BUSINESS
食品リサイクル法とは何かを目的から取り組み方まで分かりやすく解説!
目次
食品関連の事業者にとって重要な法律が、食品リサイクル法です。食品リサイクル法とは、どのような内容なのでしょうか。
この記事では、食品リサイクル法の目的や対象、取り組み方を分かりやすく解説します。記事を読んで、食品廃棄物削減に貢献する経営を実現しましょう。
▼更にAIについて詳しく知るには?
AI(人工知能)とは?導入するメリットと活用例やおすすめのツールを紹介
▼社内のデータをAI化するには?
ノーコードAIツールUMWELT紹介ページ(活用事例あり)
食品リサイクル法とは何か?目的を分かりやすく紹介
ここでは、食品リサイクル法の目的を分かりやすく解説します。理解を深めるために、法律ができた背景にも注目しましょう。また、環境のためとはいえ、食品リサイクルを実践するには手間と時間がかかります。食品リサイクルは義務なのか、併せて解説します。
法律ができた背景
食品リサイクル法は、2001年5月1日に施行された法律です。食品関連事業者に対して、2024年度までの再生利用等実施率(業種別の目標)を設定しました。しかし、食品小売業や外食産業の取り組みが進まない状況(目標達成者割合が13%)にあったため、2007年に改正しています。
2015年に国際連合が採択したSDGs(持続可能な開発目標)のターゲットとなったことで、世界中で食品ロスへの意識が高まりました。日本の2021年度の食品ロス発生量は、523万トンです。今後はさらなる食品廃棄物の排出抑制や資源としての有効活用を推進する必要があります。
法律の目的
食品リサイクルの目的は、生活環境の保全や国民経済の健全な発展を図ることです。長期的な目標として、業種別の再生利用等実施率と事業者ごとの基準実施率を設定し、食品関連事業者の発生抑制・減量化・再生利用を促進します。
目標達成のためには、食品関連事業者だけでなく消費者・国・自治体も協力しなくてはなりません。「ごみゼロの日」の制定やフードバンクの活用など、個人や自治体の取り組みが活発化しています。
食品リサイクルは義務?
食品リサイクルは、対象事業者の義務です。年間100トン以上の食品廃棄物を排出する事業者は、再生利用等実施率や発生量、再生利用量を報告する必要があります。違反した際の罰則内容は以下の通りです。
違反内容 | 罰則 |
再生利用に十分取り組まなかった多量発生事業者が、命令に違反した場合 | 50万円以下の罰金 |
報告義務のある事業者が発生量などを報告しなかった場合、または虚偽の報告をした場合 | 20万円以下の罰金 |
食品リサイクル法での対象業者と廃棄物について
製造業や小売業など、食品を扱う業者はさまざまです。法律を遵守するには「誰が」「何を」「どのように」の3つを理解する必要があります。ここでは、食品リサイクル法の対象業者と廃棄物、再生利用の手法、注意点を確認しましょう。
食品を扱う事業者全般が対象
食品リサイクル法は、食品の製造・加工業、卸売業・小売業、食堂・レストラン・ホテルなど、幅広い事業者が対象です。業者別に2024年までの再生利用等実施率があります。事業者個別の義務ではなく、業種全体の目標です。
業種 | 再生利用等実施率目標 |
食品製造業 | 95% |
食品卸売業 | 75% |
食品小売業 | 60% |
外食産業 | 50% |
再生利用等実施率の計算式は「その年度の(発生抑制量+再生利用料+熱回収量×0.95+減量量)/その年度の(発生抑制量+発生量)」です。食品事業者は、毎年その年度の基準実施率を上回るように努める必要があります。
対象廃棄物とは?
