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i-Constructionの取り組みとは?対策やICT技術を解説
目次
建設業界では、労働環境の過酷さから人員確保が困難で、i-Constructionをはじめとした生産性向上による省力化や環境改善が急務です。しかし、i-Constructionの取り組みを理解していない方もいるのではないでしょうか。
この記事では、i-Constructionとは何か、ICT活用、企業の課題について解説します。記事を読めば、i-Constructionの基本と生産性向上の具体的な方法を理解できるでしょう。
i-Constructionの取り組みとは
i-Constructionとは、日本の建設業が抱える人員不足を生産性向上によって抜本的に解決する取り組みです。「3K」といわれてきた建設現場を技術の力で変革し、前向きなイメージの職場環境を目指しています。
ここでは、i-Constructionの基本と目的を解説します。
建設業全体の生産性向上
i-Construction(アイ・コンストラクション)とは、国土交通省が主体となって進めている建設現場でのICT活用の取り組みです。ICTとは「Information and Communication Technology」の略で、インターネットを通じて情報交換をする技術を指します。
ICTを建設現場に導入し、建設生産システムの生産性を向上することで、魅力ある建設現場を目指しています。
3Kから新3Kへ
人口減少や少子高齢化が進む日本で安定的に人員を確保するには、労働環境の改善が不可欠です。
これまでの建設業界は「きつい・汚い・危険」の3Kというイメージがありました。i-Constructionにより生産性を向上し、「給与が高い(賃金水準の向上)」「休暇が取れる(休日の拡大)」「希望が持てる(生産性向上による余裕)」という新しい3Kへの変革を目指します。
安全性の確保
建設現場は、重い資材の運搬や高所の作業など危険性が高く、死傷者が他の産業と比べて多い状況です。人間の代わりにロボットが作業を担うことで、死傷するリスクが下がるでしょう。
例えば、ドローンによる危険な場所での測量やICT重機による崩落危険箇所での施工です。作業員を死傷リスクから遠ざけ、安全を確保できます。
i-Constructionで施す建設業の対策
i-Constructionには、取り組みを支える「ICTの活用」「資材規格の標準化」「施工時期の平準化」の3本柱があります。それぞれの内容を理解すれば、i-Constructionの概要と方向性を把握できるでしょう。ここでは、3本柱の詳細について解説します。
ICTの全面的な活用
ICTの全面的な活用とは、調査・測量・設計・施工・検査といったあらゆる建設生産プロセスで、ICTを活用することです。
ICT土木の実現に向け、3次元データを活用するための新基準や積算基準を整備しました。また、国の大規模土木工事における発注者の指定にICTを活用しています。中小規模の土木工事は、受注者の希望でICT土工が可能です。
これまでに、以下のようなICT土木の事例があります。
・3次元測量にドローンを利用し、調査日数を削減
・3次元設計データを利用したICT建設機械の自動制御
・3次元測量を活用した検査により、出来形の書類が不要となり、検査項目が半減
規格の標準化
建設現場で使う資材は一品生産が多く、工期や品質の観点で優位な技術を採用できない問題があります。一品生産は材料を最小限に抑える個別最適設計を行うため、現場ごとに鉄筋や型枠の寸法が異なり、製造や管理の手間が増えて非効率です。
個別最適設計をやめ、プロセス全体の最適化を図れるように設計・施工などの各プロセスで規格を標準化しました。
コンクリート工では、機械式鉄筋定着工法や鉄筋のプレハブ化などの技術に関するガイドラインの整備、スランプ規定の見直し、建築現場で利用する部材仕様の標準化などにより施工の効率化を図ります。
プレキャストやユニット鉄筋の工場での製作が可能となり、コスト削減と生産性の向上につながるでしょう。
施行時期の平準化
4月〜6月は公共工事の件数が少ないなど、1年間の工事量は安定していません。繁忙期と閑散期の差が大きいと、作業員の安定的な確保が困難です。施工時期を平準化し、1年を通して工事量の偏りをなくします。
具体的な施策として、国土交通省所管部局と自治体に対して、計画的な事業執行を推進するよう通知しました。早期発注によって2016年1月〜3月期の新規工事契約件数は、前年同期比で約1.3倍に増加しています。閑散期の工事の落ち込みが改善し、繁忙期と閑散期の差が縮まりました。
発注業者は計画的な業務遂行が容易になり、工事を受注する企業は効率的な人員と機材の配置ができます。現場作業員は、週休2日と収入の安定が実現するでしょう。
i-Constructionの導入に活用するICT技術
i-Constructionの取り組みでは、さまざまなICT技術を利用します。ここでは、ドローンなどの先進技術を用いた測量や自動運転の建設機械、3次元のデータ生成と活用を実現するソフトウエアについて見てみましょう。
ドローンでの3次元測量
これまでの3次元測量は、測量機器とGNSS(Global Navigation Satellite System)を利用した現地測量が基本でした。広域範囲の図面用測定では、有人航空機による空中写真測量を用います。
ここにドローンを使った写真測量が加わり、3次元化のための自動ソフトウエアも導入することで、短時間で効率的に3次元点群データの作成が可能になりました。
ICT建機
ICT建機とは、MC(Machine Contorol System)やMG(Machine Guidance System)を搭載した建設機械を指します。MCは機械を自動制御するシステムで、MGは機械のオペレーターの操作をガイドするシステムです。
