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AIを活用したセキュリティ対策とは?課題や改善ポイントも紹介
目次
AIを活用したセキュリティ技術は、複雑化するサイバー攻撃への対策として注目されています。インターネットの普及により生活の利便性が上がっている一方、サイバー攻撃の規模も拡大しています。そのため、AIを活用したセキュリティの導入を検討している方も多いのではないでしょうか。
この記事では、AIを活用するセキュリティ対策の具体例や導入のメリット、セキュリティレベルを上げるポイントなどを紹介します。
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セキュリティの現状と課題
AI技術を活用するに至っては、サイバーセキュリティに対して関心を高めなければなりません。誰しもが気軽にインターネットを使用できるようになった時代、その被害は一部だけに起きるのではなく、全ての人に身近な問題となっています。
ここで、セキュリティの現状と課題を今一度見直してみましょう。
サイバーセキュリティ市場は拡大し続けている
インターネットサービスやIoTの普及拡大に伴い、サイバーセキュリティの需要が高まっています。サイバーセキュリティとは、ネットワークシステム、データ、デバイス、プログラムへの不正アクセスによる情報流出や改ざんを防止するための手段です。
このサイバーセキュリティ市場が、現在急速に拡大しています。その理由は、より高度で安全なビジネスモデルを必要とする急速な技術進歩と、IoTデバイスの普及率上昇です。サイバーセキュリティメッシュの需要拡大や、世界的データの情報漏えいが増加していることも関係しています。
シンクタンクの「Report Ocean」が発表した調査では、世界のサイバーセキュリティ市場は、2030年までに5,345億ドルに達すると予測されています。
データの安全性とセキュリティ管理に対する需要拡大により、2020年から2030年にかけてのCAGR(年成長平均率)は、11.8%となる見込みです。
”いたちごっこ”が続いている
ますます巧妙化するサイバー攻撃の中でも、特に多いのが脆弱性の悪用です。脆弱性は、セキュリティ既存につながる欠陥のことで、専門のソフトウエアやサービスの活用で発見できるものもあります。
しかし、従来のセキュリティソフトでは、サイバー攻撃を十分に検知することが困難です。日々進化するテクノロジーを守るために、ソフトウエアやプログラムのバージョンの更改などを行うと、また新たな脆弱性が発生する可能性も否定できません。
セキュリティ面ではこのようないたちごっこが続いているため、脆弱性への対策は企業にとって重要な課題のひとつに挙げられています。
不正利用者の排除に苦戦している
悪意を持った不正ユーザーへの対処も、サイバーリスクのひとつです。サイバー攻撃は、企業への不正アクセスや情報流出を狙うばかりではありません。
一般人に向けても、SNS、通販サイト、ネットバンキングなどを介して、不正アクセスやアカウント乗っ取りなどの被害が発生しています。このようなリスクに関しては、まだまだ人による監視が必要です。
AIセキュリティ技術が注目されている
常に高度化、巧妙化していくサイバー攻撃に対し、サーバーセキュリティ上の課題解決として大いにAIが期待されています。
AIを用いたセキュリティ対策への技術開発も進んでいて、これを導入し活用する企業が増えています。
セキュリティ対策にAIを活用するメリットは?
