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医療業界におけるDXとは何?DXの進め方や導入事例も併せて紹介
目次
DXはさまざまな企業で取り組まれています。医療業界においてもDXは注目されていますが、DXとは何のことか、DXでどのように変わるのか分からない方もいるのではないでしょうか。
この記事では、医療業界におけるDXの定義や、DXの先にある医療業界の未来を解説します。最後まで読めば、DXがより身近に感じられるでしょう。
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医療業界のDXとは何か?
医療業界におけるDXは、一般企業が取り組むDXと異なります。まずは、医療業界ならではのDXの目的を理解しましょう。DXと間違えやすい言葉に「デジタル化」があります。デジタル化を進めることがDXと考えている方は、しっかりと違いを把握しておきましょう。
医療におけるDXの定義とは
DXとは、デジタルトランスフォーメーションの略称です。DXは、あらゆる業界が取り組んでいますが、一般企業と医療業界とでは定義に違いがあります。
一般企業のDXの定義は、デジタル技術を駆使して競争上の優位に立つことです。一方の医療業界では、患者が任意の医療機関を受診できることが求められます。
そのため医療業界のDXは、競争上の優位な立場の確立ではなく、質の高い医療を効率よく提供できるようになることだと定義されています。
DXとデジタル化は何が違う?
デジタル化は、デジタル技術を導入することが目的です。一方のDXは、デジタル化の先にあるビジネスモデルの変革を意味します。デジタル技術を導入しただけではDXとはならず、コストだけがかかってしまうこともあるため、注意が必要です。
DXに取り組む関係機関は他産業より少ない
DXの取り組み状況の調査結果によると、医療業界は特に遅れています。DXが進んでいる情報通信業(通信業)の51%に対し、医療・福祉業界はわずか9.3%です。デジタル技術を活用して業務効率化を図る医療機関もありますが、医療業界全体ではまだ進んでいない現状です。
医療業界が抱えている課題
DXに取り組む前に、現時点で医療業界が抱えている課題も把握しておきましょう。
1つ目の課題は、人材不足です。厚生労働省が発表した雇用動向調査結果によると、2021年の医療・福祉業の離職者数は105万6,400人と、全16種類の産業の中で3番目に位置しています。
2つ目の課題は、地域医療の格差です。都心など人口が集中している場所は医療機関が多い傾向であるのに対し、高齢化が進む過疎地では小さな医療機関だけで専門の医療機関も少ない状態にあります。
3つ目の課題は、アナログへのこだわりです。例えば、紙カルテにこだわり、電子カルテを導入しないことが挙げられます。アナログへのこだわりは、DXのハードルを高めることにもつながります。
『医療DX令和ビジョン2030』で提言されている3つの取り組み
『医療DX令和ビジョン2030』とは、自由民主党政務調査会が提言したものです。『医療DX令和ビジョン2030』は、3つの柱で構成されています。日本の医療業界を変えていくには、3つの柱を同時に取り組んでいくことが大切です。
ここでは、医療業界のDXを後押しする『医療DX令和ビジョン2030』の3つの柱を解説します。
1.全国医療情報プラットフォーム創設
全国医療情報プラットフォームとは、電子カルテを含む医療に関するさまざまな情報を共有できる基盤です。これまでは医療機関ごとに管理されていた患者の情報も、全国医療情報プラットフォームがあればネットワークを通じて情報収集ができるようになります。
また、紙の紹介状がなくなったり、マイナンバーカードの活用の幅が広がったりすることも期待されています。
2.電子カルテ情報の標準化
電子カルテ情報の標準化とは、国際標準規格HL7FHIRと厚生労働省が決めたルールに沿って、医療機関同士で電子カルテのデータを交換する際の手順や、電子カルテの標準コードを定めることです。これにより、簡単に情報共有が行えることが期待されています。
最初に取り組むのは、健康結果報告書・退院時サマリー・診療情報提供書の3文書と、感染症・傷病名・アレルギー・処方・検査・薬剤禁忌の6情報です。
3.診療報酬改定DX
