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倉庫業法の営業倉庫とは?分類から登録手順・違反した際の罰則を解説

倉庫業法の営業倉庫とは?分類から登録手順・違反した際の罰則を解説

倉庫業を営む場合、倉庫業法を遵守する必要があります。倉庫業法とは、営業倉庫の登録や管理について定めた法律です。しかし、「倉庫業法とはどのような法律か」「倉庫にはどのような種類があるのか」といった疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。

この記事では、倉庫業法の定義や違反したときの罰則、営業倉庫の分類、登録手順を紹介します。最後まで読むことで、倉庫業法を遵守したビジネスが展開できるでしょう。

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倉庫業法の倉庫とは?定義と分類


まずは、倉庫業法とはどのような法律かを理解しましょう。倉庫とは「物を保管する建物」というイメージがあるかもしれませんが、倉庫業法ではさらに詳しく定義しています。倉庫業法における倉庫の定義と分類を明確にしましょう。

倉庫業法とは

倉庫業法は、日本の倉庫業を規制する法律です。倉庫業者と利用者間の円滑な取引や利用者の利益確保を目的としています。

倉庫業を営む際は、国土交通省に倉庫の届け出が必要です。倉庫業は国民の生活に欠かせない産業であるため、耐火・耐震基準、害虫防止対策など、厳しい基準を設けています。未登録で営業を開始すると法律違反となり、罰則の対象です。

倉庫業の定義

一般的な倉庫には、自社製品の物品保管または一般家庭での個人的利用を目的とした「自家用倉庫」と、他者の物品保管を目的とした「営業倉庫」の2種類があります。

倉庫業法における倉庫は、物品を保管するための施設(建物だけでなく工作を施した土地・水面も含む)です。倉庫業は、他社から預かった物品を倉庫で保管し運送する事業と定義しています。

倉庫業で利用する倉庫が「営業倉庫」で、厳しい基準を満たし、国土交通省が倉庫業の営業を認めた施設を指します。

倉庫業法が適用される営業倉庫業の分類


倉庫業法の適用対象となる営業倉庫には、普通倉庫・冷蔵倉庫・水面倉庫の3つがあります。倉庫業としてサービスを提供するのであれば、自社が扱う物品に合った倉庫の登録が必要です。ここでは、営業倉庫業の分類と該当する物品、倉庫業のサービス内容を紹介します。

営業倉庫業の分類一覧

倉庫業の登録では、倉庫は9つに分類されます。それぞれの特徴と保管する物品について以下にまとめました。なお、普通倉庫は7つの倉庫の総称です。

倉庫の種類 倉庫の特徴と保管する物品
普通倉庫 1類倉庫 冷蔵倉庫・危険品倉庫で保管が必要な物品を除き、全ての物品を保管できるハイグレードな倉庫
2類倉庫 防火・耐火性能が不要。1類倉庫に比べ保管できる品物に制限がある
3類倉庫 防火・耐火性能および防湿性能が不要。ガラス類や鉱物など、湿気や気温変化に強い物品を保管する
野積倉庫 柵・塀で囲んだだけの施設。鉱物、木材、古タイヤなど、雨風に当たってもよい物品を保管する
貯蔵槽倉庫 サイロやタンクが該当する。穀物、糖蜜、小麦粉など、ばら状または液状の物品を保管する
危険品倉庫 建屋、区画、タンクなど。危険物、高圧ガス、アルコールなどを保管する
トランクルーム 個人の物品を保管する倉庫
冷蔵倉庫 食肉、水産物、冷凍食品など、10度以下で保管する物品用の倉庫
水面倉庫 原木を水面で保管する倉庫

(参考: 『物品の種類と保管可能な営業倉庫|国土交通省』

倉庫業のサービス内容

倉庫業は貨物の検査・検品、入庫・出庫、保管・在庫管理、ピッキング、梱包、流通加工といった物流サービスを提供します。それぞれの業務内容は以下の通りです。

検査・検品 入出庫する商品の数量や不良品の有無をチェックする
入庫・出庫 フォークリフトなどで商品を所定の場所へ格納する
保管・在庫管理 適切な在庫数と商品状態を維持し、倉庫内の効率化を図る
ピッキング 伝票に従って保管場所から商品を集める
梱包 輸送中に傷が付かないよう、緩衝材や段ボールで包装する
流通加工 商品に付加価値を与え、消費者の満足度を向上するための加工を行う。値札付けやラベル貼り、検針、小口包装など

倉庫業法の登録対象者とは?