食品関連事業者別の対象廃棄物は以下の通りです。肥料・飼料などの原料となるものを食品循環資源といい、そのまま廃棄せず、再生利用する必要があります。
業種 | 食品廃棄物 |
食品製造業 | 製造・調理過程で生じる加工残さ・調理くず |
食品卸売業・小売業 | 食品の流通過程で生じる加工くず・売れ残り |
外食産業 | 食品の消費過程で生じる調理くず・食べ残し |
再生利用の手法
再生利用には以下のような手法があります。優先順位は飼料化が最も高く、熱回収が最も低い手法です。
飼料化 | 脱水化・乾燥化・乳酸加工・液状化により、飼料に変える方法。再生利用の実施量が最も多い。 |
肥料化 | 微生物で発酵し、植物の栄養として使用する方法。初期コストが安く、高度な技術を必要としないため、比較的始めやすい。 |
メタン化 | 有機物をメタン発酵し、電気・熱などのエネルギー源として利用できるメタンガスを生成する方法。異物を細かく分類しなくても対応できる。 |
エタノール・炭化 | バイオエタノール・バイオ炭などのエコ燃料を生成する手法。現状、日本での再生利用実施量は少ない。 |
熱回収 | 熱を得るために利用する方法。飼料化・肥料化などができなかった場合に実践する方法で、再生利用方法の認定を受けるには一定の条件がある。 |
食品廃棄物の処理で注意すること
食品廃棄物の処理では「処理委託時・契約時」「引き渡し時」「処理終了時」に注意点があります。各プロセスの注意点は、以下の通りです。
処理委託時・契約時 | ・地域内の委託先を幅広く比較し、適切な料金で委託する ・委託先が廃棄物処理法に基づく許可を受けていることを確認する ・委託先の収集・運搬能力および収集運搬ルートを確認する ・食品廃棄物の積載量・搬入量を明らかにする書類(マニフェスト・伝票など)の管理状況を確認する |
引き渡し時 | ・商品外装の除去や廃棄物を示す印の付与により、商品としての再利用を防ぐ ・積み込み後車両に封印を行い、輸送中の盗難を防ぐ ・廃棄物の保管場所、処理施設に監視カメラを設置する |
処理終了時 | ・マニフェスト・伝票をチェックする ・一定のスパンで再生利用施設を訪問し、食品循環資源の保管・記録の状況を確認する |
食品リサイクル法での再生利用とは?業者別の役割
食品リサイクル法で再生利用を推進する業者には、「食品関連事業者」「再生利用事業者」「農業・林業・漁業者」があります。それぞれが役割を持ち、連携することで食品リサイクルが成り立ちます。ここでは、各事業者の役割と関係を見てみましょう。
食品関連事業者
食品関連事業者は、食品廃棄物の排出者です。食品リサイクルの中心的な役割を担うことから、計画的な再生利用への取り組みが必要です。
分別した調理くずや売れ残り、食べ残しを再生利用事業者に引き渡します。再生利用できない食品廃棄物は熱回収を実施し、熱回収できない食品廃棄物の発生を抑制しましょう。
大量に食品廃棄物を発生する事業者(多量発生事業者)は、毎年度「食品廃棄物等の発生量」「再生利用等の取り組み状況」を定期報告しなくてはなりません。
再生利用事業者
再生利用事業者の役割は、食品関連事業者から受け取った食品廃棄物の再生利用です。飼料・肥料を製造し、農業・林業・漁業者に引き渡します。そのため、食品関連事業者と農業・林業・漁業者、双方への適切な情報提供と生活環境に配慮した活動が必要です。
一定の基準を満たし、主務大臣から認定を受けた優良な事業者を「登録再生利用事業者」といいます。肥料取締法・飼料安全法・廃棄物処理法の特例を受けられるため、一部の手続き義務や規制の対象外です。
農業・林業・漁業者
農業・林業・漁業者は、再生利用によってできた飼料・肥料を使って農林水産物を生産し、食品関連事業者に供給します。食品関連事業者と再生利用事業者、農業・林業・漁業者の三者が連携することで、食品資源がループする仕組みです。
登録再生利用事業者制度とは別に、三者が作成した食品リサイクルループの計画を認定する「再生利用事業計画認定制度」があります。認定を受けることで、計画に関わる一部の手続きが不要です。
