TECHNOLOGY
機械学習のlossが下がらない原因は?精度低下を抑える工夫を解説
目次
AIなどのIT技術が世間一般に浸透したことで、機械学習という単語を耳にすることが多くなってきたばかりではなく、ビジネスの世界でも多くの業界・業種で実際に活用され始めています。この記事を読んでいる方の中にも、機械学習をすでに導入している、或いは導入を検討している方もいるのではないでしょうか。しかし機械学習をはじめてみたもののloss(損失)が適切に減少せず、なかなか精度を向上させられないと悩みを抱えるケースも増えています。そこで今回は、機械学習のlossが減少しない原因や、モデルの性能の向上のためにはどうするかなど、機械学習に関する情報を解説します。
▼更に機械学習について詳しく知るには?
【完全版】機械学習とは?解決できる課題から実例まで徹底解説
▼社内のデータをAI化するには?
ノーコードAIツールUMWELT紹介ページ(活用事例あり)
機械学習とは
そもそも機械学習とはどのようなものなのでしょうか。すでにご存じの方もいるかもしれませんが、機械学習の概要について解説します。
機械学習はAIに関わる分析技術のひとつ
AIという概念の中に機械学習という技術があり、さらに機械学習の中には、ニューラルネットワークの手法の1つとしてディープラーニングが存在しています。機械学習とは、AIの1つの要素技術であり、コンピューターに大量のデータを入力し、データに潜むパターンやルールを発見させる技術です。ディープラーニングはニューラルネットワークを多層に渡って拡張し、学習能力を高める機械学習の1つであり、AIを構成する手法として様々な場面で用いられています。
機械学習におけるloss(損失)とは?
機械学習におけるlossとは、損失関数(Loss function)の出力する値のことを指しています。損失関数とは、機械学習モデルが算出した予測値と、実際の正解値のズレを計算するための関数であり、その結果出力される損失は、実際の正解値と予測値の距離や差、違いの総量や平均とみなすことができます。予測値は事前に構築した機械学習モデルが算出した値ですが、必ずしも正確なデータが算出されるわけではありません。最終的に出したい答えとなる正解値との差を検出し、差が小さいほどAIの精度が高いと言えます。したがって、AIの精度を高める上での最終的なゴールとは、機械学習lossをできる限り小さくしていくことだと言えるのです。
機械学習lossが減少しない主な要因
機械学習lossが減少しない原因としては、主に以下の2つが挙げられます。
- そもそも学習できていない
- 過学習を抑制できていない
そもそも学習できていない
機械学習lossが下がらないときは、ソースコードに欠陥(バグ)があるケースが多くあります。モデルの計算や、学習の計算式、実際の実装に問題がないか確認する必要があります。
機械学習プログラミングは、通常のものと比較してデバッグが難しいと考えられますので、ミスがないかどうか丁寧に確認していきましょう。
過学習を抑制できていない
過学習とは、学習データに対する評価データが高いものの、異なるデータに対して正解率が低くなってしまう状態です。機械学習の目的は、新たなデータが登場したときに、今までの学習データに基づいてできる限り精度の高い分析結果を算出することです。しかし、機械学習で過学習をしすぎてしまうと、特定のデータにばかり強くなり、その他のデータに関しては対応力が低下してしまうのです。
機械学習の性能を向上させるには?
ここまで原因について見てきましたが、どうしたら機械学習モデルの性能は向上していくのでしょうか。機械学習モデルの性能を向上させるためには、以下の方法が効果的だと言われています。
- ハイパーパラメータの見直し
- モデルの単純化と制約の追加
- 学習データを増やす
- 特徴選択を活用する
ハイパーパラメータの見直し
モデルの性能が低い場合、ハイパーパラメータの最適化を行うことで状況が改善されるケースがあります。ハイパーパラメータとは、モデルを制御するパラメータであり、バッチ数やエポック数、学習率などが挙げられます。これらのパラメータを変更して再実験を行うことで性能は大きく変わってきます。
モデルの単純化と制約の追加
モデルが過学習をしている場合、データ量に対して、モデルのパラメータが多すぎる、すなわちモデルが複雑すぎることが原因である可能性があります。ゆえに、より単純なモデルで学習をすることでうまく行くことがあります。また、パラメータに対して正則化項などの制約を付加して学習することで、モデルの複雑化を防ぐことができるようになると言われています。
学習データを増やす
過学習を抑制する方法として挙げられるのが学習データの数を増やすことです。そうすることでバリエーションが増え、新たなデータにも適応できるようになるため、有効な方法と言えます。機械学習lossで悩んでいる方は、現時点のデータ数が十分であるのかを確認し、足りていなければ収集するための手段を検討していきましょう。
特徴選択を活用する
特徴選択とは機械学習の精度向上を目的とした施策で、学習データの中からターゲットに最も近い特徴を選択することです。機械学習で見つけ出された特徴の中から取捨選択をし、特徴を絞ることで精度をあげていきます。
機械学習の活用で期待できること
ここまで機械学習lossについて触れてきました。ここからは、機械学習を活用できることでできることについて解説していきます。機械学習は活用することで、以下3つの効果が期待できます。