倉庫業法の登録対象者は以下の通りです。該当する人および企業は、倉庫業法に基づく登録を行い、運営基準を遵守する義務があります。

・すでに営業倉庫を登録した倉庫業者
・今後、営業倉庫業を行う予定の人
・トランクルームなどを使用し、倉庫業に近い事業を行っている人

営業倉庫の登録には基準があります。基準を満たさなければ、倉庫業を運営できません。この項目では、登録対象者の基準について解説します。

申請者が欠格事由に該当しない

申請者が倉庫業法で定める欠格事由に該当する場合、営業倉庫は登録できません。欠格事由は以下の通りです。

・申請者が1年以上の懲役または禁錮刑に処せられ、刑の執行終了、または執行を受けることがなくなった日から2年経過していない
・申請者が倉庫業法第二十一条の規定による登録の取り消しを受け、その取り消しの日から2年経過していない
・申請者が法人の場合、上記2項目のいずれかに該当する役員がいる

設備基準を満たした倉庫がある

倉庫業法が定める基準を満たしていない倉庫は、営業倉庫として登録できません。

設備基準は以下の23項目です。ただし、倉庫の種類によって満たさなければならない項目は異なります。例えば、水面倉庫の場合、満たす必要がある項目は、1、2、15、17、18です。

1.使用権限
2.関係法令適合性
3.土地定着性など
4.外壁や床の強度
5.防水性能
6.防湿性能
7.遮熱性能
8.耐火性能
9.災害防止措置
10.防火区画
11.消火設備
12.防犯措置
13.防鼠設備
14.防護措置
15.照明設備
16.屋上床強度など
17.水面防護措置
18.係留措置
19.土地定着性など(貯蔵槽)
20.周壁底面強度
21.通報設備
22.冷蔵設備
23.温度計など

倉庫管理主任者の設置ができる

営業倉庫の登録には、倉庫管理主任者をひとつの倉庫に1人ずつ選任する必要があります。

倉庫管理主任者の業務は、倉庫施設の管理、倉庫管理業務の運営、労働災害の防止、現場従業員の研修などです。以下のいずれかを満たせば、倉庫管理主任者になれます。

・倉庫管理の業務に2年以上の指導監督的実務経験がある人
・倉庫管理の業務に3年以上の実務経験がある人
・国土交通大臣の定める倉庫管理に関する講習を修了した人
・上記3つと同等以上の知識、または能力を有すると国土交通大臣が認めた人

ただし、上記の条件をクリアしても、次に該当する人は倉庫管理主任者になれません。

・1年以上の懲役または禁錮刑に処せられ、刑の執行終了、または執行を受けることがなくなった日から2年経過していない
・倉庫業法第二十一条の規定による登録の取り消しを受け、その取り消しの日から2年経過していない

倉庫業法の罰則とは?営業倉庫として登録しないリスク


営業倉庫として登録せず倉庫業を営むと、倉庫業法に基づいた罰則が科せられます。他にも、倉庫業における違反行為はいくつかあるため注意しましょう。

ここでは、倉庫業法の違反行為と罰則を4つ紹介します。

登録せずに倉庫業の営業した場合

国土交通省の認可を受けずに倉庫業を営業したときの罰則は、1年以下の懲役、もしくは100万円以下の罰金、またはその両方です。

大きなリスクを伴うため、倉庫業を始める前に営業倉庫の登録を済ませましょう。倉庫業の登録をする際は、運輸局で申請します。

他人へ名義を貸した場合

他人が倉庫業を営むために名義を貸すことは、違反行為に当たります。罰則は、営業倉庫の登録を行わなかった場合と同じく1年以下の懲役、もしくは100万円以下の罰金、またはその両方です。

名義貸しは何らかのトラブルが生じた際に、責任の所在が不明瞭になります。人々のライフラインとして倉庫業を安全に営むために禁止されています。

他人の名義を借りた場合

他人の名義を借りて倉庫業を営業することも、違反行為に該当します。罰則は、名義を貸した場合と同じく1年以下の懲役、もしくは100万円以下の罰金、またはその両方です。

ただし、他社・他人への倉庫事業の承継は可能です。この場合、承継してから30日以内に国土交通大臣に届け出る必要があります。

営業停止命令を無視した場合

倉庫業者が欠格事由に該当したときや不正行為をしたときは、国土交通大臣が営業停止命令や登録の取り消しを実行します。

無視して営業を続けた場合、違反行為に当たります。罰則は、6か月以下の懲役、もしくは50万円以下の罰金、またはその両方です。

他にも、「国土交通大臣からの運営改善命令に違反する」「倉庫管理主任者を選任していない」「許可なしで倉庫証券を発行する」といった場合も該当します。

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営業倉庫業の届け出から登録まで


営業倉庫業の登録には、ある程度の日数がかかります。事業を始める段階で登録が済んでいないと無駄なコストがかかるため、事前準備と迅速な手続きが重要です。ここでは、営業倉庫業の届け出から登録までの手続き方法と必要書類を紹介します。

