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物流業務にIoT活用が必要な理由とは?活用例や注意点を解説
目次
物をインターネットにつなげて管理する「IoT」は、近くに物がなくてもシステムやデバイスを通じて情報や状態を確認できます。近年、物流業界における課題解決策としてIoTの導入が進んでいますが、IoTが物流業務にどう役立つのか分からない方もいるのではないでしょうか。
この記事では、物流業務にIoTが必要な理由とIoTの活用例、注意点について解説します。最後まで読むことで、IoTを活用した物流業務の最適化を実現できるでしょう。
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物流に役立つIoTとは?活用する必要性
物流業界では、少子高齢化や労働環境の影響でドライバー不足が深刻化しています。働き方改革によって労働環境は改善しつつありますが、拡大する物流需要に対応するには業務の効率化や自動化が必要です。
ここでは、物流業務の効率化に役立つ「IoT」について、仕組みや必要性を解説します。
インターネットでつながった「物」を制御する仕組み
IoTは「物のインターネット」を意味する「Internet of Things」の略語です。物とインターネットをつなげることで、サーバー上で処理・変換・分析・連携を行う仕組みです。
例えば、家電製品をインターネットに接続すれば、スマートフォンなどのデバイスから遠隔操作ができます。外出中に家の冷暖房をつける、冷蔵庫の中の食材や賞味期限を管理するといった操作が可能です。
他にも、医療業界のウエアラブルデバイスや飲食業界の予約システムなど、あらゆる業界でさまざまなシステムへの導入が進んでいます。
物流業務にIoTを活用する必要性
小口配送の増加や人手不足は、物流業界が抱える大きな問題です。この課題を解決するために、情報の相互交換ができるIoTが役立ちます。
小口配送の増加は、eコマース市場の拡大で発生しました。従来の大口発送より工程が複雑なことから、手間がかかります。また、配送スピードが求められることによるドライバーの負担増大や再配達による配送効率・生産性の低下も問題です。
少子高齢化に伴う生産人口年齢の減少や長時間労働で、配送ドライバーの人手不足は深刻化しています。物流業務の課題を解決するには、IoTの導入で業務効率化を図ることが必要です。
物流にIoTはどのように活用するのか
物流業界では、すでに多くの業務でIoTを使っています。IoTは、位置情報や保管状況がリアルタイムでチェックできるため、商品の管理や状況の改善に最適です。ここでは、物流業務でIoTがどのように活用できるのかを解説します。
在庫データの可視化
物流倉庫内の商品にIoTを導入すれば、在庫状況や作業記録が可視化できます。荷物の情報を書き込んだRFID(ICタグ、RFタグなど)を商品に取り付けることで、クラウド上にある在庫管理システムと連携し、在庫データを確認できるでしょう。
ワイヤレス通信で管理するため、倉庫内の高い位置にある商品や冷蔵・冷凍倉庫内の商品管理も簡単です。倉庫業務に必要な台車・パレットにタグを取り付ければ、運搬資材の紛失も防げるでしょう。管理体制が整うことで、コスト削減や人件費削減も期待できます。
また、進捗に遅れが生じたときの計画立案や作業実績分析による業務改善も図れます。欠品や遅れのない安定した供給を実現するため、顧客満足度の向上にもつながるでしょう。
配送状況をリアルタイムで管理
IoTは、トラックの積載状況や空車状況の確認にも役立ちます。荷物にセンサーを取り付ければ、配送状況のリアルタイム収集が可能です。関係部署とシェアすることで、積載量が少ない荷物をまとめる、空いているトラックを企業間で融通するといった対応もできるでしょう。
工場の生産状況と商品在庫、配送状況を照らし合わせれば、次回以降の計画的な配車の検討に役立ちます。荷物を効率良く配送することで、配送コストや人件費の削減も可能です。
また、センサーから位置情報を確認できるため、配送中に渋滞や事故が発生した場合でも自動で目的地への到着時間を予測できます。状況に応じた迅速な対応が可能になるでしょう。
冷蔵設備の適切な温度管理
IoTは、食品や医薬品の輸配送における温度管理に有用です。物流には、鮮度・品質を保ちつつ生産から消費までの流れを担う「コールドチェーン」という仕組みがありますが、ドア開閉に伴う温度逸脱や高額な導入コスト、温度管理に使うデバイスの設置とさまざまな課題があります。
IoTを導入すれば、温度・湿度・重量・明るさといった情報の把握が可能です。温度逸脱時のアラート設定によって万が一のトラブルを防ぎ、取得した温度データに基づいた正確な説明を荷主に提供できます。輸送サービス全体が向上し、顧客満足度も向上するでしょう。
設備の保全
IoTは、物流設備の予知保全に活用できます。物流システムとIoTを組み合わせれば、機器や設備に取り付けたセンサーから稼働状況の監視が可能です。AIを使って計測したデータを解析することで、設備の異常察知に生かせます。
保全には、耐用年数や人の経験・勘で故障を防ぐ「予防保全」と異常を察知した時点で故障を防ぐ「予知保全」があり、IoTを活用するのは予知保全です。