AIの活用で膨大な量のデータを学習・分析すれば、サイバーセキュリティのリスクを把握するための知識が深まります。より多くの知識を得ることで、サイバー攻撃の検知率が向上します。
また、システムの平常状態をAIで分析・把握することで、異常が起きたときのリアルタイムでの検知が可能です。システムの脆弱性を狙った「ゼロデイ攻撃」に対応できる可能性もあるでしょう。
AIを活用したセキュリティ製品には、機械学習を使っていないものや、機械学習ではないAIを使っているものもあります。これら各種のセキュリティ製品のログを相関分析し、高速・複雑化したサイバー攻撃に対応できることもAI活用のメリットです。
AIを活用するセキュリティ対策の具体例
AIは莫大な量のデータを学習し、そこから通常と異なるパターンの検出をするのが得意です。これを応用したのが、AIを活用したセキュリティ対策です。
すでに世界中では多くの名だたる大手企業が、セキュリティ分野へ向けた多額の投資を行い、技術の開発を行っています。
マルウエアの検出
マルウエアとは、不正かつ有害に動作させる意図で作成されたソフトウエアやコードの総称です。
マルウエアを検出するには、AIに蓄積された大量のデータから「正常なプログラムの挙動」と「正常ではない挙動」を学習させておく必要があります。プログラムの挙動により、学習させた「振る舞い・検知」の技術を活用し、正常でない挙動のマルウエアを検出する仕組みです。
マルウエアを検知できる製品として『NGAV』や『EDR』が挙げられます。NGAVは、正常ではない振る舞いをするマルウエアを検知し、防御するソフトウエアです。EDRは、エンドポイントの操作を監視し、マルウエアの検知と感染後の対処ができます。
ログの監視・解析
セキュリティに関するログの監視・解析は、AIに蓄積された大量のログから「正常時の特徴」と「攻撃を受けたときの特徴」の学習が必要です。
リアルタイムで監視を続けることで攻撃・攻撃の予兆を検知できる可能性が高まり、サイバー攻撃の被害を最小限に抑えられます。
ログの監視・解析を目的とした製品として『WAF』『IDS・IPS』『NGFW』が挙げられます。WAFは、ウェブアプリケーションの不正通信やサイバー攻撃を検知するセキュリティです。IDS・IPSとNGFWは、ネットワークの不正ログを検知するソフトウエアです。
継続的な認証
AIは継続的な認証を行うにあたり、IDとパスワードではなく、別のユーザー情報を利用します。サービスのオンライン化により、個人情報の流出が悪用されるリスクが高まっています。
ユーザーの本人確認に使われるのは、IPアドレスやアクセス時刻、アクセス元の地理情報などです。AIは、ユーザーのアクセスパターンを学習します。リクエストを受けた際に大きな違いがないかを確認し、継続的な認証を行っています。
トラフィックの監視・解析
AIは、トラフィック(ネットワーク上のデータ量)の監視・分析が可能です。コンピューターネット上の危機により稼働状況に関する情報を集め、稼働は正常であるか、障害発生や予兆がないかを確認し、異常があれば緊急アラートをメールで知らせます。
トラフィックの監視・解析を目的とした製品として『SIEM』『UEBA』が挙げられます。SIEMは、複数のシステムからログファイルを取り込み、アナリストに情報を提供することでアラートを通知するツールです。UEBAは、通常とは異なるトラフィックパターンを検知し、サイバー攻撃かどうかを判断します。
セキュリティ診断
AIによるセキュリティ診断を利用すれば、大量のコンテンツを含むホームページなどの脆弱性診断が、時と場所を選ばずに実施できます。
特長としては、高性能AI診断ツール活用で脆弱性の検知や、網羅的な診断を定額料金で使用できることです。さらには、ホームページのコンテンツ把握と管理が可能となることが挙げられます。
システムの脆弱性を検知する方法に『AI活用ペネトレーションテスト』があります。ペネトレーションテストは、ホワイトハットハッカーがサイバー攻撃に似せた方法でシステムに侵入するものです。セキュリティ機能の回避と無効化を試しながら、システムへ侵入できるかをチェックする方法です。
AIを悪用したサイバー攻撃事例
AIを活用したセキュリティ対策が進む中、AIへのサイバー攻撃のリスク増大が懸念されます。すでにAIのアルゴリズムを悪用したサイバー攻撃もあり、新たな対策・リスク管理が必要です。
ここでは、AIを悪用したサイバー攻撃の事例を見ていきましょう。
DDoS攻撃
DDoS攻撃とは、攻撃者が複数の機器(パソコンやスマートフォンなど)を踏み台にして、特定の機器に負荷をかけることです。攻撃を受けた側は、サーバー負荷によるサーバーダウンやサービスの停止など経済的なダメージを受け、大きな損害を被ります。
例えば、新商品の販売に合わせて攻撃を仕掛けられると、消費者側はアクセスができなくなり、商品の購入ができません。販売する側は売り上げがなくなるだけでなく、消費者からの信用までも失います。
通常のDDoS攻撃は、従来のセキュリティソフトでも対処が可能です。しかし、現状ではサイバー攻撃の進化により、さらに巧妙化したDDoS攻撃へのセキュリティが課題となっています。