これまでは、診療報酬改定が行われるたびに、診療報酬明細書を作成するレセプトコンピューターへエンジニアが手作業で改定内容を反映させていました。決められた期間内でシステムに反映させなくてはならず、エンジニアにとっては大きな負担です。
これらの作業を効率化させることでエンジニアの負担を軽減させ、有効活用につなげる取り組みです。
DXの先にある医療業界の未来
必要とされている医療業界のDXを進めた先には、どのような未来が待っているのでしょうか。医療業界にもDXが注目されるのは、医療業界側だけでなく患者側にもメリットがあるためです。ここでは、医療業界でDXを進めた先にある未来予測を5つ紹介します。
業務効率化を図れる
医療現場にロボットを導入できれば、手作業で行う定型業務を自動化して効率がアップできる他、ヒューマンエラーを減らせます。紙カルテを廃止して電子カルテを導入すれば、入力間違いなどが防げることから、事務作業の効率化が図れます。
オンラインによる遠隔診療の実現
DXが進むと、ビデオ通話を使った遠隔診療が可能になります。オンラインの遠隔診療を使えば、感染リスクもある対面方式の診療から開放され、長い時間を待つ必要もなくなるでしょう。地方に住む患者が、都心にある大きな医療機関を受診しやすくなることも期待されています。
また、オンラインの遠隔診療は現場で働くスタッフの負担軽減にもつながります。
BCP対策にもつながる
日本は、世界的に見ても災害の多い国です。大きな災害に見舞われたときに、医療の提供を継続するための体制が整っていなくてはなりません。緊急事態の際に、どう対応するのかあらかじめ決めておくのがBCPです。
オンライン診療をはじめとしたDXを進めておけば、BCP対策にもつながります。
医療業界全体での情報共有
患者の同意を得る必要がありますが、服用している薬などの医療情報をクラウドを通して情報共有ができるようになります。初めて受診する医療機関でも、これまでの診療情報を得られます。
医療業界全体で情報を共有できれば、より質の高い医療の提供にもつながるでしょう。
予防医療が進む
生活習慣など個人が抱えるデータとAIを組み合わせれば、健康状態の解析が可能です。スマートフォンだけで解析し、その結果を基に、健康を管理できる予防医療が始まっています。
また、IoTを活用すれば、通院しなくとも検査が可能です。予防医療が進むことで、医療費の増加防止も期待されています。
医療業界がDXを進める5つのステップ
それでは、医療業界はどのようにDXに取り組んでいけばよいのでしょうか。医療業界がDXを進める際には、以下の5つの流れで行いましょう。ステップごとに、何をすればよいのか解説しています。
1.現状の課題を明確化させる
DXの取り組みは、現状の課題を洗い出すことから始めましょう。課題を洗い出す際には、現場の声を集めることも大切です。課題として捉えていないことも、DXを進めることで効率化できることがあります。
例えば、手作業で行う定型作業など、毎日流れるように行っている作業も自動化できるかもしれません。長時間労働の傾向がある業務内容も、見直す機会です。
2.課題解決の優先順序を決める
洗い出した課題は、医療機関ごとに優先順序が異なります。優先順序をつけるなら、現場の負担軽減につながるような、理解を得やすい業務から取り組むことがおすすめです。例えば、電子カルテの導入や自動発注システムの導入が挙げられます。
現場で成功事例を体験できれば、DXを身近に感じてもらうこともできるでしょう。
3.DX人材の確保とツールの選定
現在いる人材だけでDXを進められるとは限りません。DX関連の知識がある人材を育成できなければ、DX支援サービスなどを利用して外部から人材を確保する必要があります。しかし、現在はDX人材が貴重な存在のため、簡単には見つからないかもしれません。
人材確保と同時に進めるのが、DXに必要なツールの選定です。コストなどを考慮しつつ、効果的なツールを見つけましょう。
4.業務プロセスの見直し
業務プロセスを見直す際は、まずデジタル化に取り組みましょう。デジタル化の例は、紙にまとめられたデータをPDF化することです。紙カルテを電子カルテに変えることもデジタル化に含まれます。
デジタル化の次は、IT化に取り組みましょう。IT化とは、業務プロセスをデジタル移行することです。例えば、受診予約を電話からインターネットに変えることなどが挙げられます。
