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ディープラーニングの仕組みを初心者向けに解説!導入事例や活用のメリットとは?
目次
近年、AI(人工知能)の第3次ブームが到来しています。今やAIは、私たちの生活にも活用され、経済発展には欠かせません。AIのさらなる進化・発展のため、AIに学習させる手法が「機械学習」で、その一種が「ディープラーニング(深層学習)」です。AIを学んでいる人なら必ず一度は耳にしたことのある言葉でしょう。しかし、専門用語も難しく、どんな違いがあるのか内容までははっきりとわからない…という人も多いのが現実です。今回はディープラーニングの仕組みや、ディープラーニングの知識をキャリアで活かすための資格について解説していきます。
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ディープラーニングとはニュートラルネットワークによる学習方法
AIをレベルアップさせ、世に広めるきっかけとなった重要な技術こそがディープラーニングであり、機械学習の一手であるニューラルネットワークを応用した技術です。まずはその仕組みについてご紹介します。
1.ディープラーニングの仕組み
ディープラーニングは、ニューラルネットワークの一部です。物事を判断する隠れ層が多数にわたって存在する、多層構想のニューラルネットワークと考えれば分かりやすいでしょう。そのため深層学習とも呼ばれています。機械学習ではたくさんのデータを与え、そのなかから、コンピューターが物事を認識するための特徴を人間が教えていました。
これに対してディープラーニングでは、データを与えると、そのなかからどの特徴を基準にして判断するか、コンピューター自らが考え、実行します。つまり、人間が行う作業量や工数を少なくできるのです。具体的に説明すると、「キリンの特徴は?」と聞かれれば多くの人が「首が長い」、「まだら模様」などの特徴を思い浮かべると思います。機械学習で画像から「キリン」を選ばせたい場合、人間がこれらのキリンの特徴をコンピューターに教えておくのです。
しかし、ディープラーニングでは、このような特徴選びをコンピューター自らがおこないます。より多くのデータにアクセスする経験を積み、学習することで、ますます技術が向上していく、それがディープラーニングです。
2.ニューラルネットワークの仕組み
ニューラルネットワークは機械学習の一種で、ディープラーニングの学習ベースです。人間の脳神経の構造をモデル化したような作りのため、「ニューラル(神経系)ネットワーク」と呼び、コンピューターの脳にあたります。AIや機械学習において、なくてはならない要素です。
ニューラルネットワークには、入力層(入力)と出力層(発信)、この間に重要な隠れ層(中間層)があります。この隠れ層で複雑な機械学習をおこない、その結果、誕生したのが対話型のAIです。隠れ層が多いほど、技術の向上を期待できます。ニューラルネットワークがあるからこそ、AIが機械学習をおこなえるのです。
3.AIや機械学習との違い
ディープラーニングは、AIや機械学習と混同されることがあります。機械学習は2010年に訪れた第3次AIブームにより登場しました。機械学習とは、コンピューターに大量のデータを与えて法則性を見つけ出し分析させる、いわばコンピューター学習です。ディープラーニングも機械学習の一種と紹介しましたが、このふたつの大きな違いは、物事の特徴(特微量)を機械学習であれば人間が指定、ディープラーニングであれば機械自らが判断するという点にあります。
いずれもAIにあたりますが、ディープラーニングは人間と同じように自ら考え判断できる高度な技術なのです。
ディープラーニングの仕組みを活用するメリット
ディープラーニングは日常生活だけでなく、ビジネスや医療、教育の現場とさまざまな場所で導入されているAI技術です。ここではディープラーニングを活用することにより、どのようなメリットがあるのかを説明します。
1.柔軟性のある分析ができる
ディープラーニングは、単なる機械学習よりも情報の変化に対応する柔軟性にすぐれています。人間により特徴を教えられ、答えを見つける機械学習に比べると、ディープラーニングは与えられた大量のデータをその都度分析して、新しい情報と法則性を探し出すことができるのです。
2.分析の時間を短縮できる
近年、GPUの進化とともに、ディープラーニングの効率と精度が高まっています。IoTデバイスの普及で入手した大量のデータは、人間の能力ではとても分析できません。しかし、ディープラーニングでは変化に対応できるよう積み重ねてきたトレーニングと、高度なCPUの技術を組み合わせることで、分析の効率化が可能になります。
3.精度の高い分析ができる
ディープラーニングを活用すると分析のスピードが増すだけでなく、分析の精度がかつてないほど高レベルなものとなります。この精度は人間の認識能力をはるかに超えていて、特に画像認識に長けていることは有名です。他にも音色認識、自然言語処理、レコメンデーション認識の精度も素晴らしく、人間に代わりAIがおこなう機会が増えています。
ディープラーニングの仕組みを取り入れる流れ
ディープラーニングのメリットを理解して実際に取り入れるためには、いくつかの段階があります。最初におこなうのは、タグ付けした大量のデータのインプットです。これは、学習させる段階にあたります。自ら特微を見つけ出し、判別するモデルが完成したら、次はいよいよ判別させる段階です。ニューラルネットワークの構造を使い、データの判別と分析をする訓練をおこないます。かつてこの訓練には数週間という長い時間が必要でしたが、高度なコンピューター処理能力のCPUを組み合わせることにより、現在はわずか数時間以下で済むようになったのです。
ディープラーニングの手法
ディープラーニングの学習において、よく使用されている代表的な手法をご紹介しましょう。ニューラルネットワークの構造が変わることで、活用される分野も大きく違ってきます。
1.MLP(多層パーセプトロン)
MLPは入力層と出力層のみで構成される単純パーセプトロンを複数組み合わせた、最も単純な手法です。多層化することで、入力層と出力層の間に中間層ができ、層を深くしたアルゴリズムが完成します。表現力が上がり、応用が利くのが特徴です。
