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売上予測とは?予測の計算や立て方と精度がアップするポイントを解説
目次
売上予測とは、企業の将来的な売り上げを予測することです。算出した数値は、企業経営における重要な指標となります。では売上予測は、どのような立て方をするのでしょうか。
本記事では、売上予測の基礎知識と立て方、計算方法、精度アップの方法を解説します。記事を読んで、精度の高い売上予測を実現し、企業の生産性を高めましょう。
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売上予測の立て方に使える基礎知識
売上予測の立て方を知る前に、まずは基礎知識をしっかりと理解しましょう。ここでは、売上予測の概要や重要性を解説します。また、売上予測と類似した言葉である売り上げ目標との違いも明確にしましょう。
売上予測とは
売上予測とは、過去の売り上げ実績や自社の成長率、市場動向、環境要因といった客観的で根拠のあるデータを基に、将来的な売り上げを予測することです。人間の感覚的な要素は取り入れません。
売上予測は、展開する事業やリソースの配分など、経営戦略における重要な指標となります。金融機関や株主といった社外に提示する目的でも使用します。
売り上げ目標との違い
売り上げ目標とは、企業が目指す売り上げです。売上予測が現実的で客観的な数値を予測する統計的手法であるのに対し、売り上げ目標には期待や努力のような不確定な要素を含みます。
適切な売り上げ目標は、企業全体のモチベーションを保ち、利益を上げるために重要です。売上予測は、売り上げ目標を設定するときの指標でもあります。
重要な理由
企業経営において、売上予測が重要な理由は以下の3つです。
・適切な在庫管理と人員配置ができる
売上予測により、商品がどれだけ売れるか把握できます。それを基に在庫数と人員配置を適正化することで、無駄な発注費と人件費の削減が可能です。
・売り上げの設定に役立つ
無謀な売り上げ目標を設定すると、従業員のモチベーション低下につながります。売上予測を基に現実的な目標を設定すれば、達成するための戦略・活動を具体化できるでしょう。
・金融機関や株主への説明に説得力が増す
企業が事業計画を推進するには、金融機関や株主に説明が必要です。売上予測という根拠のあるデータを示すことで、説明に説得力が増し、取引や方針の決定がスムーズに進みます。
売上予測の立て方1:計算で算出する
売上予測の立て方はいくつかあり、企業や業界によって適切な方法が異なります。まずは、過去の売り上げ情報から算出する基本的な方法を見てみましょう。ここでは、売上予測の計算時に用いる情報と具体的な計算方法を紹介します。
計算に必要な情報
売上予測の計算に必要な情報は以下の通りです。なお、扱う製品やサービスによって、細かい内容は異なります。
・月、四半期、年度ごとの売上高
・商品ごとの売上高
・見込み顧客の成約率
・商談期間
・現在の案件数
・平均成長率
他にも、サブスクリプション型のサービスを提供する企業は契約期間・更新・解約率、農作物を扱う企業は気候変動、金融企業は経済動向といったデータが必要です。
具体的な計算方法
過去同月の売り上げと年間成長率から今年の売上予測を算出するパターンを見てみましょう。計算の手順は以下の通りです。
前提条件 | 昨年5月の売り上げ:1,000万円2年前の5月売り上げ:900万円 |
年間成長率=(昨年5月の売り上げ-2年前5月の売り上げ)/2年前5月の売り上げ | (1,000万-900万)/900万=0.11(11%)※小数点第二位以下切り捨て |
今年5月の売上予測=昨年5月の売り上げ×年間成長率 | 1,000万×1.11=1,110万円 |
売上予測の立て方2:営業パイプラインで予測する
一連の営業プロセス「初回訪問→ヒアリング→提案→見積もり→受注」から売上予測を求める方法もあります。各プロセスが成功する割合から受注数を予測し、売上予測を算出します。計算方法は以下の通りです。
前提条件 | 商品価格:30万円 初回訪問数:100 ヒアリングに進む割合:40% 提案に進む割合:70% 見積もりに進む割合:60% 受注に進む割合:80% |
受注数の予測=初回訪問数×各プロセスの通過率 | 100×0.4×0.7×0.6×0.8=13.44 |
売上予測=受注数の予測×商品価格 | 13.44×30万=403万2,000円 |
営業パイプラインで予測することで、有効なアプローチができていないプロセスを明確にします。営業戦略を考えるときに役立つ方法です。
売上予測への課題と軽視のリスク
売上予測はより良い企業を目指す手段であり、安定した企業経営を実現するために不可欠です。しかし、売上予測の算出を難しくする課題があり、「予測だから当てにできない」と軽視するケースもあります。ここでは、売上予測の課題と軽視するリスクを見てみましょう。
現状の課題
売上予測における現状の課題は以下の3つです。
・営業活動が忙しい
多くの場合、中小企業では営業管理職が売上予測を担当しますが、自身の営業活動が忙しいと、売上予測に注力するのは困難です。
・必要なデータを集められない
過去の実績データを使うことからデータの記録がなければ売上予測はできません。実績データを正確に残す体制が整っていない場合、データの収集は困難です。
・希望的観測を込めてしまう
計算した結果を信用せず、希望的観測を込めた感覚的な売上予測を出すケースがあります。しかし、精度の低い売上予測は、経営判断に支障を来します。
軽視するとどのようなリスクがある?