デジタル化とIT化を繰り返すことで、医療業界全体のDXにつながります。
5.SaaSで多機関と連携できる環境をつくる
クラウド型サービスのSaaSを活用して複数の医療機関との情報共有をし、医療ネットワークを拡大させます。医療機関に保管されている患者の情報をクラウドセンターを通じて集めれば、患者の家族や他の医療機関への情報共有が可能です。
また、SaaSは災害時などに医療提供を継続させることにも役立ちます。
医療業界のDXの事例
医療業界のDXをイメージするなら、事例を参考にするのがおすすめです。大小さまざまな医療機関がDXを進めています。ここでは、3つの医療機関がどのようなDXを進めているのかを紹介します。
昭和大学病院:eICU(遠隔医療)
昭和大学病院は、デジタル技術を活用した遠隔集中治療体制を整えました。遠隔集中治療システム『eICU』により、支援センターにいるスタッフが離れた場所にある病院の集中治療をサポートします。遠隔医療が実現したことで、集中治療スタッフの負担軽減にもつながりました。
慶応義塾大学病院 産科:オンライン妊婦健診
慶応義塾大学病院の産科では、妊婦健診時の感染リスクを低減させるために、アプリを使ったオンライン診療が導入されました。問診票、チェックシートなどをあらかじめ準備しておくだけで、予約した時間にビデオ通話で診察が受けられます。
画像を含む超音波検査結果はアプリへ送れることから、家族との共有も簡単です。
田中クリニック:ニコチン依存症治療用アプリ
東京都中野区にある田中クリニックでは、禁煙外来でニコチン依存症の方向けのアプリを用いた治療が始められました。従来の禁煙治療と治療スケジュールは変わりませんが、アプリを用いたリアルタイムでの心理的サポートが可能です。飲み薬の服用と並行して、禁煙治療を進めます。
医療業界がDXを進める上で把握しておきたい課題
医療業界にはさまざまなDX事例があり、取り組んでみようと思う方もいるかもしれません。しかし、DXに取り組むにあたって、課題に直面することもあります。ここで紹介する3つの課題を把握した上でDXに取り組めば、成功に近づけるでしょう。
DX人材の確保が難しい
DXを進めていく上で、デジタル技術を活用できる人材が求められます。国公立病院施設の多くが、システム開発の一連の業務を外注ベンダーに頼っている現状です。
外注ベンダーに頼ればデジタル技術を活用できる人材確保の課題は解決できますが、患者本位とは離れた、外注ベンダー中心のシステム開発に偏る可能性があります。
競争が起きづらい仕組み
全ての診療費用を医療機関側で決められるのであれば、安さを追求した競争原理が働くでしょう。
しかし、日本の医療業界には、保険診療もあります。保険診療の場合、厚生労働省大臣が医療行為別に決めた診療報酬の点数で負担金額が変わります。医療機関ごとの差はないため、一般企業のような競争原理が働きません。
DX投資に充てられる予算が足りない
DXへの準備を始めたものの、予算が足りずに思うように進まないこともあります。特に一般病院の収益率は低いのが現状です。新型コロナウイルス感染症の影響から、2019年から2020年にかけて一般病院の利益率が-0.9%と低下しました。
このように医療業界は、DXに充てられる十分な予算が足りず、思うように進められないことがあります。
医療のDXに最適なツール『UMWELT』をご紹介
医療業界のDXを進める上で発生する課題を回避するなら、TRYETINGの『UMWELT』がおすすめです。UMWELTは、あらかじめ備わっているアルゴリズムを組み合わせるだけで、データから在庫計算や需要予測ができます。
これまで過剰在庫による廃棄をしていた場合でも、UMWELTがあれば在庫の適正管理が実現可能です。
まとめ
医療業界のDXは、質の高い医療を効率的に提供するのが目的です。『医療DX令和ビジョン2030』にあるように、医療業界の情報のあり方を変えていく必要もあります。DXが進めば、予防医療が進んだり、遠隔診療が実現したりするなど明るい未来が待っているでしょう。
しかし、医療のDXを進めるには人材確保などの課題にも目を向けなくてはなりません。医療のDXにはUMWELTがおすすめです。UMWELTなら、新たな人材を確保することなく、簡単に在庫管理や需要予測が行えます。
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