手続き方法

迅速に手続きを済ませるため、倉庫の建設・購入前に運輸局に相談しましょう。扱う物品や施設規模を伝え、営業倉庫の要件を理解した上で設備基準を満たす物件を選びます。

倉庫を建設する場合、営業倉庫の使用可否を自治体に相談すれば、建築基準法や都市計画法に関する指導が受けられるでしょう。

次に、必要書類を準備して、運輸局で登録申請します。必要書類が多いため、チェックリストを活用しましょう。審査には2か月〜3か月かかり、不備があると指導を受け、修正が必要になります。審査に通れば、営業倉庫業の登録は完了です。

必要書類

1類倉庫の場合、倉庫業の登録に必要な書類は以下の通りです。会社控え用、運輸支局用、運輸局用の計3部作成する必要があります。所管面積10万平方メートルを超える場合、さらに国土交通大臣用に1部必要です。

・倉庫業登録申請書
・倉庫明細書
・施設設備基準別添付書類チェックリスト
・使用権限を証する書類(不動産登記簿の謄本や賃貸契約書など)
・関係法令に適合していることを証明する書類(完了検査済証、建築確認済証、短計図、建具表など)
・倉庫の平面図、立面図、断面図
・倉庫付近の見取り図、倉庫の配置図
・倉庫管理主任者関係書類
・登記簿謄本
・宣誓書
・倉庫寄託約款

倉庫業務を効率化する基本的な3つの方法


効率的な業務は人的・経済的コストを削減し、企業の生産性を上げます。しかし、倉庫業務はさまざまな作業が集約しているため、情報の把握や連携が困難です。倉庫業を始めたばかりだと、苦労することもあるでしょう。

ここでは、倉庫業務を効率化する基本的な3つの方法を紹介します。

倉庫内の動線や保管場所の見直し

倉庫業では、入出庫作業やピッキングなど歩き回りながら仕事をするため、倉庫内の移動距離を短くすると業務効率はアップします。従業員の動線が短くなるように工夫しましょう。

例えば、「出荷頻度の高い商品をアクセスしやすい場所に保管する」「セットで出荷する可能性が高い商品を近くに置く」といった対策で効率化が見込めます。

商品が見つからないという事態を防ぐには、整理整頓も大切です。商品の場所を明確にするのはもちろん、棚に収まらない商品の置き場所、仮置きスペース、荷捌きスペースを確保するのも効果的です。

ピッキング手法の見直し

倉庫業のピッキング手法には、オーダーピッキング(シングルピッキング)とトータルピッキングの2種類があります。

オーダーピッキングは1オーダーごとにピッキングする手法、トータルピッキングは複数のオーダーを1回にまとめてピッキングする手法です。それぞれのメリット・デメリットは以下の通りです。

メリット デメリット
オーダーピッキング ピッキングした商品をそのまますぐに出荷できる 作業の動線が長い
トータルピッキング 作業の動線を短縮できる 出荷先ごとに仕分けが必要

オーダーピッキングは商品の種類が多い倉庫、トータルピッキングは出荷先が多く商品の種類が少ない倉庫に向いています。自社に合った手法を選ぶことで効率化が見込めるでしょう。

管理システムの導入

倉庫内全ての商品を把握するのは困難ですが、倉庫管理システムを導入すれば、商品の場所や個数が正確に分かります。ハンディー端末で在庫を確認するため、保管場所まで移動し確認する必要がありません。

在庫だけでなく、作業員の情報や商品の入庫から出荷までの流れも管理できます。作業効率が上がり、欠品や誤発注も防げるでしょう。

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まとめ

倉庫業法における営業倉庫とは、国土交通大臣が倉庫業の営業を認めた施設です。扱う物品によって、倉庫は9つに分類されます。登録する際は、自社が該当する分類で申請しましょう。

国土交通大臣の認可を受けるには、欠格事由に該当しない申請者や設備基準を満たした倉庫など、いくつかの条件があります。登録せずに営業すると、1年以下の懲役、もしくは100万円以下の罰金、またはその両方が科せられるため、忘れずに申請しましょう。

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