- データ分析から未来を予測できる
- 業務の自動化で生産性が向上する
- AIデータ活用人材を育成できる
データ分析から未来を予測できる
機械学習は過去データを学習させることで、未来で起きる事象を予測できます。過去データを学習することで、ある一定の法則性やルールを見つけ出していきます。法則性を導き出せれば、そこから学習し予測を立てるため、より精度の高い予測が可能となるのです。
業務の自動化で生産性が向上する
機械学習は、人間が行っている業務の自動化にも適しています。たとえば、毎日決まった時間にシステムから出力されたデータをExcelに転記するという作業をしていたとしましょう。機械学習を活用することで、一定の時間になったら自動で処理を進めていってくれるのです。そこには人間の手がほとんどかかりません。機械学習を活用することで日々の業務の生産性を向上できます。
AIデータ活用人材を育成できる
企業内で機械学習を活用することで、AIデータを活用できる人材の育成にもつながります。近年、企業が優位性を保っていくためには、データを活用した企業戦略はもちろん、データを活用する人材も求められています。自社に対応した環境設定やlossを減らす取り組みなど、機械学習を扱っていくことで関連した知識が体系的に身に付いていきます。そのため、機械学習を活用しながら、社内の人材にデータ活用に関するリテラシーも醸成していけるのです。
機械学習の分類別の活用事例
機械学習には、主に以下5つの分類方法があります。
- 教師あり学習
- 教師なし<学習
- 強化学習
- 深層強化学習
- 半教師あり学習
ここでは、上記5つの分類のうち「教師あり学習」「教師なし学習」「強化学習」をみていきます。
教師あり学習
教師あり学習とは、正解のデータが用意されており、正しい出力ができるように入力データの特徴やルールを学習していく手法です。
教師あり学習はさらに、既存のデータをもとに、タスクごとに設定されたいくつかのクラスに識別する「分類」と、連続する値を予測する「回帰」に分けられます。
教師なし学習
教師なし学習は、正解データなしで入力したデータの特徴やルールを学習して分析する手法です。データを与えることにより、データの構造、パターンなどを抽出しながらモデルを構築していきます。
代表的な教師なし学習には、似た特徴を有するものを同じクラスに分類する「クラスタリング」があります。
強化学習
強化学習は、「環境」と「エージェント」という2つの要素からなるシステムにおいて、「エージェント」が「環境」の中で最もよく振る舞うように学習する手法です。
「環境」は、「エージェント」の行動によって与える報酬を変化させます。「エージェント」は「環境」の中で最も多く報酬が得られるような振る舞いを、試行錯誤しながら学習します。
機械学習の活用に失敗する原因
機械学習を取り入れていこうとする姿勢の企業は、近年確かに増えてきました。しかし、多くの企業で機械学習の活用をうまく進められていない現状が明らかになっています。理由としては、主に以下の2つが考えられます。
- 導入効果が見えづらい
- 知識や経験が蓄積されていない
導入効果が見えづらい
機械学習の導入から活用までを考えると、開発期間が約一年か、それ以上かかってしまうため、効果が出るまでに時間がかかり過ぎます。企業では、導入効果が見込まれない取り組みへの投資が先送りにされてしまう傾向があるため、結果的に進められずにいる場合が多いようです。さらに、AI関連の導入には開発費用や構築費用が高額であるため、気軽に投資しにくい現状があります。
知識や経験が蓄積されていない
機械学習の運用には、学習データの選定や学習モデルの定期的な見直しが必要となります。そのため、継続的に運用するのであれば、社内にデータアナリストやデータサイエンティストといったデータ活用人材がいなければなりません。ただし、データ活用人材の育成や確保には少なくないコストがかかるため、こちらもなかなか進められていないようです。
ビジネスに機械学習を活用するなら「UMWELT」がおすすめ!
機械学習を社内で活用する場合、AIエンジニアが必要ですが、多くの企業ではAI人材が不足しています。社内にAIエンジニアがいなくてもAIをビジネスに活用したい企業様には、TRYETINGの「UMWELT」がおすすめです。UMWELTはプログラミング不要でAIを利用できるDXツールです。クラウド型のため、特別な環境を準備する必要がなく、費用や工数などの準備コストを最小限に抑えた上でAIを活用することができます。さらに、APIを介して既存システムとの連携が図れるため、機械学習を効率的に活用することができます。
まとめ
機械学習の制度低下を抑えるためには、学習データの見直しや学習モデルの再構築が求められます。しかし、専門人材不足によりなかなか進められないと悩む方も多いでしょう。UMWELTなら、すでに実績ある機械学習のアルゴリズムをプログラミング不要で誰でもかんたんに使用できるAIツールです。企業の現場で機械学習を活用していきたいと考えている方は、今回紹介した「UMWELT」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
UMWELTのサービスページをチェックする
ホワイトペーパーダウンロードページ
ダウンロード可能な資料一覧
TRYETING
公式
TRYETING公式です。
お知らせやIR情報などを発信します。