2.CNN(畳み込みニューラルネット)
CNNは人間の視覚をモデルにしています。主に画像認識で利用されるアルゴリズムのひとつで、畳みこみ層とプーリング層からなります。入力された画像は畳みこみ層で画素の大きさに切り取られると、それぞれが計算されて特徴が見いだされます。その後、抽出された特徴はプーリング層へ集結し、結合されるのです。CNNに取り込まれているReLuを導入することで、精度が向上しています。
3.RNN(再帰型ニューラルネット)
RNNは、主に音声データで使われるアルゴリズムです。ニューラルネットワークを拡張して時系列のデータを扱い、認識するモデルになります。データから過去の情報を記憶すると、そこから分析した結果を踏まえ、物事の処理や予測をします。これは自然言語処理の分野でよく活用される手法です。
4.LSTM(長短期記憶)
LSTMは、RNNの弱点を克服した手法です。LSTMでは入力ゲートと出力ゲートの間に、不要なデータを忘れさせる「忘却ゲート」を加えました。逆に学習状況の保存をする「メモリセル」を加えることにより、RNNが不得意とする長期の時系列データを扱い、自然言語処理の応用に利用できたのです。代表的なものが、GoogleVoiceの基盤技術となります。
5.GAN(敵対的生成ネットワーク)
GANは、生成モデルの一種です。この手法ではコンピューターに正解を与えません。入力されたデータから特徴をつかませて、実在しないものを生成したり、変換させたりすることもできます。GANではデータを作るネットワークと、本物か偽物かを見極めるネットワークの2つのネットワークを敵対させることで覚えさせています。これにより本物らしさを学習し、高精度の生成ができるのです。
6.ResNet
ResNetは、2015年に提案されたニューラルネットワークの一種です。CNNの、単純に層を重ねていく手法によって起きる勾配消失問題を、見事に解決させた方法といえます。ResNetではshortcutconnectionと呼ばれる機構を利用して、手前の層の入力を後ろの層に足し合わせ、問題解決に導きました。
7.VAE
VAEは深層生成モデルの一種で、オートエンコーダを基にした技術です。VAEのネットワークは、エンコーダ部(圧縮)とデコーダ部(復元)の2つで構成され、特微量を算出します。入力層と出力層の2層しかないのが特徴で、ノイズの除去や異常検知、クラスタリングなどに応用されています。
ディープラーニングの仕組みを学べる資格
ディープラーニングをもっと深く学んで知識を増やし、キャリアに活かせる資格があります。それが、2017年より日本ディープラーニング教会(JDLA)が実施する、E資格とG資格です。ディープラーニングを事業活用するジェネラリストと、実装するエンジニア向けの資格であり、どちらも事業に応用する知識が求められます。今後のキャリアに活かすことができる資格といえるでしょう。
1.E資格
E資格は、ディープラーニングを実装するエンジニア向けの資格です。G検定からステップアップする目的で受験する人が多く、検定料は高額で合格率は7割。E検定を受験するには、JDLAが定める「資格試験向け講座」の受講が必須です。人工知能、機械学習、ディープラーニングより、幅広く出題されます。
2.G資格
G資格は、公式名をジェネラリスト検定と呼び、ディープラーニングの知識を事業に活かすだけのレベルであるかが問われます。データサイエンスを学ぶ人の受験が多く、合格率は6~7割。ディープラーニングを学んで得た知識を整理し、自分がどこまで理解できているのかを知るきっかけにもなるでしょう。G資格を保持していると、ディープラーニングの知識があると認められるため、専門的な分野の仕事にも自信をもって取り組むことができます。
ディープラーニングの導入事例
ディープラーニングを導入した事例は、身近なところにあります。実際の導入事例を知ると、ディープラーニングが私たちの生活にも、大きく関わっていることが分かるかと思います。
1.インフルエンザ予報
私たちがもっとも身近に感じられる事例のひとつが、インフルエンザ予報です。これは株式会社日立製作所と、損害保険ジャパン日本興亜株式会社により開始された予報で、全国各地域の4週間先までのインフルエンザ罹患者数の予測をWebで閲覧できます。この予測にディープラーニングが導入されており、全国4,000以上の医療機関より集めたデータを分析します。流行度合としては4段階(レベル0~3)で発信されています。
2.PARCOの来客予測
東京都台東区の「PARCOya」では、来客予測にディープラーニングを導入しています。まずは必要なデータを確保するため、各テナントの区画ごとにカメラを設置しました。AIに、画像から来客人数と性別、おおよその年齢を解析させ、その結果はグラフや表にしてテナントへ送られます。テナント側では結果を見て、訪れる客層に合わせたディスプレイの変更や、人員の配置をおこないます。
3.タクシーの需要予測
NTTドコモが提供する「AIタクシー」サービスにも、ディープラーニングが導入されています。このサービスには、過去のタクシーの運行データ(日時と乗降場所)、気象データ、目的とする周辺の商業施設データ、そしてNTTが保有するデータを使い、ディープラーニングで解析します。解析によって、現在から30分後までの10分ごとにタクシーの需要が配信され、どこに行けば乗客を確保できるのか分かる仕組みとなっています。こちらのサービスは熊本タクシーで実際に導入されています。もしもその日にイベントがあれば、その情報を組み込むことで、より一層タクシーの需要予測の正確さが増すのです。
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まとめ
AIの学習方法の一手であるディープラーニングは、AIのレベルを一気に向上させました。ディープラーニングにより、多くのデータを高速で処理できるだけでなく、精度の高い分析結果を生み出すことができるのです。この特徴を活かして、最近ではさまざまな分野で導入されています。未来予測までをも可能にしたディープラーニングは、今後もますますAIの発展に携わっていくことでしょう。
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