ディープフェイク
ディープフェイクとは、AIの技術を応用して作られた偽物の動画や音声のことです。年々高度化するディープフェイクは、判別できないほど本物そっくりの画像や動画、音声クローンなどを作り出します。
代表的な悪用事例は、フェイクスワップ(顔交換)やフェイク動画です。著名人や芸能人などの顔画像を取り入れ、まるで本人が演出しているような動画を作り出して偽りの情報を世に広めます。
ディープェイクはビジネスでも活用されている技術ですが、悪用による名誉毀損や著作権侵害問題が増加しています。
ファジング
ファジングとは、ソフトウエアテストの手法のひとつで、未知の脆弱性を検出する方法です。対象となるソフトウエアやシステムに予測できない入力データ(ファズ)を与え、バグや脆弱性を発見します。
攻撃者にファジングが悪用されると、未知の脆弱性に目を付けられ、サイバー攻撃を受けてしまいます。ゼロデイ攻撃のリスクが増大する恐れもあるため、脆弱性を検知するセキュリティ診断の高性能化が必要です。
ポイズニング
学習データに誤ったデータを混入させ、開発者の意図しないAIモデルを出力させる攻撃がポイズニング(汚染)です。攻撃者のコードを埋め込まれたAIモデルは、推論を行う際にデータの摂取・改ざんや管理権限を奪われる場合もあります。推論結果も正しく分類されません。
これは、機械学習を導入したセキュリティ対策ソフトに、サイバー攻撃を見逃す動作をさせることです。
対策例として、学習用データ・推論結果のモニタリング、学習データの補強・拡張、信頼できる機械学習ライブラリ・AIモデル、学習用データの使用があります。
回避攻撃
推論用の認証・識別データにノイズを生成し、見た目では分からない方法で画像を誤認識させる手段が「回避攻撃」です。ノイズが加えられたデータは「敵対的サンプル」と呼ばれます。
例えば、製造業で回避攻撃が行われると商品の検品に不正が起こり、不良品が出荷される事態につながります。画像認証のロックをすり抜けて、解錠されてしまうこともあるでしょう。
また、音声認識でも回避攻撃は行われます。人間には聞こえない周波数を使い、AI音声アシスタントを操る手法もあります。
AIを守るためのAIセキュリティが必要
AIを悪用したサイバー攻撃が増えると同時に、AIを狙ったサイバー攻撃も増加しています。AIの特性を突いた攻撃「ファジング」「ポイズニング」が例です。AIはサイバー攻撃を検知・防御できますが、そのAIを攻撃から守る手段も考える必要があります。
AIを守るためにAIセキュリティの導入を検討しましょう。AIシステムへアップロードされるデータをAIで検査することで、データの改ざんや流出防止、不正ユーザーの検知が可能です。
しかし、AIを守るためのAIセキュリティ製品を開発・研究・実装しても、いたちごっこは続きます。AIの性能を把握し、過信することなく多層防御で守っていく必要があるでしょう。
AIのセキュリティレベルを高めるには?
サイバーセキュリティのレベルを高めるために大切なのは、AIの技術を最大限に活用することです。ここでは、そのポイントを説明します。
多くのパターンを機械学習させる
多くのデータをAIに取り入れて、それぞれの特徴を把握させるパターン学習が効果的です。身近なものでは、メールの「迷惑フィルタリング」が知られています。
AIに迷惑メールのパターンを学習させ、安全か否かを判断させてメールを振り分けます。同じように、マルウェアやファイルレス攻撃にも最適です。
先端のセキュリティ動向を押さえる
最新テクノロジーは「安心・安全」という認識を捨てましょう。テクノロジーは日々進化を遂げています。そして、これらをうまくかわす術を備えた攻撃も同じく進化し続けています。
最先端の技術に守られていると過信せずに、常に新しいテクノロジーに目を向けましょう。
人間の意識や判断力を大切にする
AIは大変優れた人工知能です。人間にはない未知の能力がサイバーセキュリティに活用される一方で、AIを惑わせる人為的攻撃を受けることも考えられます。
サイバー攻撃の背後には、悪意のある人間が存在します。優れたAIであっても人間には及ばない面もあるため、全てを機械に任せずに人間の意識や判断力を大切にしましょう。
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まとめ
インターネットの普及、AIシステムの導入が進む中で、サイバー攻撃のリスクが高まっています。セキュリティ対策としてAIの活用が講じられていますが、AIを悪用、AIを狙ったサイバー攻撃も拡大しています。
今後は、さらにAIセキュリティのレベルを強化し、AIによる多層防御が必要になるでしょう。TRYETINGのUMWELTは、セキュリティ水準が高いAIプラットフォームです。高セキュリティ対応プランをはじめさまざまなプランがありますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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