予防保全は、交換のタイミングよりも前に故障する恐れがあるため、リスクを伴います。予知保全はリアルタイムで異常を察知することから、予防保全より故障リスクが少なく、故障による業務停滞の回避が可能です。
自動運転での配送
物流業界では、自動運転による配送の実用化に取り組んでいます。自動運転技術はIoTやAIを搭載しているため、物流におけるIoT活用方法のひとつです。
2018年には、高速道路でトラックの隊列走行による行動実証実験が行われました。隊列走行とは、低速走行・車間距離制御装置(ACC)・車線維持支援装置(LKA)を組み合わせた走行形態です。
大手企業が協力し、異なる物流企業間、異なるメーカーの異なる仕様車両でも隊列走行できるよう開発を進めています。実用化すれば、業務の効率化と安全な配送の確保が実現するでしょう。
また、無人航空機ドローンを使った配送も研究が進んでいます。ドローンの活用により、山間部や離島への配送時間の短縮が可能です。
IoTを活用している物流システムの種類
物流業界では、倉庫業務や配送業務を管理するシステムとIoTの連携によって、保管状態や配送状況をリアルタイムで確認しています。ここでは、物流業界における代表的なIoT活用システムを4つ見てみましょう。
RFID
RFIDは、商品の情報が書き込まれたRFタグやICタグを専用の機械で読み取るシステムです。従来のバーコード管理とは異なり、非接触で情報の確認が可能で、倉庫内の高所や冷蔵・冷凍倉庫にある荷物も簡単に管理できます。
また、タグの付いた商品はまとめてチェックできるため、時間と手間のかかる検品作業も効率化できるでしょう。
倉庫管理システム(WMS)
倉庫管理システム(WMS)は、倉庫内の荷物や設備を管理するIoTシステムです。出入庫の処理、返品や在庫の照会、商品補充の状態をリアルタイムで把握できます。
また、バーコードやRFIDタグを使ったピッキング作業、倉庫内在庫の自動管理、ロケーション管理も可能です。導入することで、手作業による時間と手間の他、人的ミスの削減が期待できます。
配車システム(TMS)
配車システム(TMS)は、輸配送を管理するシステムです。倉庫管理システム(WMS)と連携すれば、入荷から配達まで管理できるため、最適な配送計画が立てられるでしょう。
GPS(衛生的利用観測位システム)を使うことから、配送状況もリアルタイムで確認できます。輸配送ルートの渋滞や事故発生時の対応もスムーズです。
また、走行距離や燃料の使用量を数値化し、運賃や物流費を自動計算する機能も備えています。請求書や支払いの管理、月次作業も自動でできるため、人手不足の解消やコスト削減、業務効率化も実現できるでしょう。
ピッキングロボット
物流倉庫内にある商品を取り出すピッキングロボットにもIoTが活用されています。膨大な量の在庫から該当の商品を探し出すには手間と時間がかかり、重量のある商品の場合、身体的負担も大きいでしょう。
IoTを活用したピッキングロボットには、商品保管棚を担当者がいる場所まで自動搬送するGTP(棚搬送型ロボット)、梱包作業場まで自動搬送するAGV(無人搬送ロボット)・AMR(自立走行搬送ロボット)などがあります。
必要な商品を保管した収納棚を簡単に把握できる他、梱包作業場までスムーズに移動できるため、業務効率の向上につながります。
IoTを活用した物流システム導入で気を付けたい3つのポイント
IoTシステムの導入によって、物流業務の効率化やコスト削減、顧客満足度の向上が見込めます。ただし、導入には注意点もあるため、気を付けたい内容を把握して導入・運用をスムーズに進めましょう。ここでは、導入前に確認したい3つのポイントを紹介します。
必要なスキルの確保
倉庫管理システムや配車システムを導入する際は、業務フローの変更が必要です。また、ITやクラウドに不慣れな従業員がいると、操作方法は理解できてもシステムを活用できません。
新しい業務フローの説明会や研修を実施し、IoTシステムの導入目的や操作方法を理解してもらいましょう。従業員の意識を高めることで、必要なデジタルスキルを確保しやすくなります。
セキュリティー対策
2016年9月、IoTデバイスをターゲットにしたサイバー攻撃「Mirai」が頻発しました。IoTの遠隔操作機能を逆手に取ったもので、多くのウェブサービスが被害を受けています。
物流業界では「荷物の状況が把握できない」「温度管理ができない」「在庫管理ができない」などの問題が発生する恐れがあるため、センサーやネットワークのセキュリティー対策が必要です。
導入費用
IoTシステムの導入には、高額なコストがかかります。導入前に自社の物流業務を見直し、導入によって何が改善するか、費用対効果が見込めるかを判断しましょう。
課題解決や自社の目標に最適なシステムを見極めることも重要です。導入コストが回収できる計画を立て、中長期的に業務効率化や生産性向上、コスト削減が見込めるシステムを選びましょう。
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まとめ
IoTは、倉庫管理や配送といった物流業務の最適化に役立ちます。人手不足や物流需要の増加、配送ニーズの多様化に対応するためにも、IoTを活用したシステムの導入は必要不可欠といえるでしょう。
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