売上予測を軽視すると、在庫管理や資金繰り、予算管理、人員配置といったさまざまな部分で問題が生じます。
在庫不足は売り上げの機会損失、過剰在庫は無駄な保管コストの要因ですが、誤った売上予測を基に商品を生産すると、在庫不足や過剰在庫につながりかねません。返済計画や予算計画も売上予測を基に立案するため、資金不足に陥る恐れがあります。
売上予測が不透明では、必要な人員も分かりません。人員不足による生産性の低下や無駄な人件費が生じます。
精度がアップする売上予測の立て方とポイント
売上予測を出すだけでは、企業の成長につながりません。売上予測の精度を上げ、今後の経営戦略に活用する必要があります。売上予測の精度に関係するのは、算出方法と従業員個人の業務に対する姿勢です。ここでは、売上予測の精度がアップする3つのポイントを確認しましょう。
組織全体の意思統一
営業スタッフの中に独断で価格を下げて販売する人がいると、正確な売上予測ができません。組織・チーム全体に売上予測の目的と影響を伝え、売り上げに対する意思を統一する必要があります。商品の売り方や成果の記録方法もルール化しましょう。
情報の共有
精度の高い売上予測を出すには、営業スタッフ全員の営業データを日常的に把握しなければなりません。営業部門内で情報を共有することで、顧客への有効なアプローチやモチベーションの向上につながります。営業データをリアルタイムで取得し、一元管理できる仕組み作りが大切です。
ツールの導入
売上予測の精度を上げるには、膨大なデータが必要です。電卓やメモを使ったアナログな方法では手間がかかりミスも起きやすいため、ツールを導入して自動化するとよいでしょう。売上予測の算出だけでなく、営業スタッフの行動管理・進捗管理が可能なツールもあります。
売上予測で役に立つツール
ツールを導入することで、効率的に高い精度で売上予測ができます。ただし、ツールといっても種類はさまざまです。ここでは、売上予測に役立つツールを3つ紹介します。事業規模や予測精度に合わせ、自社に適したものを選びましょう。
SFA
SFA(Sales Force Automation)は、直訳すると「営業支援システム」です。営業スタッフ・商品・事業ごとのデータを分析し、精度の高い売上予測を算出します。
また、顧客情報や営業の進捗情報のリアルタイム更新・共有が可能です。蓄積した営業の知識や営業プロセスに沿ったアドバイスを基に、全体のパフォーマンスが高まるでしょう。
Excel
一般的なビジネスツールであるExcelは、予測シート機能を備えています。既存データの表を作成するだけで、売上予測が可能です。
ただし、膨大なデータを入力すると動作が重くなります。「データ量が少ない」「コストを削減したい」「試験的に売上予測を出したい」といったケースにおすすめです。
販売管理システム
販売管理システムは、販売・営業・製造・在庫・経理といった部門や業務データの一元管理が可能です。
データ収集を効率化すると同時に、統合的に分析することで精度の高い売上予測を実現します。見積もりや受発注など、販売に関わるあらゆるプロセスを効率化できる点もメリットです。
「UMWELT」のAI分析は売上予測に役立つ!
AIシステムを導入すると、高精度かつ効率的に売上予測を算出できます。しかし、AIは扱いが難しいイメージを持つ方もいるのではないでしょうか。
TRYETINGのノーコードAIクラウド『UMWELT』は、専門知識がなくともAIによる売上予測が可能です。ここでは、UMWELTの魅力と導入事例を紹介します。
データの管理・分析を自動化
UMWELTはノーコードAIにより、需要予測・在庫管理・データ分析の自動化が可能です。売上予測に必要なデータを効率的に管理するだけでなく、Excelや基幹システムとも連携でき、BI表示で計算結果を可視化します。
ノーコードAIのため、導入・運用にあたって専門性の高い人材は必要ありません。カスタマーサクセスによる運用支援により、課題が生じたときも安心です。
導入事例
飲食チェーンを展開する株式会社曲田商店様は、売上予測の精度を上げて食品ロスを減らす目的でUMWELTを導入しています。
従来の予測システムの精度が悪く、現場の人間が予測数値を信用できないことから、売り上げ機会の損失を防ぐために原材料を多めに発注していました。
UMWELTで効果検証を行った結果、実績値に近い売上予測を算出しています。今後は、正確な売上予測を事業計画や人事考課に活用する予定です。
(参考:『【曲田商店様】UMWELT活用事例|AIが出す売上予測の活用&食品ロス削減に向けての取り組みを開始|TRYETING』)
まとめ
売上予測は、過去のデータに基づき将来の売り上げを予測する統計的手法です。算出した数値は、経営戦略や営業戦略の立案に生かせます。
売上予測を軽視すると、在庫管理や資金繰りなどさまざまな部分に支障を来しかねません。システム・ツールを導入し、精度の高い売上予測を実現しましょう。
TRYETINGのUMWELTは、売上予測に役立つ機能を多数備えており、幅広い業種で実績があります。無料相談も受け付けていますので、ツール導入を検討している方はお気軽にお問い合わせください。
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