ないと思われがちです。しかし、実際にはあらかじめ明示された時間を超えて残業が発生する場合は、時間外手当の対象となります。
フレックスタイム制の場合
出退社の時間を柔軟に調整できるフレックスタイム制の場合、労働時間の計算は週ごとや月ごとの清算日を設け、その期間の労働時間をベースに時間外労働が発生したかどうかを算定します。一定期間内で算定した総労働時間が想定を超えた場合、時間外手当が発生します。
時間外手当の具体的な計算方法
時間外手当の具体的な計算方法を紹介します。条件は以下のとおりです。
- 契約上の勤務時間を平日9時から18時(休憩1時間)
- 1か月の基礎賃金は26万円
- 1か月の所定労働時間は160時間
- 休日は土日と祝日
まず、1時間あたりの賃金を計算します。ある一日の労働が9時から20時だった場合、時間外労働にあたるのは18時から20時の2時間です。
計算式:26万円÷160時間=1,625円
時間外手当は下記の計算通りです。
計算式:1,625円×2時間×1.25=4,062円(1円未満端数切捨)
次に、深夜労働の時間まで勤務をした場合の計算を行います。ある一日の労働が9時から23時だった場合、時間外労働をしたのは5時間です。この5時間のうち、22時から23時までは深夜労働の時間帯にあたるため、通常の時間外労働とは分けて計算します。深夜労働は、通常賃金の150%の割増となります。
時間外労働・深夜労働の時間外手当は、となります。
18時から22時の計算式:1,625円×4時間×1.25=8,125円
22時から23時の計算式:1,625円×1時間×1.5=2,437円(1円未満端数切捨)
残業代の合計:10,562円
時間外手当が支払われないときの対応方法
時間外手当の扱いが特殊なケースで、管理職は残業や休日出勤をしても、残業代や休日出勤手当を支払う必要はないと説明しました。しかし、実際には管理職に相応する権限や報酬が与えられないにもかかわらず、管理職の名のもとに残業代が支払われない場合もあります。ここからは、実際に働いた時間よりも時間外手当が少なかったり、支払われなかったりした際、どのように対処したら良いかを説明します。
1.証拠を集める
まず、残業していた事実を証明する証拠を用意します。上司から残業の指示をされた際のメールやメモ、書類などは、残業内容を立証する上で重要です。また、終電に間に合わず、タクシーで帰宅した場合に領収書や、「残業を終了してこれから帰宅する」といった家族へのメールも残業の証拠として認められます。未払い残業代の請求期限は、過去2年分であり、それ以上さかのぼって請求することはできません。万が一、証拠がない場合や証拠の数が少ない場合には、弁護士に相談することをおすすめします。
2.通知書を送付する
次に、未払いの残業代を計算し、会社に支払いを求める通知書を送ります。その際、郵便物の内容を記録として残すため内容証明郵便を使い、「未払い残業代の請求を行った」という客観的な証拠を確保してください。交渉の結果次第では、法的な手段を視野に入れる必要があります。非常にナーバスな問題となるため、送付のタイミングにも注意を払うようにしましょう。
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まとめ
働き方改革の実現に向けた動きが強まるなか、企業は多様な働き方に対し、時間外手当の管理も的確に行うことが求められています。UMWELTを用いて時間外手当の管理をDX化することで、今後の社会の変化にも柔軟に対応できるようになるといえます。さらに詳しい機能を知りたい担当者の方は、ぜひ一度お問い合わせください。
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