3次元設計データを取り込み自動で制御できるため、オペレーターの負担軽減につながります。施工品質が向上し、手戻りが減少することで、工期短縮も期待できるでしょう。
3次元設計データソフトウエア
i-Constructionの取り組み推進には、3次元データの活用が不可欠です。調査・測量・設計・施工・検査など、あらゆる工程において3次元データが利用できます。
3次元データをICT建機で有効活用するには、取得したデータを処理し、3次元設計データを作成するソフトウエアが必要です。作成する際は、工事基準点や平面・縦断線形、横断面形状を入力します。
3次元データ作成を習得するには、実習のようなICT人材育成活動に参加するのもひとつの方法です。
i-Constructionを導入する中小企業の課題とは
i-Costructionの普及には、主に4つの課題があります。例えば、i-Constructionに必要な機械やシステムは、投資金額が高額です。中小企業にとって、高額な費用や低いコストパフォーマンスは事業継続に影響を及ぼす危険性があります。
ここでは、i-Costructionにおける中小企業の課題について解説します。
導入費用がかかる
1つ目の課題は、導入費用です。ICT建機の導入において、費用負担に懸念を抱く企業は少なくありません。
2020年8月にi-Construction推進コンソーシアム企画委員会が公表した調査では、中国地方整備局が意見聴取した49の契約企業・建設業協会のうち、56%が費用面に不安を抱えていると回答しています。特に、中小企業は導入コストの確保が大きな問題です。
コストパフォーマンスが把握しづらい
2つ目の課題は、投資環境です。ICT建機や測定機器が高額で、中小規模の工事では投資に見合った利益が見込めない、工事の採算性に不安があるなどの声があります。費用対効果が明確でなければ、高額な投資は決断できないでしょう。
大きな費用対効果を得るには、生産性を抜本的に見直し、利益率を向上させなくてはなりません。自動化や業務効率化により、手戻りの費用や人件費を削減するなど幅広い取り組みが必要です。
ICTへの理解が不足している
3つ目の課題は、役員や職員のICTに対する理解不足です。国土交通省は、定期的に施工業者・工事発注者向けの研修や現場見学会を実施し、理解度の底上げを目指しています。
また、中小規模工事でも採算が取れるよう受注者にアドバイスしたり、経営者向けの講習会を開催したりするなど、費用面・ICT施工面をサポートする取り組みを推進しています。
新たにICT建機の知識が必要
4つ目の課題は、専門人材の不足です。ICT施工未経験の企業では、3次元データの利用などICT建機運用に関する知識やノウハウがありません。人材育成の取り組み例として、中部地方整備局が取り組んでいる「ICTアドバイザー制度」を活用できます。
この制度の目的は、ICT施工未経験企業に対する啓発活動と3Dデータに対応できる技術者の育成です。関東や九州など他の地域でも、同様の取り組みが行われています。
i-Construction導入における課題の対策
企業がi-Constructionを導入する際の課題は、費用と専門人材の確保です。国土交通省や建設業界も課題を認識しており、生産性向上を図る企業の支援制度を用意しています。補助金を利用することで初期費用の確保が容易になり、不安も軽減できるでしょう。
補助金を活用する
i-Constructionの導入に利用できる補助金には、IT導入補助金とIT活用促進資金があります。
IT導入補助金は、建設業では資本金3億円以下、従業員300人以下のいずれかを満たす企業が対象です。労働生産性向上を目的としたITツールで、ソフトウエア購入費やクラウド利用料(最大2年分)が補助を受けられます。
IT活用促進資金は、ITを活用した業務改善を図る企業が、日本政策金融公庫の融資を受けられる制度です。直接貸し付けの限度額は7億2,000万円で、返済期間は設備資金では20年以内、運転資金の場合は7年以内です。
(参考: 『IT導入補助金2023』)
(参考: 『IT活用促進資金|日本政策金融公庫』)
誰もが使いこなせるツールを選ぶ
生産性向上を目的として新しいツールを導入する場合、操作が直感的で使いやすくなければ定着しません。i-Constructionで抜本的な変革をするには、現場の作業員が導入の目的を理解し、多忙な業務の中で使いこなせるように慎重に準備することが大切です。
操作が複雑で慣れるまでに時間がかかるツールを選ぶと、現場の混乱を招き、生産性低下につながります。誰もが使いこなせるツールを選択しましょう。
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建設業界をはじめ、さまざまな中小企業経営者が生産性向上に関する悩みを持っています。抜本的な変革には新しいツールの導入が効果的ですが、費用の捻出は難しい問題です。費用対効果が見えずに、導入を延期するケースもあるでしょう。
TRYETINGの『UMWELT』は、低コストで導入も容易なノーコードAI予測ツールです。専門的な知識が不要で、操作も簡単です。豊富な機能を搭載し、データ処理や機械学習など、AIを活用した業務の自動化を実現します。
まとめ
建設業の発展には、生産性の向上による労働環境の改善と省力化が不可欠です。i-Constructionの取り組みは、建設現場での働き方を抜本的に変革します。
中小企業が新たな生産性向上ツールを導入する際は、高額な費用と人材不足が課題です。UMWELTは、高度な専門知識がなくとも生産性向上を実現します。AI導入の費用を90%、導入までの期間を70%削減できるため、生産性向上を図りたい企業様は、ぜひご相談ください。
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