食品リサイクル法の定期報告の提出期限や方法
前年度の食品廃棄物が100トン以上の食品関連事業者は、食品リサイクル法に基づき定期報告をする必要があります。定期報告の手続き内容は以下の通りです。
提出期限 | 毎年度6月末日まで |
手数料 | 不要 |
添付書類 | 定期報告書(農林水産省がウェブサイトで公開しているフォーマットを参照) |
部数 | 農林水産大臣・環境大臣に各1部、その他事業所管大臣があれば当該大臣宛に各1部 |
提出先 | 本店所在地を所轄する地方農政局 |
提出方法 | 持参または送付 |
地域によって、内容に細かな違いがあります。事前に提出先の地方農政局に問い合わせるか、ウェブサイトを見て確認しましょう。
(参考:『[手続名]食品リサイクル法の定期の報告手続|国税庁』)
食品リサイクルの取り組みのこつを分かりやすく紹介
食品リサイクルには、一定のコストがかかります。経営を維持しながら取り組むには、食品リサイクルにかかるコストの理解や食品ロスを減らす工夫が必要です。ここでは、食品リサイクルに取り組む際のこつを分かりやすく解説します。
発生抑制で何をするのかを知る
食品リサイクルは、発生抑制→再生利用→熱回収→適正処分の順で対応しましょう。以下のような取り組みで、食品廃棄物の発生抑制を図れます。
製造業 | 過剰生産の防止、賞味期限の延長・年月表示化 |
卸売業・小売業 | 売り切り、ばら売り、輸配送時の汚れ・破損削減 |
外食産業 | 調理ロスの削減、食べ切りの呼びかけ、提供サイズの適正化 |
リサイクルと廃棄物処理でのコストを知る
食品の廃棄は、処理費用がかかるだけでなく、原材料の仕入れ金額が無駄となります。食品廃棄による損失コストを計算式で表すと「(原材料の仕入れ金額×廃棄率)+廃棄物処理費用」です。
また、「食品廃棄による損失コスト/利益率」で、損失コストをカバーするための売上金額を算出できます。自社のデータで計算すると、廃棄による損失がどれだけ大きいか分かるでしょう。
在庫管理で食品ロスを減らす
食品ロスを削減するには、小売業・卸売業・外食産業での在庫管理が重要です。賞味期限切れや販売計画ミスによる過剰在庫が食品ロスにつながります。発注単位の適正化や需要予測、温度管理、賞味期限・消費期限の管理を徹底しましょう。
「びっくりドンキー」や「小樽ビール」を展開する株式会社アレフは、販売数に基づいた在庫月数を管理することで、食品ロスを削減しています。
食品廃棄物削減に向けUMWELTで適切な在庫管理をしよう!
適切な在庫管理は、食品廃棄物削減につながります。TRYETINGのノーコードAIクラウド『UMWELT』は、安全在庫計算・需要予測・売上数量予測など、在庫管理に最適なアルゴリズムを多数搭載しています。
API機能も備えており、既存システムのAI化が可能です。ノーコードのため、専門的な知識・スキルは必要ありません。アルゴリズムを組み合わせるだけで、簡単に利用できます。
データ分析の専門家「カスタマーサクセス」による運用支援もあります。「予測の精度が出ない」「アルゴリズムの組み合わせ方が分からない」といった問題は、カスタマーサクセスにご相談ください。
まとめ
食品リサイクル法は、生活環境の保全や国民経済の健全な発展を実現するための法律です。食品を扱う対象事業者は、廃棄物の再生利用を図るとともに、食品ロスの発生を抑制する必要があります。
食品ロスの発生抑制には、システムによる在庫管理の適正化が重要です。TRYETINGのUMWELTは、さまざまなアルゴリズムを搭載したノーコード予測AIプラットフォームで、在庫の最適化をサポートします。
無料相談やコンサルタントが伴走するプランもご用意していますので、お気軽にお問い合わせください。
UMWELTのサービスページをチェックする
TRYETING
公式
TRYETING公式です。
お知らせやIR情報などを発信します。